公明党の長沢広明復興副大臣(参院議員)が、秘書・家族以外は宿泊できない議員宿舎に知人女性を宿泊させたことを認め、公明党に離党届を提出し、議員も辞職した。公明党・山口代表は「ルールをおかしたことを看過できない。衆院選への影響は最小限にしたい」とコメントしている。
通常、このような不祥事を起こして、党の除籍処分を受ける議員はいるが、それに加えて辞職するというのはあまり聞かない。比例区選出だったということもあるが、公明党としては、大事な衆院選を前にして、爆発する前の爆弾を素早く処理した形だ。
もちろん、党の精神に反する行動を起こしたのだから、公明党を離党するという判断は分かる。復興副大臣を辞任するというのも分かる。しかし、比例区で選出されようが、国会議員は「国民の代表」である。別に創価学会員だけの代表者・代弁者ではない。果たして、長沢氏には、全国民の代表者として、参院議員の任期を全うしようという選択肢はなかったのだろうか。
おそらく、現実としてそれは無理なんだろうと思う。まず、公明党を離党しておきながら、議員を続けるということを、創価学会が許さないだろう。長沢氏は間違いなく創価学会員の支援を受けて当選した身だ。創価学会員の支援を受けていながら、公明党を離れ、議員を続けるとなれば、創価学会員が黙っちゃいないし、創価学会としても、そのような存在を到底是認できない。もはや公明党内部の人事だけの問題ではない。
また、そんなことをするメリットも長沢氏にはない。創価学会という強力な後ろ盾のもとで、国会議員としての地位も、副大臣という役職も手に入れることができた。今後のことを考えれば、創価学会を敵に回すデメリットの方が遥かに大きいことぐらい容易に想像がつく。
つまり、公明党議員は、国会議員である前に、創価学会員であり、議員としての責任の前に、創価学会員としての責任がある。世間は、「議員を辞職するなんて潔い。他の不祥事を起こした議員も見習え」と見るかもしれないが、私にはそうは思えない。長沢氏にはそれしか選択肢がなかったのだ。