妻がいて孤独

基本的にふざけろ

K・V

2008-02-25 21:34:43 | Weblog
 カート・ヴォネガットが亡くなって、文庫判がぞくぞく出版されているのは、悲しいけれどうれしい話だ。ただいま「青ひげ」を読み途中。
 ぼくのまわりに読書を好む野郎なんてほとんどいないし、いても好みがなかなかあわず、したがって好きな作家についていろいろ思うところを語り合うこともない。寂しいものでる。

 この作家の作品の中で、ぼくは「デッドアイ・ディック」という小説が妙に好きだ。
 代表作とは呼べないのだろうなあ。でもぼくにとっては特別な本である。
 これも亡くなってから出版されて買った本。
「デッドアイ・ディック」が妙に好き、という人に出会えたら、どれだけうれしいだろう。
 カート・ヴォネガットらしいはらしいんだけど、どこか力が抜けていて、いつもの饒舌が薄くて、人物の輪郭がなんだかハッキリしていて、なによりどういう思考の流れでこういう人物を描こうと思ったのが分からなくておもしろい。全体のヴァランスがへんてこなのも、好み。

 好きな場面=一人称(子供)が勾留所で警官によってリンチに会うところ→顔を真っ黒に塗られ、その町の主立った大人たちに(むろん非公式に、夜中に)見せ物にされる。なんとアメリカ的!!! 正義が大好きな国!!!
 
 そもそも一人称の父親が強烈。二次大戦の始まるころ、ナチズムに熱狂している。考えてみればありそうな話であるが、こんな切り口でアメリカのある時代を切り取るなんて、ぼくは見たことがない。

「ローズウオーターさん、あなたに神のお恵みを」が一番好きかな。
 →キリストをモティーフに、狂人を描いた「読みやすい小説」として出色。

 昨日、髪を切った(自分で。バリカンで。いつものように)。
 現場のいろんなあんちゃん・おっさん・インド人に突っ込まれる。
 後頭部がひどい仕上げらしい。  
 恥ずかしい。