現代医学的鍼灸治療

針灸師と鍼灸ファンの医師に、現代医学的知見に基づいた鍼灸治療の方法を説明する。
(背景写真は、国立市「大学通り」です)

膝の使いすぎ症候群とオスグッド病の針灸治療

2006-06-14 | 膝痛

1.OA以外の針灸適応の膝痛
 膝関節症は急性と慢性に大別する。急性で、かつ発症のきっかけが明瞭で外傷性(スポーツ外傷や打撲)であれば膝内障の可能性がある。膝内障とは、膝関節構造に直接関係した部分の障害であり、前後の十字靱帯損傷と内外の半月板損傷の総称である。膝内障にも軽重あり、重症では手術の対象となる。その見極めは整形外科医の判断によるので、針灸は一応不適である。また膝関節が発赤して熱感があれば化膿性関節炎を考えるので針灸不適応になる。

 発症エピソード不明なものの大半は針灸適応である。中高年者(40歳以上)の膝痛で最も多いのは変形性膝関節症であるが、10~15歳の膝痛ではオスグッド病を考える。また膝過剰負荷の条件があれば、使いすぎ症候群(またはオーバーユース症候群)を考える。
 オスグッド病や使いすぎ症候群は、膝の一部分の痛みを訴えるので、症状部位から、ある程度診断を予想できるという特徴がある。整外での治療法も共通しており、ほとんどが運動禁止と安静である。

2.オスグッド病
 成長期(10~15歳)に脛骨粗面の膝蓋靱帯付着部に、繰り返し牽引力が働くことによる。脛骨粗面の圧痛、運動痛、腫脹、熱感。

3.使いすぎ症候群(オーバーユース症候群)
 スポーツの種類によって障害を起こしやすい部が知られている。平泳ぎ膝、ジャンパー膝、ランナー膝に分類され、ランナー膝はさらに膝蓋骨軟骨化症・鵞足炎・腸脛径靱帯炎に分かれる。

1)膝蓋骨軟骨化症
 長距離ランニングにより生ずる代表疾患の一つ。膝蓋骨が外側に偏位し、大腿骨との適合性不良となった状態。
 階段昇降時やスポーツ時の膝蓋骨周囲の疼痛。
 膝蓋骨圧迫テスト(+)、膝蓋骨外縁の圧痛(+)

2)鵞足炎
 ランナー膝の一つ。脛骨顆部内側で鵞足(半腱様筋腱、薄筋腱、縫工筋腱の脛骨付着部)が滑液包と摩擦することで炎症を起こした状態。
 階段昇降時や急な立ち上がり動作、しゃがみこみ動作時の鵞足部の痛み。
 鵞足部の圧痛と腫脹(+)

3)腸脛靱帯炎
 ランニング中に膝の屈伸を繰り返すことで、腸脛靱帯が大腿外側上顆でこすれ、炎症をおこしたもの。
 運動時の膝の大腿外側上顆部の痛み(+)
 グラスピングテスト(+)

4)膝蓋靱帯炎
 ジャンパー膝ともよぶ。バレーボールなどでジャンプするスポーツ選手に多発する。激しいジャンプの繰り返しにより、膝蓋靱帯に過大な負荷がかかり、線維の小断裂、循環障害、深部の炎症などを起こす。
 膝蓋骨下端に限局した圧痛や運動痛。

5)平泳ぎ膝
 平泳ぎ時のキックにより。膝内側々副靱帯に繰り返し張力が加わり、脛骨付着部炎を生じたもの。

4.オスグッド病と使いすぎ症候群の針灸治療
 針灸治療は単純で、限局性の圧痛点を目標に刺針するだけで十分効果ある。また免荷目的のテーピングを実施する。痛みのある間は、極力スポーツや労働を休止するように指示する。 




 

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