「この国のかたち」的こころ

敬愛する司馬遼太郎さんと小沢昭一さんに少しでも近づきたくて、書きなぐってます。

サスペンスの定番

2005年08月07日 18時10分34秒 | 日記
 昨夜は伊豆の伊東温泉に宿泊しました。

 「ホテル聚楽」は日本の会社主義のお父さん達によって支えられてきた観光ホテルです。

 慰安旅行、社員旅行、研修旅行と銘打った伊豆での一泊大宴会は、数限りなく行われたはずであり、大型バスが、既にできあがった状態の赤ら顔でエネルギッシュで、油ぎっしゅなおじさん達を吐き出したときから、戦争のような活気のある様相を呈したのであろう。

 広すぎる廊下、少なすぎる駐車スペース、ピンクのカーペットと金色の手すり、タバコのやにで汚れた壁。

 西欧のホテルを模して、威厳のあるフロントの脇を浴衣にスリッパ履きの人たちが通り過ぎる、西欧と日本文化のコラボレーション、ついでに従業員はアロハシャツを着込んで、廊下にはイベントとして夜店市を模した屋台が準備されている。

 日本経済の無限の拡大を想定されて作られた巨大な箱は、いまや参加者の減少どころか慰安旅行そのものがなくなっている社会システムに変化し、設備投資の費用はトイレのシャワー化等の必要最小限にとどめ、従業員を極力減らし、人件費の削減に努めている。
 
 僕たちはフロントに着く前に、案内のお兄さんに呼び止められ、名前を確認され、ついでに宿泊の諸注意(案内)を受けた。

 宿泊する部屋の階まで案内されたが、荷物を持ってくれる様子はなかった。

 要するに仲居さんらしき人はついに来なかったということです。

 宿泊はすべてファミリーユーザーだった。

 でも夏のこの時期1万5千円で1泊2食は安いんじゃないの? 

 と思っていた。

 謎は夕飯で解けた。

 バイキング形式だった。

 禁煙指定のイベントホールで、夕食を採った。

 若いお姉さん達が一所懸命動いていたが、胸に着いた名札を見ると「アルバイト」と書いてあった。

 どの料理も、やや塩気が強く高血圧に悩む僕にはきついものだったが、品数は豊富でキッズコーナーもあり、子供達は楽しげにあちこちしていた。

 僕たちは一部家族連れだが、ほとんどがおじさんばかりであり、そういうしゅうだんは他にいなかった。

 僕たちは大学卒業後、毎年夏と冬に集まっている。

 みんな国文科である。

 もう24年続いている。

 昨年までは、千葉、福島、神奈川、静岡、岐阜、茨城と各出身県を持ち回っていた。

 条件も厳しくて、海かプールで子供を遊ばせることができること、と安いことが満たされてなくてはならなかった。

 ところが各家庭の子供が大きくなり、お父さんの友達との旅行になんてついてこなくなった。

 で、先のような有様になるのである。

 お酒も呑んだけど、テーブルに椅子だとどうもうまく酔えない。



 でも楽しかったかいいや。


 で、

 今日は、伊東城ヶ崎海岸の吊り橋に行って来た。

 断崖絶壁にかかる吊り橋で「火曜サスペンス劇場」「土曜ワイドサスペンス」等で一度ならず殺人現場になった場所である。

 僕たちは吊り橋の近くにある駐車場を避け、大回りして「ぼらのや」というお店のある所にいった。
 この「ぼらのや」は伊勢エビの丸ごとはいったみそ汁が有名なお店である。

 ここから、吊り橋までは850M。

 炎天下のもと、僕たちは火山活動でできた溶岩が形作る海岸線を歩いた。

 途中「ぼらのやまで500M、吊り橋まで450M」と書いてあって人の歩く気を喪失させたりするが、歩いた後に見る光景としては悪くない。

 途中「殺人」だの「火曜サスペンス」だの「ミステリー」などというセリフを何度聞いたか分からないくらいだったが、それだけテレビの影響って凄いのに、「火サス」は放送終了になると言うことで何となくもったいない気がした。