「この国のかたち」的こころ

敬愛する司馬遼太郎さんと小沢昭一さんに少しでも近づきたくて、書きなぐってます。

豊悦版 「太宰治物語」

2005年10月10日 23時05分33秒 | 日記
 太宰を豊川悦司、妻の美知子を寺島しのぶ、太宰の愛人・太田静子を菅野美穂が演じる。太宰が、先輩作家の井伏鱒二(橋爪功)の世話で美知子と結婚し、愛人の山崎富栄(伊藤歩)と玉川上水で入水自殺を遂げるまでを描く。

 太宰は、人に求められると断れず、喜んでもらうことが何よりも好きだった人物として登場する。太宰を慕って来る弟子や女性に甘く、すぐに受け入れてしまうことから、美知子や子どもたちと築いた家庭が次第に壊れていく。

 撮影中、プレッシャーを感じ続けていたという太宰役の豊川は、「実在の人物を演じるのは、架空の役よりはるかに難しい。演じるにつれ、太宰とかけ離れていくのではないか、という懸念があった。演じる以上は、太宰を知る親族や関係者に納得してもらう人物像を作ろうと思っていた」と語る。

 また、豊川は、制作側の意図する「明るい太宰」を発見する機会にもなったという。「彼の天真爛漫(らんまん)さや純粋さという側面は、これまであまり描かれてこなかったのではないか。この作品と出合い、従来のイメージが変わっていった」と強調する。



太宰(豊川悦司=写真左)は、妻・美知子(寺島しのぶ=中央)や愛人・太田静子(菅野美穂=右)との間で苦悩し、名作群を生み出す 妻・美知子も、「人間・太宰治」を描く際の重要な役どころだ。寺島は、「天才と言われている人の奥さんというのは大変だなと思った。身内でなかったら魅力的な人なのに、とも感じた。その一方で、子どもを持つ美知子は強い母としての存在感があり、感心しながら演じた」という。

 脚本を担当した田中晶子は、精いっぱい真っすぐに生きようとしながら、世の中と折り合いがつかず、次第に進路が狂っていく太宰の姿を丹念にたどっている。

 「太宰は、一般に破滅型というイメージが強いが、ドラマで主に描く太宰は作家生活の中期に当たり、数々の名作を生み出した非常に充実していた時期。妻の美知子から見た太宰の生活や、夫婦の関係が壊れていく過程を表現したかった」

 「太宰は、ふだんの生活に生きがたさを感じていた人。現在でも、同じような感覚で、ニートやフリーターになっている人たちの共感を呼ぶのではないか」と語る。

 貴島誠一郎プロデューサーは、「さまざまなとらえ方をされている太宰の日常や夫婦生活はどんなものだったのか、という興味からドラマを制作した。天才作家だが、身近な存在となり、視聴者にも共通点を見いだしてもらえると思う」と話している。


 今、太宰をやるならこの人しかいないのかなあ、と思ったりします。

 津島美和子さんは寺島しのぶさんでばっちりだし菅野美穂さんはしっかり太田静子を演じていたね。

 何てったって橋爪功さんの井伏鱒二が良かったねえ。

 こういう作家の半生を描いた作品ってのは原作家や脚本家の対象作家をどう捉えるかというコンセプトが色濃く出てしまってあまり見ないようにしていた。スペシャル時間枠と言っても三時間枠がせいぜいだから、その中で人の人生を筋の通ったものにしてしまおうというのが最初から無理があるのだが、それでも太宰とくれば見てしまうのが僕の辛いところです。

 でもまあ良くできた作品なのではないでしょうか。

太宰のはにかみがもう少し出ても良いのでは良いと思ってます。

 彼は津軽人です。東北の一番奥にあります。

 太宰は裕福な家に生まれましたが、親や男の兄弟とは離れて暮らし、後に名作「津軽」を生み出すことになる、子育て係の「たけ」さんと女兄弟に囲まれて暮らします。

 

 彼の話し方(文体も含めて)の原点はそういった環境で培われた女性に近い優しげなものと、津島修治(つしましゅうじ)という本名を(つすますーず)と発音していた訛りの強さに対するコンプレックスにあると僕は睨んでます。
 
 そしてどんなに訛りを修正しても直らなかったと思われる津軽弁の助詞を省く構文が彼の文章に独特の甘えかかるリズム感を与えているのではないでしょうか。

 これは僕の勝手な論ですので簡単に信じてはいけません。

 太宰の魅力は二人称にある語りかけの文章に女性が引きこまれるためだという人がいます。それも確かにそうでしょう。でもそれだけでなく僕が挙げた点も含めて考えて頂ければ、よりはっきりとしてくるかと思います。

 わがままでありながら傷つきやすく、自分の身を投げ出すような優しさを見せるかと思えば、今生の敵のように冷たく突き放すこともある、そんな太宰を描ききるとことが出来るかといえば、どうも出来そうもないと答えるしかないようなのです。
  

3億円があったら リターンズ 日本全国お祭りめぐり5

2005年10月10日 18時03分22秒 | 文化論
  この稿は3億円あったら日本全国特等席で見たいお祭りを見ようっていう趣向で書いてます。トラックバック練習版のお題としては、とうの昔に過ぎ去っていますが勝手に書いています。


