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今日のハチミツあしたの私

2017-06-06 | つれづれ日記

雨上がりの庭でマツムシソウが咲きました

 

「今日のハチミツあしたの私」(寺地はるな  2017年3月刊)を読む

寺地はるなの新作です( 表紙は西淑)

 

「ハチミツ」が片仮名で「あした」が平仮名で「私」が漢字かぁ

とつくづくと表紙を見る

「今日の蜂蜜   明日の私」

「今日のハチミツ   あしたの私」

やっぱりこれでしょう

 

主人公の碧(みどり)は安西と暮らしている

安西は仕事の続かない男だ

ある日、安西が「実家に帰って仕事を手伝うから一緒に来て欲しい」と言い出した

碧は仕事を辞めて安西について行くことにする

 

ところが安西の父親は結婚を認めないという

 

以前の所に戻って新しい仕事を探すか(住み慣れた土地を選ぶ)

安西と一緒に住む暮らしに戻るか(住み慣れた人を選ぶ)

頼み込んで以前の仕事に戻るか(慣れた仕事を選ぶ)

碧はあっさりとどれをも振り払う

 

碧がたどり着いたのはクロエ蜂蜜園

妻が娘を連れて出て行ったという家の中は足の踏み場もない

でも蜂の世話はきちんとしているらしい黒江に

碧は弟子入りすることにする

拒食症だった中学生の碧が出会った女の人が

「あなたこの先もずーっとみんなに嫌われたまま生きていきそう

あなたがあなたを嫌っているから

だから周りのみんなはますますあなたを大事にしないし

こいつはそういうふうに扱ってもいいんだって思われてしまうわよ」

と言って一瓶のハチミツをくれたことを思い出したからだった

そのハチミツを食べたから拒食症が治ったというわけではないけれど

今は

食べられるようになっている

 

ある日

黒江の家に娘の朝花(ともか)が帰って来る

碧は黒江に頼まれて食事を作るようになる

ハチミツで甘みをつけた煮しめ

ハチミツで照りを出した鶏の黒胡椒焼き

ハチミツで煮た桃のコンポート

ハチミツを隠し味にしたちらし寿司

・・・・

 

あれ似ている・・・小川糸に

 

寺地はるなの方が少しライトですが

 

 

 

 

 

 

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にじいろガーデン

2017-06-05 | つれづれ日記

日差しを拾うように

カタバミの花が開いている

 

「にじいろガーデン」(小川糸  2014年10月刊行)を読む

 

電車に飛び込もうとしていた少女を

泉は家に連れて帰った

夫に去られて

投げやりになっていた家の中は混乱していて

それを少女は黙って片付けてくれる

少女の名前は千代子

レズビアンであることを告げたら父親に「恥知らず」と言われたという

2人は一緒に〈今居るところ〉から脱出することにする

泉の息子の草介を連れて

 

泉と千代子の同性婚は

行き着いた小さな村の(廃校となっていた)小学校を借りて始まる

 

草介は地元の小学校に通い

泉は地元のガソリンスタンドに勤める

よそよそしい視線もあるけれど

千代子に子ども(「宝」と名付けられる) が生まれ

4人になった生活は時につまずきながらも

少しずつ進んでいく

 

課題の一つはカミングアウトしていくこと

ガソリンスタンドのオーナー、草介の担任、近くに住む人・・・・

身近な人から丁寧に一人ずつ

 

もう一つの課題は生計を立てること

千代子は古い校舎を改装して部屋を作り民宿をはじめる

(小川糸の登場人物らしく千代子は料理が上手い)

 

やがて

高校を卒業した草介は家を出て社員寮に住むことになる

 

三つ目の課題は千代子の両親の理解を得ること

千代子はそのためにある作戦を立てる

・・・・

 

諍いも行き違いも描きながらも

ファンタジー味は消さない

なかなか絶妙です

 

  

 

 

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サーカスの夜に

2017-05-29 | つれづれ日記

「ツバキ文具店」(ドラマ   原作・小川糸)を見ていたら

小川糸のものが読みたくなったので

 「サーカスの夜に」(小川糸  2015年1月刊)を読む

 

生まれつきの病気を抱えた「ぼく」は

両親に置き去りにされ(どちらも相手が連れて行くと思ったらしい)

