月の晩にひらく「アンデルの手帖」

出雲大社に詣でる




1月4日(土)晴れ

たっぷりと8時近くまで眠る。

1階の「オールデイダイニング ルオーレ」でビッフェ。ダイニングはまだお正月モード。人が多い。
洋食メニューのほかに、アナゴの南蛮漬けやお好み焼きなど、和食も充実。特においしかったのは、牡蠣の佃煮や刻みアナゴなど数種のトッピングとあごだしでいただく「あごだし朝茶漬け」。30分間隔で焼き上がる、クロワッサン。


食後。エレベーターで上階まで上がろうと待っていると、展望フロア行きというのがあるのを発見。とても興味を引かれたのでひとりでのる。32階の宴会場フロアに到着。宿泊客限定で朝8時~10時まで、瀬戸内海の景色を満喫できるように開放しているのだ。

南側には旧広島市民球場跡の円形、その先を川が流れ、瀬戸内の海と宮島、その向こうに山が広がっていた。


北側。御門橋、平櫓、太鼓櫓、広島城全体がみえる。どちらも川と山があり、遠くまで見晴らせた。


こぢんまりとして美しい町。晴れ晴れした気持ちで大きく息を吸い、部屋に戻った。


さて、これから宮島の厳島神社に参拝するのか、出雲方面へ行くのか。朝食を食べながら思案していたが、混雑は予想しつつも、ずっと行きたかった出雲大社に軍配。(小さい頃のアルバムでは確か5歳の頃、一度だけ行ったきり)。

広島から中国自動車道、松江自動車道を乗り継いで2時間半。

ようやく出雲市に入り、もう目の前と安堵。島根ワイナリーで休憩した。酒臭い息で参拝はいけない!と自制しつつも綺麗なパッケージにひかれて「縁結」というソーヴィニヨン・ブランの白ワイン(2,035円)を買う。


ここからが渋滞だ。
そういえば車窓から空を見上げると、雲と雲の間からザーッと光がふっていた。

松江自動車道をおりる前あたりからだ。

空から山へ、田へ、家へ。そそぐ光の束。

虹と光が一体になっているような光を眺めては、相方と話したり、地図を調べたり。近くの雑木林が、ざわっざわっと。出雲マジックなのか、気持ちもざわざわっとした。よい意味で。


そして、大国主大神を祭神とする「出雲大社」にやってきた。最初の鳥居をくぐると、見事な松並木。


さっきまでの凍えるほどの寒さはいずこに。清々しい青い松に迎えられ、意識がはっきりとしていくのがわかる。

出雲大社銅鳥居の手前には、キリッと両手を広げた大国主大神の像。
因幡の白うさぎをお救いになった弱者に手をさしのべてくださる神様が。

御仮殿(拝殿)。
総檜造りで屋根には銅板を拭く、質素で古式ゆかしき拝殿だ。(昭和34年に建築)。流麗な屋根のかたち。おぉー気持ちが引き締まるよう。




御本社をのぞむ。大社造りとよばれる日本最古の神社建築。国宝である。
かの岡本太郎は「この野蛮なすごみ、迫力、日本建築の最高表現」とどこかで書いていたとか。

ここで出雲大社についての解説を加えます。

(出雲大社のホームページより)
大神様は国づくりの最中、農耕・漁業・殖産から医薬の道まで、私たちが生きてゆく上で必要な様々な知恵を授けられ、多くの救いを与えて下さいました。この慈愛ある御心への感謝の顕れが、一つ一つの御神名の由来となっています。 “えんむすび”の神として人々に慕われていらっしゃいますが、史の中で、代々の祖先の歩みを常に見守られ、目に見えないご縁を結んで下さっているのが大国主大神様です。
(中略)
大国主大神様が国づくりによって築かれた国は、「豊葦原の瑞穂国」と呼ばれ、あらゆるものが豊かに、力強く在る国。大神様は国づくりの後、私たち日本民族を遍く照らし治める天照大御神様へとお還し(国土奉還=国譲り)になります。そしてこの世の目に見える世界の政治は天照大御神様の子孫があたることとし、大国主大神様は目に見えない世界を司り、そこにはたらく「むすび」の御霊力によって人々の幸福を導いて下さい、とお話しになったそうでございます。



