三日月も、半月も、満月も

まだ外出もままならないメイおばさんは
柄にもなくじっと室内で暮らしています。

このしっかりと固定された左腕が自由になるまでは
料理だって掃除だって最小限のことしかできません。
情けないことです。

ならばこの際、読まねばいけない本でも読もうかと
どさっと読書椅子に積んでみても
集中力が続きません。

自分が家族の役にも立てず
友の役にも立てず
ましてや世の中の役にも立てないという感覚は
けっこう辛いものです。

そんな時間の流れの中で救われていることは
窓の向こうにはいつだって
外の世界が広がっていることです。

もしも窓がなかったり
あっても建物の壁しか見えなかったとしたならば
メイおばさん、どんなに落ち込むばかりだったでしょう。

シアトルのダウンタウンの摩天楼も
朝日に染まるワシントン湖も
明るい光を浴びて厳かに立つレイニア山も
日暮れには夕日色に変わるオリンピック半島の山並みも見えず

たった今メイおばさんの右手の窓の外を
のびやかによぎって行ったカモメたちに
話しかけることもできずにいたら

きっと心も体もどんどん小さくなって行ったことでしょう。

昨夜のお月様は半月に近付いて行く途中でした。

三日月も、半月も、満月も
どの月だってみなそれぞれに美しい。


そんな風に思えることが
またありがたいメイおばさんです。


読んでくださってありがとうございました。
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１月４日：ソールフードの夜
１月３日：ワッシャーのお助けスープ
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