現代医学的鍼灸治療

針灸師と鍼灸ファンの医師に、現代医学的知見に基づいた鍼灸治療の方法を説明する。
(背景写真は、国立市「大学通り」です)

中医学にみる腎・膀胱の機能と排尿障害

2010-08-06 | 古典概念の現代医学的解釈



1.人体の生命力は、蒸し器の中にある水を沸騰させてできる水蒸気が根本になると古代中国人は考察した。この水は蒸発して目減りするので、新たな水の流入が必要で、この役割が脾に負わせられている。脾は、飲食物を原料として生成された腎水の元をつくる。

2.腎水は、火で熱せられて、水蒸気を生む。この水蒸気は身体各所でエネルギー源として利用されるが、余剰になった水蒸気は蒸し器の上部で冷やされ、水滴になって再び腎水に戻る。腎水は何回も使い回しされるわけだが、その過程で次第に汚れてくる。この汚水を体外に排泄するシステムが、腎-膀胱にある。

3.腎のもつ気化作用(物質変換作用)により、汚れた腎水は膀胱に送られ、尿液と名前を変える。膀胱には一定の容量があるので、ある程度膀胱中に尿液が満ちても、通常は排尿してもよい時間と場所を選ぶまで、排尿を意志力により我慢する。これを膀胱の約束作用とよぶ。約束とは、括約筋の総称で、この場合は膀胱括約筋や尿道括約筋のことをいう。

4.排尿してもよい状況になれば、膀胱の気化作用により、実際に排尿する。この場合の気化とは、尿液から尿への物質変換作用をいう。

5.病的状態
1)肺熱 =肺炎など、肺における発熱性感染症
「肺は水の上源」という言葉がある。これは腎水が熱せられ、水蒸気になって上昇する高さの限界をいう。この高さになると、水蒸気は冷やされ、水滴になる。肺に熱があれば、水蒸気は上昇しても冷やされない。その結果水滴に変化する量も減って、腎水に戻れないので、腎水の量は次第に少なくなってくる。蒸し器としては、空だきになるのを嫌って、汚れた腎水であっても膀胱に放出しようとしない。この結果として尿量減少する。

2)膀胱湿熱 =膀胱炎
膀胱に外因である湿熱の邪が侵入して、膀胱のもつ気化作用の能力低下。尿液を尿に変換できない、すなわち小便量減少する。
※湿熱=暑く湿った日は、汗がでても蒸発しにくいので、気化熱を奪えず(=気の流れが妨げられる)、体内に熱が蓄積する。この場合、膀胱が熱中症状態になり、膀胱の機能低下を起こす。

3)脾気虚 =消化機能障害
脾は、蒸し器の中に、新たな水を注ぎ込む装置である。この装置の能力が低下すると、腎水量を減らさないように、本来なら膀胱に行くべき汚水も、蒸し器内に留める。膀胱に行く水量減少により、小便量も減少する。

4)腎陽虚 =老人性前立腺肥大
腎虚には、腎陽虚と腎陰虚の区別がある。腎陰とは腎水自体をさし、腎陰虚とは、腎水量の減少をいう。腎陽とは、温まった腎水をいう。腎水を温めるのは命門火力なので、腎陽虚とはこの火力が弱くなって腎水を十分に加熱できない状態をいう。
ここでの腎陽虚とは、火力が弱まった状態で、その人の生命力が低下している状態に他ならない。ちなみにこの火が消えることは死を意味している。


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