謹賀新年
本年もどうぞよろしくお願いい申し上げます
草深昌子選 (順不同)
兼題「歌留多」

どれどれと祖母も加はり歌留多取 佐藤健成
一家和気藹々の歌留多。「どれどれと」、祖母の強さがうかがわれます。
一家和気藹々の歌留多。「どれどれと」、祖母の強さがうかがわれます。
歌留多読む父の一杯機嫌かな 二村結季
一杯機嫌というところがいいですね、ますます名調子になりそうです。
一枝に六羽並ぶや初雀 石堂光子
混み合っている六羽は愛らしいです、めでたさの雀です。
山に雲蓮田の端に初氷 光子
丁寧に描写しました。ハスダ、ハシ、ハツとハ音のつらなりが、殺風景に明るみをさそいます。
丁寧に描写しました。ハスダ、ハシ、ハツとハ音のつらなりが、殺風景に明るみをさそいます。
まな板の音して今年はじまりぬ 冨沢詠司
俎という日々欠かせぬ日常のものが、新年のめでたさを奏ではじめます。
俎という日々欠かせぬ日常のものが、新年のめでたさを奏ではじめます。
姿勢よき叔母のよみたる歌留多かな 奥山きよ子
姿勢がよければ自ずと声もよいでしょう。母にあらずして叔母に気持ちが籠ります。
勝つまでは終わらない子の歌留多かな 木下野風
歌留多に発揮する負けず嫌いもめでたく、頼もしいものです。
平仮名を覚えたての子歌留多かな 川井さとみ
いろは四十七文字が楽しくてなりません、一枚一枚上手にとれては拍手でしょう。
元朝や日輪眉にあたたかき 佐藤昌緒
元旦に仰ぐ天日のありがたさ。「眉にあたたかき」には、実景とに、作者の心情に新鮮なる把握があります。
冬ざるる川に打ちたる投網かな 間 草蛙
蕭然たる枯れ果ての中にあって投網を打ちます。天地の枯景色をいっそう大きく広げます。
百人一首誦んずる子の長き風呂 神﨑ひで子
賢いお子さんです、風呂にのぼせませんように。「風呂長き」
蝉丸の名だけ覚へし歌留多かな 中原初雪
「これやこの行くも帰るも・・」私も何故か蝉丸が好きでした。いろいろ蝉丸伝説がありますが、こう詠うことで歌留多が浮かび上がります。

歌留多読むたまに一拍おきもして 草深昌子
指を折りまげて数ふる去年今年
嵩張れるものみな紙や春支度
令和6年1月・青草通信句会講評 草深昌子
新年おめでとうございます。幕開けの兼題は「歌留多」。
子供の頃、お正月と言えば「小倉百人一首」の歌がるたが一番の華やぎでした。親戚や近隣の大人に混じって、晴着の袂を大きく揺らして、末っ子の負けん気を発揮したものです。朗々と歌留多を読み上げる母の声も大好きでした。
封切れば溢れんとするかるたかな 松藤夏山
歌留多読む恋はをみなのいのちにて 野見山朱鳥
歌かるた女ばかりの夜は更けぬ 正岡子規
明治27年の正月、日本新聞社員や書生らが毎晩歌かるたを闘わしましたが子規にはかなわなかったそうです。子規は機敏で乱暴で、本人も仲間も手を血だらけにしていたとか、文字通り血気盛ん。
新年の季語は「初」に溢れています。初日、初空、初富士、初風、初夢、初湯、書初、買初、初詣、初荷、初市、読初、初漁、詠初、等々。
毎日のように見かける雀も、新年はじめて見る雀は「初雀」、そう詠いあげただけでいかにもめでたいではありませんか。
正月はなべて「めでたさ」を詠うべきだと、先師に教えられました。困難な世にあって、せめて正月だけはめでたくと願いつつ、今年はいきなり、災害災難の悲しみにうちひしがれました。
それでも初山河は、目に染みて心に染みて、美しいものです。
新年の山見てあれど雪ばかり 室生犀星
元日や手を洗ひをる夕ごころ 芥川龍之介
たてかけてあたりものなき破魔矢かな 高浜虚子
初富士のかなしきまでに遠きかな 山口青邨
繭玉に寝がての腕あげにけり 芝不器男
初空といふ大いなるものの下 大峯あきら
母が家は初松籟のあるところ 山本洋子
正月の雪真清水の中に落つ 廣瀨直人
初夢のなかをどんなに走つたやら 飯島晴子
人類に空爆のある雑煮かな 関悦史









