横浜の司法書士安西雅史のブログ

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死因贈与契約は公正証書で

2008-03-05 | 業務日誌
で、前回の続きを書きますが、


①印鑑証明書は誰のものが必要か
②農地法の許可(or届出)書の要否
③本登記をする場合の登録免許税率
④住所変更登記の要否


②について
死因贈与による移転登記の場合、農地の許可(届出)書は必要ですね。因みに、包括遺贈なら不要(農地法施行規則第3条5号)、特定遺贈なら必要。
で、こういうのは見たことないが、包括死因贈与契約(これも契約として有効と解されている。)は、農地の許可(届出)書の添付が必要と考えるようです(参考文献「相続・遺贈の登記」藤原勇喜著)

③について

これは、仮登記をした時期と移転する登記内容によって異なります。

~仮登記をした時期~

A:平成15.3.31以前
B:平成15.4.1~平成18.3.31
C:平成18.4.1~平成20.3.31

~移転する登記内容~

a:土地の売買
b:住宅用家屋
c:その他

3×3=9通りの組み合わせがありますが、登録免許税法17条・19条及び租税特別措置法72条ⅡⅢあたりを見れば、9つのウチ8つは解決できます。で、どの条文見ても分からないのが、まさに本件のAcの組み合わせですが、税率は、20/1000から4/1000(所得税法等の一部を改正する法律附則24)を引いた16/1000です(参考文献 登記情報534号2006.5、535号2006.6)。

これは中々しびれました。。

④について
移転登記の前提として、執行者または相続人(1人からで可)から住所変更登記を申請する必要があります。ま、別にこれは論点って程でもないですね。。

一応まとめ。

いろいろと調べながら気がついたのですが、死因贈与は、遺贈と異なり、当事者同士の契約行為なので、贈与者・受贈者の意思表示が合致しないと契約として有効に成立しません。方式不備のため無効とされた遺言が、死因贈与契約として有効である(無効行為の転換)とする判例がありますが、少なくとも、当該契約時に受贈者が受託するという意思表示をする必要があると思います(cf:遺言)。

また、不動産登記の手続きの面から考えると、必ず公正証書で作成すべきでしょう。
前回書いたとおり、私署証書だと、執行者を定めても、相続人全員の印鑑証明書(又は贈与者の印鑑証明書)が必要になり、登記の際に、相続人からの協力が得られないことは十分想定出来ます。さらに、私署証書だと、登記の添付書類としての適格性で問題になってしまうことも考えられます。
公正証書で執行者を定めておけば、通常は、執行者=受贈者ですから、将来効力が発生した際に、実質、受贈者からの単独申請で登記が出来ます。


いじょ。






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1 Comments

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Unknown (コンバット)
2008-03-06 00:10:40
シンプルになるほど!法律法律していて楽しいですね。
>当事者同士の契約行為なので、贈与者・受贈者の意思表示が合致しないと契約として有効に成立しません。
根本的で大事な基礎部分ですね。そこを抑えておくと
ホップステップジャンプと理解していけるので
なかなか爽快です(^^;

全般的に法も大事だけど、人間の欲というか本質も
ふまえて対処しないとうまくまとまらないと思うので
まさに生きた実学…だと思う。
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