血のつながらない祖母・グランマに育てられる

治療の甲斐があって生まれつきの病気は治ったけれど

ぼくは薬の副作用で背が伸びなくなってしまっていた

10才の少年の体と一生を共にしなければならない

と思ったとき

ぼくの頭に両親と一緒に見たサーカスが浮かんだ

町はずれの番外地と呼ばれるところで冬を越しているサーカス団に入れてもらおう

ぼくは自転車に乗って家を出た

(ここまでで10ページ)

 

(今いる場所から新しい場所に行く主人公

手には何も持っていない

という筆者のいつもの型で物語ははじまる)

 

番外地に居たのはレインボーサーカスという名前のサーカス団だった

 

盲目のオーケストラの演奏に乗って繰り広げられる

卵を操るジャグリング

ペンギンが空を飛ぶ空中ブランコ

一つ一つと椅子を積み上げてその上に乗っていくバランス

スカーフで目隠しをして真っ赤なハイヒールで渡る綱渡り

・・・・

 

団長は言った

このサーカスは

国籍、宗教、性別、肌の色、年齢・・・あらゆる境界線から自由なんだ

自由ということは

過去の自分を捨てるということだ

できるか?

ぼくは頷いた

 

ぼくの仕事は

コックの下働きとトイレ掃除から始まった

物語が進むにつれて

立体感を持っていくサーカス団の人びと

 

やがて

ぼくにも練習に参加する日が来た

・・・・

 

 決して「上手い」わけではないのだけれど

妙に引っかかるものがあって

また一冊

小川糸のものを読んでしまいました

 

 

 

 

 

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知られざる縄文ライフ

2017-05-23 | つれづれ日記

今日もカワキモノ

 

スソアキコさんが挿絵を描いていると聞いたので

「知られざる縄文ライフ」(誉田亜紀子・文   スソアキコ・絵  2017年3月刊)を読む

(スソアキコさんは

イラストレーターで帽子作家で「ひとり古墳部」員)

 

いたってやわらかい雰囲気の本だけど

ミトコンドリアDNAからはじまって

縄文人の普段着

ヘアスタイル(意外に凝った結い方をしている)

ライフステージ

トレンドアイテム

交易ネットワーク(沖縄までも行った?)

食事(意外に高カロリー)と守備範囲は広く

土偶(大きいものは45センチもある)と

土器にはたっぷりページが割かれているし

縄文グッズの紹介ページまである

 

描かれている人の髪型から顔の入れ墨

はめ込み式の耳飾り

首飾りから衣装の模様まで

スソアキコさんが

打ち合わせを重ねながら描いていったのだな・・・

と思うと

どのページももったいなくて

すみからすみまで見てしまいました

 

 

 

 

 

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ちいさい言語学者の冒険

2017-05-22 | つれづれ日記

面白いと聞いたので

「ちいさい言語学者の冒険」(広瀬友紀  2017年3月刊)を読む

 

子育て真っ最中の言語学者が

子どもが言葉を覚える様子を

ついつい自分の知識に当てはめて

これは◯◯の法則だわ

これは△△だわ

と面白がって書いてしまったというエッセーです

 

(筆者が)発見したことは

子どもは大人の言葉の真似をしているだけではなくて

発見した法則(文法)を当てはめて使っている(すごい!)ということでした

 

◯「は」にテンテンは「ぐゎぁ」

 「か」→「が 」  「け」→「げ」から考えると

テンテン(濁点)というのは息を出す時に力むことらしいと思った子ども

「は」を力んで言うと「ぐゎぁ」(やってみて下さい)

 

◯「死む」「死まない」

「読んで」→「読む」→「読まない」   「飲んで」→「飲む」→「飲まない」

言葉の変化というのはマ行を付けるらしいと思った子ども

「この虫、死むの?」

「死まないで」

 

◯自動車も「ワンワン」

どうやら動くものは何でも「ワンワン」というらしいと当たりをつけた子ども

動物一般を「ワンワン」と言うならまだしも

自動車までも「ワンワン」と言ったりする

意味を広く取ってしまうこれを過剰拡張というそうです

 

◯逆もあります

意味を狭く取ってしまう過剰縮小です

筆者の子どものK太郎くん

百人一首の坊主めくりに凝っていたので

「坊主=髪の毛のない人」と思っていたそうで

実際のお坊さんに会っても

髪の毛がある人は「坊主」とは思っていなかったそうです

 

教えてやれば正しい言葉が身につくのかというと

どうやらそうでもないらしく

子どもは自分で獲得したがる傾向にあるらしいのです

 

 

過剰縮小の場面に遭遇してみたい・・・

 

 

 

 

 

 

