短編小説
天台か法然かと太郎、次郎の喧嘩 作 国風 遊世
太郎 警備の仕事は立ちつづけだ、つらいな。
次郎 新入り、仕事だよ。給料もらっているんだ。
太郎は新入りの警備員、次郎は先輩、警備員は立つのが仕事。新人の太郎にはつらかった。初めは誰しもそうであった。
太郎 通行止めの仕事だが、車両は通らない。ひまですね。
次郎 緊張感大切、急に車が来る、中には、猛スピードもいる。
太郎 先輩、周りのごみを拾いきれいにしときます
次郎 偉い、掃除するとは立派。
太郎 世の中には立派な人がいます
次郎 誰だ
太郎 キリスト、天台、伝教、法然であります。
次郎 ほう、君はキリストの信者なの。
太郎 私は仏教派です。
次郎 ほう、しかし、法然はごまかしや屋。インチキだよ。
太郎 なにを言う。法然をののしるとは、許さんよ。
次郎 天台は優秀で世に安穏にした。しかし、君、目を覚ませ、法然は騙し屋だよ。
太郎 怒るよ。法然様は、17歳で天台山に昇り、懸命に勉学に励み、
学を極め、様々な仏論を解釈され説法するなど人々に貢献された。
法然様の悪口言うと、許さんよ。
次郎 世の中の不幸の源、正法の誹謗の罪は重たい。目を覚ませ、
君が目を覚ますことによって、世の中は変わる。安穏の道となる。
私も以前は君と同様だった。お坊さんは誰しも偉いと思っていた。しかし、武家時代、比叡山での武力行為、北陸での一揆挑発、尊敬それていた僧侶、良寛の堕落など坊主に悪者がいる
太郎 くくくくく、君、怒るぞ。
二人は殴り合いをした。太郎は、パンチを次郎の顔面に浴びせたのだった。また、次郎は、お返しとばかり、右のストレートで太郎の鼻を思い切って浴びせた。のち、近所の人に通報され二人とも御用となり会社も解雇された。
しかし、ひどいものだ。どうなっているのだろう。仏法では暴力を否定している。非暴力なのが仏教なのだ。その意味でも二人は、仏教界から破門すべきだ。
歴史から見ても、釈迦は、一人で一切衆生を幸福の為にと説法され続けた。不軽菩薩は、衆生の説法に各地を歩いた。中には、地頭などが棒などで、不軽に襲い掛かった。だが、不軽は、逃げて、遠くで礼拝して去った。人の生命がお金に換えられない宝と説かれるのも仏説である。