どちらかと問われれば
山よりは海
どちらかと問われれば
湖よりは海
またどちらかと問われれば
地平線よりは水平線
さらにどちらかと問われれば
広い陸地よりも小さな島
そんな風に
さまざまな海を見て
あちこちの海で泳いできたけれど
海が男性か女性かと問われれば
しばし考え込んでしまう
そしてたぶん
そのどちらでもあるし
そのどちらでもない
と答えてしまう
「海のことを考えるばあい、老人はいつもラ・マルということばを思いうかべた。それは、愛情をこめて海を呼ぶときに、この地方の人々が口にするスペイン語だった。海を愛するものも、ときにはそれを悪しざまにののしることもある。が、そのときすら、海が女性であるという感じはかれらの語調から失われたためしがない。もっとも、若い漁師たちのあるもの、釣綱につける浮きのかわりにブイを使ったり、鮫の肝臓で大もうけした金でモーターボートを買いこんだりする連中は、海をエル・マルというふうに男性あつかいしている。かれらにとって、海は闘争の相手であり、仕事場であり、あるいは敵でさえあった。しかし、老人はいつも海を女性と考えていた。それは大きな恵みを、ときには与え、ときにはお預けにするなにものかだ。」
ヘミングウェイ「老人と海」(福田恆存訳)より
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