風雅遁走!(ふうがとんそう)

引っ越し版!フーガは遁走曲と訳される。いったい何処へ逃げると言うのか? また、風雅は詩歌の道のことであるという。

シルク・ド・空中散歩

2007-01-13 00:28:19 | アート・文化
Cirque_3 史上最少の数の青年たちが、晴れて二十歳を迎えた「成人の日」の8日、映画と展覧会を見るために渋谷へでてきたボクは、道玄坂で開催されていた「ヘブン・アーティスト in 渋谷」に遭遇する。熱心に全部を見てまわった訳ではないから、たいしたことは言えないが、「109」の目の前でやぐらのようなものを組み立ててショーをしていた「シルク・バロック」のまわりはひときわ大きな輪ができていてボクもその素晴らしい技に目を奪われてしまった。フランスの話題が続いていたから、このテーマはちょうどいいだろう。「シルク・バロック」はフランス人男女の二人組みだったから……。

 駅の方からそのヤグラが目に入り、そのてっぺんに人影をみとめた時、ノーテンキなボクは「やぁ、歩行者天国にして、「出初め式」をやってるぞ!」と、とんでもない誤解をしていた。出初め式は「はしご」で、江戸の火消しの格好でやるものだろう! それに、消防車は1台も見えなかったのだ。
 近付いてそれが、ヤグラを組んでのショーだとわかるのだが、それにしてもそのカップルの技は東京都の大道芸人認定制度(ヘンなの!)である「ヘブン・アーティスト」という割には、「技」がずば抜けていた。
 それもそのはずだった。彼らは、「シルク・バロック(Cirque Baroque)」というヌーベル・シルクのメンバーだったのだ。いわば、プロなのである。「シルク」というのは円形競技場という原義からできたフランス語の「サーカス」のことである。
 やぐらからぶら下がるロープを使用するだけのいたってシンプルな道具立てなのに、その「技」は半端ではない。見ている方をハラハラさせ、空中で自在にその身をひるがえさせる身軽さは、ちゃんと計算され日々訓練されたものだから美しくもある。「人間ヨーヨー(糸巻き)」(勝手に名付けました(笑))のように、自分の身体にロープを巻付けて一番高いところからクルクルと回転して地上近くで、見事に停止する。観衆からどよめきが起こる。

 ヌーベル・シルクというのはシルク・ド・ソレイユとか、毎年のように日本公演をうっている有名なサーカス団があるから御存知の方も多いだろう。
 照明・演出・衣裳そのどれもが、あのむかしの哀しげでうらさびしくもある「旅回りサーカス」(ボクはそこが好きですが……)とはイメージが一新されるファンタジックで、ファッショナブルな新しいサーカス表現である。サーカスの個々人の「技」を統合し、総合芸術のような域にまで高めている。いや、そうまで言わなくとも素晴らしいエンターティメントになっているのだ。

 そのような、空中散歩の数々、プロの「技」堪能しました。すみません、タダ見です。でも、後援に道玄坂の商店街組合が入っているのでそこそこギャラは支払われたと思います。帽子やザル(ってフランスにはないよね(笑))は、回ってきませんでしたから……。

 (写真3)いたってシンプルな道具立てですが、プロのサーカスの「技」を見せてくれました。この仕掛け道具は手持ちでは持ってこれません(笑)。でも、他の大道芸人が可哀想な感じです。