Andyの日記

不定期更新が自慢の日記でございます。

人の命

2005-04-01 12:44:01 | よしなしごと
ここ最近話題になっていた、アメリカのテリ・シャイボさんが亡くなられた
ということです。心より、ご冥福をお祈りいたします。彼女については
外野の騒ぎのほうがすごかったですけど(キリスト教右派に動かされた
部首さんにはやや興ざめしました)、今回の件では本当に人の命と、
その価値の大きさについて考えさせられました。

彼女が植物状態になったのは、無理なダイエットが原因だったということ
です。ハイスクール時代にはすでに100kgを超える巨漢だった彼女は、
大学に入ると無理なダイエットをして一気に50kg近くも減量し、
そのときに出会ったボーイフレンドとそのままゴールイン。結婚後も
ダイエットを継続しており(下剤を常用)、さらにそのダイエットが原因の
拒食症に苦しめられて嘔吐を繰り返し、結果として極度のカリウム不足を
引き起こして倒れてしまいました。夫が発見して病院に搬送されたとき
には、すでに心停止状態で脳がかなりのダメージを負っていたため、
植物状態になってしまったのだそうです。

夫も両親もしばらくはテリさんに奇跡が起きることを祈って懸命に看病を
続けましたが、担当の医師が『彼女にはこれ以上の回復の見込みがない』と
夫と彼女の両親に伝えると、夫は延命処置を拒否しようとしました。理由は
テリさんが植物状態になる以前に、酸素チューブをつけて延命処置をされて
いた夫の祖母を夫と一緒に見舞いに行った後、「私はいや。あんな状態に
なってまで生きていたくない」と発言していたからだ、ということです
(この夫はすでに別の女性と再婚しています)。

両親はそれに徹底的に反対し、テリさんの延命処置が正当であるかを裁判
での判断にゆだねました。結果はご承知の通りです。ご両親の気持ちは
いかばかりだったでしょうか。ご両親にとって特に気の毒であったのは、
彼女は植物状態とはいえ、多少の反射運動が見られたことでしょう。
苦痛に顔をしかめる、咳をする、目の前を飛ぶ風船を目で追う、などの
反応を見ていれば、「娘を死なせるわけにはいない」と思うのは当然です。

彼女の夫については、何とも言えません。延命処置を拒否したのは、
彼女を見ているのがつらかったからかもしれないし、再婚をしたのは
一人でいることの孤独に耐えられなかったからかもしれません。しかし、
私ならどうだろう・・・・・。もしも私の奥様がまばたき1つできない
ほどの重度の植物状態になってしまったとしても、絶対に、どんな手段を
使ってでも延命処置をやめさせたりはしない。私が彼女のご両親の立場なら、
裁判官も陪審員も、全員皆殺しにするかもしれない。

たとえ体がまったく動かなくても、私の奥様は私の奥様だ。私の奥様の
体温、私の奥様の香り、私の奥様の柔らかさ、奥様に体をくっつければ
いつでも感じることができる。私の宝物だ。他人の「公正な判決」によって
奪い取られることなど、絶対に受け入れたりはしない。なのに、あの夫は
自分から彼女を天国に行かせることを決断した。

人間とはわからないものです。十人十色といいますが、こんな人たちも
いるのですね。人の命の重さすら、人によっては違う、ということでしょう。
「大勢殺せば勲章で一人殺せば殺人者」と言ったのはチャップリンですが、
人間とは何だろう、と考えさせられる今回の一件でありました。