横浜の司法書士安西雅史のブログ

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相続させる旨の遺言と代襲相続の可否

2011-02-22 | 実務ノート

「中日新聞 2011年2月22日 夕刊」より

~子に権利承継認めず 相続人、遺言者より先に死亡~

親の遺言で子2人のうち「全財産を相続させる」と指定された長男が親より先に死亡した場合、その長男の子が権利を承継する「代襲相続」ができるかどうか争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷(田原睦夫裁判長)は22日、原則として代襲相続は認められないとの判断を示した。

 同種のケースをめぐる最高裁の初判断。原告は長男ときょうだいで、東京都町田市に住む長女。遺言の効力はないとして、長男の子3人に対し、法定相続分に当たる不動産の2分の1の権利の確認を求め2008年に提訴していた。3人の上告が棄却され、長女の勝訴が確定した。

 田原裁判長は「遺言は通常、相続人になるべき相手との関わりなどを考慮して行われる」とした上で「『相続させる』との趣旨の遺言は、名宛人(長男)に遺産を取得させる効力を持つにとどまる」と判断。

 「名宛人が先に死亡した場合、その子に遺産相続させるとの意思が遺言者にあったという特段の事情がない限り、遺言の効力は生じないと解するのが相当だ」と結論付けた。

 一、二審判決によると、金沢市に土地5筆と建物2棟を所有していた父親が1992年に死亡。母親が93年、不動産の持ち分を含む自身の全財産について「長男に相続させる」との遺言を作成したが、亡くなる3カ月前の06年6月、長男に先立たれた。

 09年4月の二審東京高裁判決は「長男が死亡した場合に子がその権利を承継する趣旨が遺言に明記されておらず効力はない」と判断、長女に法定相続分の権利を認めた。

 08年11月の一審東京地裁判決は「母親が相続させようとした長男が死亡した場合、長男の遺族に相続させるのが当事者の意思にかなう」と別の判断をしていた。

【代襲相続】民法887条2項は、相続する人が相続の開始前に死亡するなどした時は、その人の子が代わりに相続すると定めている。相続する人(遺言の名宛人)が遺言者より先に死亡したケースをめぐっては、学説や下級審の判例で(1)名宛人の子に遺産を承継させたいという通常の遺言者の意思を尊重して代襲相続を認める(2)通常の遺言者の意思は名宛人だけに向けられていると思われ、遺言の効力発生前に名宛人が死亡した場合は代襲相続の対象とならず、遺産分割とするのが相当-と見解が分かれていたが、最高裁の判断はこれまでなかった。

引用サイト
http://www.chunichi.co.jp/article/national/news/CK2011022202000189.html

判例検索サイト
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=81092&hanreiKbn=01



以上。