 7月も下旬になると福島県の相馬では街中を馬が歩くようになりますな。街中が馬のウンコだらけになります。

 毎年7月23日24日25日に開かれる相馬野馬追いは是非とも一度見てみたいというより参加してみたいお祭りです。

 中でも24日に行われる神旗争奪戦には出てみたいのです。

 午後1時、山頂の本陣から戦闘開始の陣螺が鳴り渡ると、満を持していた数百騎の騎馬武者たちが、夏草茂る雲雀ヶ原一面に広がる。天中高く打ち上げられた花火が炸裂し、二本のご神旗がゆっくり舞い下りてくると、数百騎の騎馬武者がこの旗を目指しどっと駆け出し、ご神旗下に群がり鞭を振りかざし勇壮果敢に奪い合います。雲雀ヶ原祭場地は、戦場と化し祭りは最高潮に達する。

 と解説にもあるように男の子だったら一度はやってみたいと思うのではないでしょうか。

 会場となる公園というより広場には行ったことがあるのです。友人がすぐ傍に住んでいるものですからね。

 尤も彼は夫婦は地元民でなく旦那の方は同じ福島でも白河の出身ですから祭りには縁がないそうです。

 奥さんの方はこれはもう鹿児島の女ですからぜんぜん違います。

 そういえば福島って太平洋側の「浜通り」、福島、郡山を擁し東北本線が通る「中通り」、会津若松を中心に結束の固い「会津」では人間の気質がまるで違うのだそうですがどうなんでしょうね。

 僕たちの静岡県も東西に長い県ですから、名古屋文化圏に属する()とにかくなんでもやってから考えようとする”やらまいか”精神の「浜松文化圏」と(どんなに盛り上がっていても一人が”かったるいでやめざーや”というとすぐに冷めて”そんじゃあやめるか”になってしまう)精神だが京都の文化を受け継ぎ品が良くて落ち着いた感じの「静岡文化圏」と、観光が主産業で、どちらかというと東京の下町に近い感性を持つ「伊豆文化圏」とがあって人間性も趣味も違い、お互いを快く思っていない傾向がある。

 静岡の人間は浜松の人間を「下品」でずるいといい、浜松の人間は静岡の人間を「お品ぶってる」(ぶりっこの静岡方言)うえに人間が冷たいと蔑んでいる。

 福島の人達もそうなのかな。

 県内の対立は青森もあるというし(津軽と下北)島根にも(出雲と松江?)とかあるそうだし、隣の愛知県では尾張の国と三河の国とでは人間の気質がまるっきり正反対だときいたことがある。


 話が随分それた。

 
 神旗争奪はできなくても馬に乗って完全武装して全速力で黒沢映画のように駆け回りたい1というのが生涯の希望になっている。

 無理だろうなあとおもう。

 相馬の人々はこのお祭りのためだけに、馬を育てているのだそうである。

 もちろん最近では、他の専門的な人からレンタルで借りてくる場合もあるのだそうだが、馬のことがホントに好きでないとこのお祭りには参加できない気がしてきている。

  

映画「スピード」はもう見れない。

2005年10月10日 00時10分41秒 | 妄想
  ビルのエレベーターを爆破した男が、ロサンゼルス市警のSWAT隊員であるジャックに挑んできた。時速80キロ以下になると爆発する爆薬をバスに仕掛けたというのだ。ジャックはバスにとび乗ったが…。 キアヌ・リーブスがSWAT隊員のジャックに扮し、スリル感満点ののノンストップアクションを展開する。重傷を負った運転手に代わって、免許停止中にもかかわらず大型バスのハンドルを握る。この見かけとは逆の強い女を演じるのは、サンドラ・ブロックだ。そして執ような爆破犯には、嫌な男を演じさせたら天下一品のデニス・ホッパーが扮している。監督は、これが第1作目のヤン・デ・ボン。撮影監督時代の流麗なカメラワークを生かし、文字どおり息をつかせぬ緊張感あふれる傑作を作りだした。

 隣町のお祭りを見に行った母娘を迎えに行って何気なくテレビを付けたら、やってたんで見てました。

 今までにも何度か見た映画ですが、その度にドキドキさせられて新鮮さを持てる映画だと思ってます。
 バスを脱出した時点でカミさんに「早くお風呂に入ってよ!」と怒られたので、急いで入ってすぐに出てきて続きを見ようとしたら、すでにラストシーンだった。
 地下鉄で犯人と闘って勝つところまでは覚えてたんだけどラストシーンははっきりしてなかった。

 この映画の魅力のほとんどは、暴走するバスで繰り広げられる出来事だろうと思うのでラストシーンはそれほど印象に残らない。

 でも今回そのシーンを見て、これは、この映画はもう見ない方が良いと思ってしまった。
 暴走する地下鉄内に手錠をかけられたままで取り残されるヒロイン(サンドラ・ブロック)を助けるためにヒーロー(キアヌ・リーブス)は車両のスピードを最大限にしてカーブでわざと脱線させて、助かろうと目論む。

 カーブ・過速度・脱線・電車…。ここまで書かなくても分かると思うけど、そのシーンは「尼ヶ崎列車脱線事故」を追体験させるものでした。

 大きく揺れる車両、浮き上がる鉄の車輪、そして脱線、激しい金属音と共に車両が横向きになり、一部がコンクリート柱にぶつかりへし折れる。二人の乗った先頭車両だけが、工事途中の地下鉄出口から奇跡的に道路上に飛び出して横倒しになって止まる。

 あまりにも光景が重なりすぎることと、強烈な印象がまだ鮮明さを失わないままでいることを僕らに教えてくれる映像となっている。

 僕がただ過敏すぎるだけなのであろうか。