ステンレス車体が台頭している現在のJR各車両たち。ラッピング技術もさることながら、やはりデザインとともに、車両の色彩感は重要だ。国鉄時代に線区によって色分けされていた電車たちは、現在では同色のラインで表している。スマートで都会的に思うが、どこもかしこも、どれに乗ってもみんな同じに見える車両たちには、すでに趣味の領域はないのか。寂しくなったものだ。
そんな昨今を思いながら、昔の東海道線を掲載してみる。懐かしの根府川で撮影した111系か113系のごく一般的な編成。中間のサロでさえ冷房化されておらず、先頭は、言わずと知れたクモユニ74という郵便荷物電車が併結されている。この電車は、旧性能電車、つまり釣りかけ式のモーターで後続の111系や113系と協調運転されていたのだ。乗っても撮っても、個性丸出しで心惹かれるものがこの時代にはあった。あの釣りかけモーター音が鉄橋に響き渡り、それだけで興奮できたアントンKもまだ純情だったのだろう。ブルトレやゴハチの合間にやってきた、当時はごく当たり前の電車たちだが、今こうして改めて見ると、同じ輝きを感じるのはどうしてだろうか。一番見て、乗って触れてきた最も身近な電車たちだからこそ、懐かしさも一入ということだろう。
1975-09-30 329M クモユニ74003 東海道本線:根府川-真鶴
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