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落陽

2017-05-21 | つれづれ日記

(急に)30度になりました

・・・・

 

「落陽」(朝井まかて  2016年7月刊)を読む

 

明治神宮の森ができるまでの話

と聞いていたので

(明治神宮の森は

色々な種類の木を植えることによって

手入れをしなくても100年後にはちょうどいい自然林になる

ことを目指して植えられた

というところがとても画期的だという)

たぶん計画した人か実際に作業をした人が主人公だろう

と思って読み始めたら

いきなり強請りの場面が出てきた

のにはびっくりした

 

強請りをはたらいていたのは東都タイムスの記者・瀬尾亮一

新聞といっても定期購読者を持たない東都タイムスは

広告の収入が主で

記事は広告主の立志伝とゴシップばかり

瀬尾は取材で得た情報をタネに強請りをして給料の不足を補っているくらいで

何とも芯のない日々を送っていた

 

ある日

明治天皇が崩御した

天皇は御陵だけは京都にと望んだという

京の御所で祈りの日々を送っていた天皇が

東京に移り住みエンペラーというスタイルを確立するまでには

どんな想いがあったのだろう・・・

瀬尾の記者魂が頭をもたげる

 

御陵が京都になるならば

天皇を祀る神社を東京に造ろうという気運が盛り上がる

瀬尾の同僚の記者の伊東響子は

神宮の森を追い掛けはじめる

 

計画した林学者の上原たちは

だれもイメージできない「100年後の森」までの道筋を伝えることに苦慮する

なぜ杉を整然と植えたのでは駄目なのか、という声・声

・・・・

 

型(スタイル)のない若い国で

スタイルを作り上げていく困難と面白さが

描かれていきます

(やっぱり朝井ブランドにハズレはありません)

 

 

 

 

 

 

 

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うれしいセーター

2017-05-20 | つれづれ日記

半袖の人を見かけるほどなのに

「うれしいセーター」(三國万里子   2016年 12月刊)を読む

 

「ほぼ日刊イトイ新聞」でおなじみの

三國万里子さんの編み物の本

というよりは

(編み方も載っているけれど)エッセー集

大きいけれど軽くて

背表紙がないので(コデックス装というらしい)ぱたんと180度に開く造本が心地よい


セーターを注文したのは

星野源

小林薫

ミロコマチコ

谷川俊太郎

片桐仁

宮沢りえ

などなど

の写真もたくさん


文字の部分では三國万里子さんが

編み物作家になるに至った経緯が書かれている

オリーブ少女だった三國さんは

「服が好きでした

だから服に飽きたくなかった

そこで服が好きなまま

もっとおもしろく生きるにはどうしたらいいのか」

と考え

そのためには「作ること」だと思いつく

「服以外の世界をしっかり楽しんでそこから栄養を摂りながら作っていく」

ことにし

作れば

「世界の中にわたしが作ったものが組み込まれて循環する」

と思う

 

編み物のアイディアは

「宇宙のまりこステーション」から来る

と思う

 

酸素が胸の奥まで入ってくる

 

酸素発生器のような本でした

 

 

 


 

 

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あとは野となれ大和撫子

2017-05-16 | つれづれ日記

シレネの白い花が咲きました

 

「あとは野となれ大和撫子」(宮内悠介  2017年4月)を読む

 

時は2015年

舞台は

アラル海が干上がってできた土地に周辺の国々から移民がやって来て

できた国・アラルスタン

中央アジアの中でも独自の発展を遂げ「自由主義の島」とも呼ばれている

(「最初の7人」と呼ばれる人びとがこの国を立ち上げたと言い伝えられているけれど

その7人が誰なのかは誰も知らない)

 

先代の大統領がつくったハーレム(実は大統領の諮問機関)を

大統領のアリーは「学校」に作り替えた

そこでは

ここにしか居場所のない少女たちが

いざという時のために学んでいる

 

日本人の技術者だった父を失ってハーレムに引き取られたナツキは

友人のアイシャとジャミラとともに学校生活を送っていた

ナツキの夢は父のような技術者になることだ

 

そんなある日

アリー大統領が暗殺され

政府の要職にあった者たちはみな逃げ出した

いざという時は突然やって来て

少女たちの「政府」が動き始めた

大統領はアイシャ

防衛大臣はナツキ

 

CIS(独立国家共同体)や

AIM(アラルスタン・イスラム運動)や

油田をめぐる周辺国との駆け引き

 

ラクダとオートバイが同じ道を走り

民族衣装をまとった少女が携帯端末を操り

高分子化学の網で捉えた水蒸気から水がつくられる近未来(?)の国

 

どこまでついて来れる?