出雲大社の初詣。静けさと興奮が錯綜する面白い心地がした。今の自分の年齢と、10歳にもならない幼い自分の目が一緒になって、出雲大社の御気を味わうようだ。

時計と反対まわりに社を参拝し、8つの社を参拝したあとで、神楽殿。日本最大級の注連縄を写真におさめよう。


御本殿の真後ろに(上手)に鎮座する素鵞社(そがのやしろ)で参拝するために並んでいたら、背後からこんな話しが聞こえてきた。

「いつもなら、これほど並ばなくてもいいのに。大変なことよね」(おばさんの声)
「そういうなって。それだけ長く境内にいられるんだから、ありがたいと思えばいい」(隣にいたとおもわれるおじさんの声)。

正月らしい、いい会話。いい空気だ。



このあとで、まっすぐに帰るのだろうと思っていたら、相方曰く「仕事の調査でここらは何度かきた。そうだ珍しいもん、あるで」と。松江に立ち寄る。

7時。あたりは灯が少なく暗い。さすが日本海、手足が凍えそうに冷たい。一刻もはやく店へ入りたい、でももう少し松江という地場をのぞきながらふらりふらりと歩いてみたいと葛藤する心中で、大きな川を越えた。ここの川向こうに〝宍道湖の七珍〟といわれる、スズキ、シラウオ、こい、鰻、モロゲエビ、アマサギ、シジミを安く食べさせてくれる店があるんだ!というが、すでに店の電気はみえない。閉店しているよう。もう一歩のとこで後戻り。

さっきから歩くこと20分ほど。
ふと通りすがりに寿司屋が。ふん、暖簾は悪くない。ここは松江。正月といえども、これはいいかも。食いしん坊の鼻がきく。正直「寿司秀」さんは、いい店だった。まわりはチェーン店の焼き鳥屋や居酒屋、バル、ラーメン屋ばかりの駅前にあって、駅からはおそらく徒歩8分ほどだろう。暖簾が風にパタパタをはためく姿をみて、ピンときたのだ。

店をあければ、カウンターには地元客で満員。奥の座敷も、全席埋まっている。若い人がほんの少し。
その地のおっちゃんやおばちゃん、お姉さんたちがほろ酔いで機嫌がいいしゃべり方をなさっていた。カウンターの奥には10畳座敷があった。



寿司一貫の値段がないので、相方がにぎりをオーダー。これが安い! 並なら1500円。2000円と続く。私は女将さんが勧めてくれた、純米「深山の香」生貯蔵酒をお願いした。  
 


シャリのやわらかく、品のいい握り具合。鮮度バツグンのネタ。冬の日本海の魚がこれほど繊細で活がよく、身が引き締まって、甘いのか。と惚れ惚れ。あ〜ここにしてよかった!!

何を口にいれてもうまかった。正月で漁が始まらないので、店があらかじめ仕入れていたネタだけ。それでも、あなごは、ほわっとやわらかく香ばしく焼け、シャリとの相性抜群。
イカは、歯をたてると細やかな粘りを備える甘みだ。潮の味を醸したタコも旨い。
そして、清々しい神秘の水のような「深山の香」。
これが寿司と最高にあう。怖いほどにうますぎて恍惚とした。

地方の滋味をたずねてあるくライターに徹してもいいと思うほど正月早々感動の瞬間だった。

追加でお願いしていた、しじみ汁。うーーん、素晴らしい。体の芯からあったかまる。アジ、タコ、ハマチを2カンづつ追加した。


店を出ると8時半だ。このまま松江で宿泊したかったが、翌日は地域の行事があったのでかえるしか道はない。



やむなく、大山と蒜山高原を越え、蒜山のパーンキングでちょっと休憩。お土産を5分みていたら、さすが山の天気だ。寒風が雨に、雪吹雪にかわる。峠を越える中、ワイパーを動かしても白い雪がフロントグラスをめがけて突き刺さるように降る。降る。これちゃんと帰れるのだろうか。周囲を走る車はぽつりぽつり。あまりよろしくない、パターンである。一気にスピードをあげて、赤のレクサスを猛スピードで。

岡山へ抜けるあたりから、雪はうそのように消えた。灰色の中、キラキラの星空がひろがっていた。コンビナートの灯りも、眩しい。長い長い充実した一日。夜半12時。自宅についた。




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