オレンジ

「どうしてもオレンジが食べたい。」と言う父が、買い物かごにオレンジの袋詰めを放り込みました。
私は、オレンジ自体そんなに食べたい。とは、思わなくて、父が好きなだけ食べたらいいんじゃない。と、思ってそのままレジに行きました。

父は大事そうに冷蔵庫にしまい込んで、冷たくしてから、「オレンジを食うか？」と、聞いてくるのです。
返事をしなかったら、私の分までオレンジを出してきて、「さあ、食え。」と、言います。
薄い皮をむいてオレンジを食べると、甘くておいしい。
私が考えていたオレンジと味が違うのです。
「こりゃいい。」と、全部食べてしまいました。

父は時々、思いもよらないものを買い物かごに入れるのです。
以前は、ミョウガを買い物かごに入れました。
素麺のつゆの薬味に入れたら、まあまあおいしかったんです。
父の買うものは、私が絶対に買わないものなんです。

今回のオレンジは、本当においしかったんです。
私の固い頭が、打ちのめされることになります。