横浜の司法書士安西雅史のブログ

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同時申請と登記識別情報の扱いその2

2008-08-02 | 実務ノート


 最近、不動産の決済で申請代理人(司法書士)を異にする立会に臨むことが多いです。

 例えば、抹消・移転・設定のケースで、私が抹消登記・移転登記を申請し、抵当権設定登記は金融機関指定の別の司法書士が申請するといった案件や、所有者がA→B→Cと同日で移転するケースで、A→B・B→Cとそれぞれ別の司法書士が行うケースなど。。

 このような場合は、通常、決済の場に各司法書士が立会って必要な確認作業を行い、決済終了後に管轄の登記所へ一緒に登記を持ち込む方法が一般的です(ただし、A→B→Cのケースだと、資金実行後、A→Bの移転の申請書類一式をB→Cを申請する司法書士に渡すってこともあります。)。

 いずれにしても、登記の申請は連件申請の扱いにして(申請書の余白に1/2、2/2等と登記の前後を明らかにするための符号を付して特定する。)同時に申請します。もし同時に申請しないと、上記のケースでは後から申請した登記(上記の例で、抵当権設定登記、B→Cへの移転登記)に関し、提供すべき識別情報がないという理由から補正となり、これが登記済権利書なら単に付替え作業で済むのかもしれないが、登記識別情報だと一度シールをはがして登記所へ提供する必要があります。

 そして、上記ケースをオンライン申請で行う場合、申請人(司法書士)が異なると現時点で完璧な同時申請は難しく、また、上記のとおり後からオンラインで申請した登記は補正で一端止まるわけですが、平成20年6月20日付法務省民二第1738号民事局民事第二課長通知によれば、「・・・・いわゆる連件申請によらない方法により同一の不動産について二つ以上の権利に関する登記が電子申請によりされた場合(同一の日付で法務省に受け付けされたものに限る。)・・・前件のオンライン申請と後件のオンライン申請について、一定の条件の下にそれぞれの申請情報の内容として一定の事項を記載した場合は規則67条の規定の適用がある。」とされています(※登記情報第561号参照)。

 具体的な作業としては、「その他の事項欄」を使って登記官にわかるようにその旨を記録するわけですが、これの適用範囲は、共にオンライン申請であることが前提であり、一方が書面申請の場合、規則67条の規定はない(登記識別情報の提供を省略することは出来ない。)とされているので注意が必要です。

 また、この回答によりオンライン申請の場合で規則67条の適用があっても、前述の通り同時申請とすることは難しいため、想定外の登記が間に入ることも考えられます。


参考

不動産登記規則

(登記識別情報の提供の省略)

第67条  
同一の不動産について二以上の権利に関する登記の申請がされた場合(当該二以上の権利に関する登記の前後を明らかにして同時に申請がされた場合に限る。)において、前の登記によって登記名義人となる者が、後の登記の登記義務者となるときは、当該後の登記の申請情報と併せて提供すべき登記識別情報は、当該後の登記の申請情報と併せて提供されたものとみなす。