と作者に言われているような気がします

 

 

 

 

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図書室のキリギリス

2017-05-10 | つれづれ日記

ハナイチゴの1つ目の花が咲きました

 

「図書室のキリギリス」(竹内真  2013年6月刊)を読む

「図書室のピーナッツ」

の1年前の物語です

 

カメラマンの夫が行方不明(?)になって3年

史織は籍を抜いて姓を戻し、新しい仕事にも就いた

仕事は高校の図書館の司書

といっても資格のないなんちゃって司書なので事務の仕事の下請けもあってけっこう忙しい

 

そんな史織の〈日常の謎〉がほろほろと解かれていく

校長先生はなぜマルハナバチと名乗っているのか

前任の司書さんはなぜ急に辞めたのか

なぜ他の高校の蔵書印のある本が紛れ込んでいたのか

・・・・

 

最終章ではそれまで登場した人物が総出演

文化祭でのブックトークの様子が描かれる

 

太田光の「マボロシの鳥」の絵本(藤城清治・作)を取り上げた演劇部の瀬井は

「高校を卒業したら演劇の道に進むけど

役者として売れることなんか一生ないかもしれない

食うにも事欠くような暮らしになるかもしれない

だけどきっと

舞台に立ち続けていれば

どっかの誰かが祝福してくれる(例えば絵本にしてくれるような)瞬間はあるはずだって思えるんだ」

と語り

受験勉強のためにモンゴメリの「ストーリー・ガール」を翻訳しているという楓は

「あたしにとって大切なのは翻訳が好きだってことで

受験勉強はその好きって気持ちに気づくためのものだった気がします」

と語り

星野道夫の「旅をする木」を取り上げた大隈は

「僕はこれを読んで旅に出たくなりました」

と夏休みの北海道ヒッチハイク旅行で出会った人たちのことを語る

 

「本」がターニングポイントになるものがたり

 

清々(すがすが)度120%のこの本を

暮れのベスト10に入れようかと思います(2冊目)

 

(WEB本の雑誌「今週はこれを読め 」5月10日号に取り上げられています)

 

 

 

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さて、コーヒーにしませんか?

2017-05-08 | つれづれ日記

「小林カツ代伝」に取り上げられていた

 

「さて、コーヒーにしませんか?〜キッチンをとおして見えること」(小林カツ代  1991年9月刊)を読んでみた

 

やってみたいと思ったことは何でもやってみる人・小林カツ代にしても

大きな冒険「2ヶ月間のアメリカ・ホームスティ」の話です

 

40半ばになっていたカツ代は

料理家としてテレビに出たり、本を出したり、教室を開いたり、講演をしたり

の多忙な日々を過ごし

年子の子供たちは高校2年と3年になっていた

 

スタッフの弟がアメリカに行ってアダルト・エデュケーション(社会人教育)を受けてみたらとても面白かった

という話を聞いたカツ代は

中国残留孤児として帰国した人たちの苦労に胸を痛めていた折でもあり

「自由にどこででも自分の好きなものをやりながら日本語を覚えていける公共の場があればいいなぁ」と

実際にアダルト・エデュケーションを体験しようと思い立った

 

原稿を書きため

録画を撮りだめ

「家族はどうするの」の大合唱を背に

カツ代は出発する

 

日本と違ってにぎやかな料理教室

水を大切にする暮らし

ブロッコリーの芯も使う料理

(今では日本もそうなっている)

包装されていない野菜が積んであるスーパーマーケット

養子と実子が入り混じっている兄弟

生活に根を張っているボランティア

(ホームステイ先の女性はフルタイムで働いた他に、夜に体位交換のボランティアに行っていた)

・・・・

 

このアメリカ生活が

その後のカツ代の行動をさらに広げた

と「小林カツ代伝」の中原一歩は書いている

「きょうの料理」「ワイドスクランブル」「ためしてガッテン」などに出演し

おかゆ専門店やオリジナルのキッチン用品を扱う店を開いた

 

その頃、阪神淡路大震災が起こった

カツ代はボランティアに行き

震災で引き取り手がなくなった動物の姿を目にして

お金がなくては支援はできないと

それまでは断っていたCM出演を決意する

さらに

神楽坂女声合唱団をつくってチャリティーコンサートも始める

 

多忙を極める日々

・・・・

 

 

 

 

 

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