京都府立東舞鶴高等学校同窓会【青葉嶺会本部】

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校歌誕生ものがたり

2013-08-16 10:57:09 | 会員からのメッセージ

 前書き

     東舞鶴高校関東支部 前支部長 柳田陽子(昭和35年卒)

 松岡邦彦さんに校歌誕生の由来を書いていただき、
このホームページに掲載していただく経緯を少し説明させて下さい。

 わたしたちが大きな愛着を抱く東舞鶴高校校歌は、
青葉嶺の青、白き舎(や)の白、紫のかがよいわたるの紫、と色も豊か、
さらに、朝つゆ、水たま、若きいのち、若き泉、とことばもさわやかです。
と同時に、メロディーも、この響きのいい歌詞を生かしたメリハリのよさ、
若々しい力強さを持ち、それでいて繊細さを秘め洗練されています。
こうして、歌詞も曲も、歌うたび聞くたびに、わたしたちの心を大きく
揺さぶります。

 それにしても私の長年の疑問は、応募して入選した高校生生徒の作詞に、
当時はまだそれほど有名でなかったにせよ後には高名になられる
東京芸大の先生が、どうして作曲して下さったんだろう、ということでした。

 そうしたら、私の前の支部長(初代)の松岡さんがそのいきさつを
ご存知でした。そこで早速書いていただいたのが、
「校歌誕生ものがたり」です。

 この貴重な証言は、東舞鶴高校関東支部の第7回総会(2013年7月6日)
の折、プリントしてみなさんに読んでいただきました。
しかし、この会への出席の機会のなかった方々にも是非読んで
いただきたいと思うのです。

 そこで、同窓会本部のホームページにも掲載をお願いした次第です。
この掲載をきっかけに、他の先輩方からも校歌誕生にまつわる証言、
思い出がさらに寄せられれば、望外の喜びです。
(2013年8月3日記)




 校歌誕生ものがたり

                    昭和28年卒   松 岡 邦 彦


 東舞鶴高校の校歌が制定されたのは昭和27年2月のことですから、
60年が経ちました。皆さんご承知のとおり、この校歌は同窓生にも
長く愛唱され続けてきています。

 しかし、校歌制定に尽力された先生方も多くは故人となり、当時の
経緯や作詞者、作曲者のことを知る人も少なくなってきましたので、
この機会に、私の知る「校歌誕生ものがたり」を記しておきたいと
思います。

 東高の開校は昭和23年10月ですが、26年になって校歌を作ろう、
との気運が出てきて、まず、教職員、生徒、父兄から歌詞が募集され
ました。

 多数の応募作品のうち、選定委員の先生方の圧倒的賛同で選ばれた
のが、当時三年生だった葭田義勝(よしだよしかつ)さんの作品
でした。緑と泉に恵まれた学舎に集い学ぶ若人たちの瑞々しい情感に
満ちた詩です。

 私は葭田さんの一年後輩ですが、同じ文芸部員として、葭田さんの
読書量と卓越した文才、詩才には畏敬の念を持っていましたので、
当選は当然と感じました。

 一方、作曲は公募によらず、東京芸術大の講師で、まだ30代半ば
少壮気鋭の作曲家でもあった石桁真礼生(いしけたまれお)さんに
委嘱されました。

 これは、当時東高の音楽の先生をしておられた
林(旧姓富永)浅子さんが東京音楽学校(芸大の前身)のご出身で、
同校のクラスメートだった石桁先生に校歌の作曲を引き受けて
貰えないかと打診をされたのがきっかけです。

 葭田さんと同期の奥本勝明さんの述懐によると、曲が完成した時、
浅子先生は音楽の授業で、自らピアノを弾きこれを歌われるとともに、
石桁先生が将来を嘱望された作曲家であること、このメロディが
斬新で、歌詞の意図を存分に表現していることなどを熱っぽく
語られたそうです。確かに、石桁先生に作曲を託された林浅子先生の
目に狂いはなく、ここに、清々しさと躍動感に溢れ、葭田さんの歌詞に
ぴったりマッチして、歌いやすく聴きやすい名曲が誕生しました。

 石桁先生は、のちに芸大教授、音楽学部長も務められたほか、
管弦楽曲、オペラ、声楽曲などの分野で多大な業績を遺され、
平成8年に80歳で永眠されました。

 作詞の葭田さんは、昭和27年3月の卒業式で、前月誕生した
ばかりの校歌に送られて、母校を巣立って行かれました。
 今や葭田さんも傘寿を迎えられましたが、舞鶴でご健在と聞きます。
ご長寿を祈る次第です。

 東高校歌は、今や母校の誇れる文化遺産のひとつとなりました。
これからも皆さんと声高らかに歌い継いでいきましょう。
(平成24年6月記)

(前書き、本文とも原文まま)

お断り:読みやすさを考慮し、適宜折り返し、段落分け、
段落字下げ等を入れさせていただきました。 管理人

故石桁真礼生(いしけたまれお)先生(平成8年没)


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