アンクロボーグの世界

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ショートショート作品  『 鬼 退 治 』

2015年02月03日 15時38分05秒 | ショートショート

鬼退治



「ぐあぁぁー」いきなり玄関のドアを蹴破って、赤鬼に化身した男が侵入してきた。

眼は血走り、唾液を滴らせ、鋭い牙をガチガチ震わせながらその怪物は、獲物を探していた。
赤い褐色の肌の異常に発達した両肩両腕。その両手には10本の鋭い太く黒光りした爪を持ち、この家の中学1年生、田村光男に迫ってくる。

光男は振り下ろされた 赤鬼の最初の攻撃をわずかの距離で何とかかわし、リビングに逃げ込みドアを閉める。

「父さん!母さんだ!母さんを呼んできて!鬼が出たんだよ!」


2.3年前から決まってこの時期になるとウィルス性の奇妙な保菌者が出現し始めた。
2月3日になると発病する。まるで鬼のような角が生えて来て、現在確認済みなのは、赤色系と青色系と存在するが、皮膚も変色する。

筋肉は隆起し発現者の凶暴な精神の一面が強調され見境無く他者を襲い始めるのだ。

赤鬼は、何か訳のわからない呪文みたいな言語らしい言葉を口にしながら、光男と父、武男に迫る。





その時!

バアン!!

と、この家の母親、田村キヨ子(48歳)が助けに登場した!

155センチ程の背丈で顔は、色白、ぽっちゃり型、鼻は少し横に大きく広がり、細長い眼はかなりのタレ眼。
耳は大きくふっくらですごい福耳。
鬼撃退専用に開発された遺伝子組み換え大豆をいっぱい入れた木製マスを手にした、完璧に、お多福へと化身した堂々とした母の姿がそこにはあった。

お多福に化身した母を見た鬼は恐怖の表情を浮かべ動きを止めた。
豆を投げつけられた鬼は家中を逃げ惑い、ついには、外へ逃げ出し、お多福の母は見事に怖い怖い鬼を退治してくれた。

「鬼は~外!福は~内!」






お多福の母は、鬼ウィルスと同じく2.3年前から出現し始めた奇妙な病の保菌者でナゼだか2月3日、節分の日になると発病する《お多福性ウィルス》の保菌者だった。

《 お し ま い 》



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1 コメント

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ホームページを拝見しました (つねさん)
2015-02-23 16:16:16
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