
その一部を掲載いたします。
超結社句会/新12番勝負にゲストとして
「栞」同人の 小川美知子さん、「青草」主宰の 草深昌子
「春燈」同人の 鈴木直允さん、「天頂」主宰の波戸岡旭さん
ホストは、星野高士さん、藤本美和子さん。
以下、一部抜粋
沿線は雨降りつづく茂りかな 小・旭
旭 「茂り」が効いていますよね。雨の茂りだから翠が濃くて、それが沿線だからまっすぐになっている。
未知子 句のリズムが好きで、「……つづく」と「茂り」の余白に風景が見えてくる気がして、「茂り」が美しいと思いました。
直允 梅雨どきではなくて夏の雨。「茂り」をまた促すような雨が降っている。句の中に生命力がある句だなと思いました。
旭 そこまで深読みはしたくない(笑い)。
高士 そこまではね。わたしは当たり前かなと思っちゃたけど。「茂り」に見所がある。
昌子 波戸岡さんの仰せの通りだなと。
美和子 地味だけど、いいんではないかと思います。採らなかったのは「沿線」という言葉がなじまなかったので、採れなかったんです。
高士 どなた?
昌子 昌子です。
高士 つぎは、(中略)
暑き日や蝶の向うに墓見えて 小・旭
高士 小川さんと波戸岡さんが採っています。お二人は選があいますね。喜んでいいんだか分からないけど(笑い)。
旭 実景なんでしょうね。「蝶」に目がいっていて、フッと気がついたら向こうに墓があったという。暑いときは目先に目がいきますからね。広がりが無理なく出ていますよね。欲張ったことは何も言っていませんが。
美知子 初心のころにこういう句を作ると「蝶」の生命力と「墓」を対比させている、という聞いた聞いたりしたんです。でも、いまはあまりそういうことは考えない方がいいんだろうなと思っています。実景でそこに「暑き日」を持ってきて俳句になったんだと思います。
昌子 わたしも虚子の系統で学んでますので、実景で捉えました。
直允 分かりそうで分からないといいましょうか。生きている「蝶」と死者が収まっていう「墓場」。そこがただ暑い、ということに私は詩を感じる事が出来なかった。
美知子 景は分かるんですが、「暑き日」にわざわざ「蝶」を出してきたところに、惹かれませんでしたね。
旭 「炎天や」より「暑き日や」の方がいいですね。
高士 悪い句ではないと思った。どなたですか?
昌子 昌子。墓は九品仏です。
高士 私は毎月いっていますよ。それから、 (後略)

ふつつりと小説終はる夜の蟻 小川美知子
夏服や明るい空に月が出て
後ろ手をゆつくりほどく雲の峰
白鷺の四辺に雨の降つてをり
昼顔の吹かれてをりぬちぎれさう
沿線は雨降りつづく茂りかな 草深昌子
暑き日や蝶の向こうに墓見えて
四つ角やその角角の大夏木
土用芽をあまさず吹いて大樹かな
舟虫や古い映画をみるやうに
コロナワクチン打つたる後の氷菓かな 鈴木直允
火蛾あふのけ覆ひ被さる山の闇
初蝉の森の奥より水の音
青栗やあをぞらながら零す雨
出来たての土竜の山や半夏生
夏芝居骨寄せといふ見処の 波戸岡旭
鮎つかむ手の甲までもうすみどり
花茣蓙のよく冷えてゐる死者の席
買ひ込んできて満腹の冷蔵庫
数学に虚数の遊び蟻地獄
日焼けして仲見世裏に紛れけり 星野高士
禅寺に閉門はなし初蛍
靴底の厚みそこそこ滝しぶき
山寺の団扇に表裏のなく
さくらんぼ喜怒哀楽の楽あたり
盆栽は五葉松なり夕端居 藤本美和子
汗ひくや水琴窟の音の中
風の道まづは蜥蜴が顔を見せ
床の間の小暗きに慣れ竹夫人
晴れぎはの声の増えくる夏燕
(WEP俳句通信123号所収)










