アンダンテのだんだんと日記

ごたごたした生活の中から、ひとつずつ「いいこと」を探して、だんだんと優雅な生活を目指す日記

「楽譜どおり」ってたいへん

2017年03月21日 | ピアノ
前川くんはふだんイタリアオペラとか歌ってるんで、ドイツリートはものすごくたいへんだったんだって…

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…そうなんだ!! 仕上がりを聞くだけだったらぜんぜんわかんなかったけど。

何がたいへんって、
・イタリア語は慣れてるけどドイツ語はすごく違う。そりゃそうだ。具体的にいうと、子音てんこもりでおさまりが悪い(笑)
・音域が低い。前川くんの得意な音域はもっと高いところにあり、低い音でもんのすごく力強く出さなきゃいけないところが多くて「声帯が削れていくみたいだった」
・シューマンの書く旋律が声楽っぽくなくて歌いにくい

この、3つ目って、ピアノしかわかんないこちらからするとわかりにくくって、ちょっと考えるとシューマンは歌曲で有名だし、あんな美しい旋律をいくらでも書ける人なんだから歌向きなのかなと思ってしまうけれど

「たとえば、ピアノで弾くのにショパンは弾きやすいがシューマンは弾きにくいってくらい、
シューマンは歌いにくい」
んだって。あぁそんなもんか…(←わかってないけどわかった気持ち)

「詩人の恋」は有名な歌曲集なので、大御所が何人も歌って録音を出しているけれど、それはみな、多少「歌いやすく」変えてしまっている、つまり楽譜どおりでないものなんだって。ふだん、そういうのを聞いて歌曲に親しんでいる人も、だから楽譜ではなくそっちのほうがシューマンだと思ってしまっている。

たとえば、テンポの揺れ。ちょっとゆっくりしたくなるところも、シューマンがrit.と書いてなければあくまでそのまま行く。今回は、そういうわりと厳密? ストイック? な方針で作っていったんだそうな。

最初のテンポ設定も、もうちょっと速いほうが歌いやすいところ、あくまでシューマンの指示どおり。リハのとき、大村くんと前川くんでそんな「綱引き」やってたなそういえば。

速い遅いだけではなくて、節からしてもう違うの。

旋律の流れからして、こういくでしょう(高くなるでしょう)というところ、シューマンはあえて登らないで低いまま、ピアノにだけ上がる旋律を弾かせたりとかいろいろしてるんだけど、歌いやすさというか、高い声でばーんと張れば派手だしアピールするしね。まぁせっかくテノールなんだからそうやってお客さんから気持ちよく拍手もらいたいじゃないですか。

そこもあえて、ぐっと抑えて楽譜どおり。

今回は、大村くんが大枚はたいてシューマン自筆譜も購入し、ぎりぎりと楽譜を読みこんではシューマンの意図を汲んで演奏を作ろうとしていて、ずいぶんとやりにくい注文を重ねたらしい。それで、前川くんのほうとしてはやたらと「がまん」しなきゃいけないシーンが多くて、それからノドもけっこう大変なことになったらしく、大村くん曰く

「もう決裂かと思ったときもあった」
…結局、前川くんのほうとしても趣旨はわかるし言われたことを飲みこんで、次の合わせのときにはめっちゃ良くなってたりしたらしいんだけどね。とにかく大変でした。お疲れ様です。

それで、結局第七曲(前半最後)については、よく歌われている、音程上げるバージョンでいって、ちゃんと前川くんの得意なところもお客さんに聞いてもらえるほうを選択したんだって。レクチャーのときに比較をしてくれたんだけど、なるほど…

これを聞かないで終わっちゃうというのも、もったいないよな。と思いました。

ただ、あくまで「がまん」して低い声が続くと、もぅもぅ、どろんどろんした心情の怖さがぐつぐつしてね、これはこれでいい感じなんですよ。シューマンさんの狙いはこっちなんでしょうね。キビシイ。

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