アントンK「趣味の履歴簿」

趣味としている音楽・鉄道を中心に気ままに綴る独断と偏見のブログです。

ヴァイオリン協奏曲のこと

2016-09-03 10:00:00 | 音楽/芸術

若い頃は、このコンチェルト(協奏曲)というジャンルは幅が広がらず、メジャーな楽曲を一通り聴いていたにすぎなかった。といって現在はどうよ?と問われても、アントンKも相変わらずでさほど変わらずにどうしてもオーケストラ曲が中心に成ってしまっている。それは、じっくりと鑑賞する時間が無くなってきたことや、たとえコンサートへ出向いたとしても、このコンチェルトというジャンルは、メインプロの前座として扱われることが多く、印象に残りづらいことも事実なのだ。

昔から三大ヴァイオリン・コンチェルトとしてくくられるベートーヴェン、ブラームス、そしてメンデルスゾーンのVnコンチェルト。どれも名曲でいつ聴いても素晴らしいと感動することが多いが、アントンKはこの中では圧倒的にベートーヴェンのニ長調だ。出だしのティンパニの刻みを聴いただけでワクワクしてしまうが、人生に現れる喜怒哀楽の想いが描かれており、優しく温かみと幸せを感じてしまう。聴けば聴くほど深い音楽に思えてならないのだ。

楽器ではピアノが好きなアントンKではあるが、このベートーヴェンのコンチェルトだけはいつも手元に置いている。LP時代から色々な演奏を聴いて聴き比べてきたが、結局一番心に響く物以外は、みんな処分してしまった。

シェリングやメニューイン盤と行きたいところだが、平成時代の現代版としてここではキョンファ盤を上げておきたい。好みは大分別れると思うが、第一楽章から指揮者テンシュテットの重厚なまでの伴奏にビクともしないキョンファの演奏ぶりは、気持ちが音色に同化されて、聴き手も熱く感動してしまう。特に第一楽章後半のカデンツァ以降の下り部分は言葉には出来ず、その後、指揮者テンシュテットもそれを受けて、一段テンポを下げてFgに気持ちを込める。こうなると感情が抑えきれなくなるというものだ。(ライブ録音)

秋の夜長は、こういった本物の演奏をゆっくり楽しみたいものだ。

ベートーヴェン ヴァイオリン協奏曲ニ長調 OP61

クラウス・テンシュテット指揮

ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団

(Vn) チョン・キョンファ