新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

着床前診断:何に注目するかで是非が分かれるのでは?

2012-07-11 20:37:10 | 医療

こんばんは

 

今日も一日が終わりました。いろいろと職場の人の健診結果を見ながら、どうやって指導するべきかを考えています。まぁ、時間を見つけて全員来るように言うつもりですが、来週からの新婚旅行の後は仕事の予定が詰まっているので(泊まり込み)、その合間にやっていけるかどうか・・・。

 

まぁ、僕がいる間にいろいろやりきらないといけません。

 

さて、本日は非常にもめそうな記事が出ていましたので紹介します。

着床前に全染色体診断 神戸の産婦人科医院

http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?a=20120711-00000028-nnn-soci

日本テレビ系(NNN) 7月11日(水)12時54分配信

 神戸市の産婦人科医院で、不妊治療の患者を対象に、全ての染色体を着床前に診断し、出産が行われていたことがわかった。体外受精させた受精卵が数個の細胞に分裂した段階で一部を取り出し、染色体や遺伝子などに異常がないか検査を行うもので、産婦人科学会はこの検査を認めておらず、議論を呼びそうだ。

 着床前診断を行っていたのは、神戸市中央区の「大谷レディスクリニック」。大谷徹郎院長によると、クリニックでは、去年2月~今年5月に、不妊治療中の25~45歳の患者129人に、受精卵の全ての染色体を着床前に調べる新型の検査を実施し、50人が妊娠、19人が出産したと発表した。

 大谷院長「一刻も早く小さな命を手に抱いてほしいというのが私の気持ち。(Q逆に命を選んでいるのでは?)命を選んでいるのではなく、生きる、生まれる受精卵を選んでいるのです

 クリニックは「不妊に悩む女性を救う技術」としているが、日本産婦人科学会は、診断の条件として、重い遺伝病の患者などに限定しており、「見解を逸脱している可能性があり、内部委員会で今後議論する」としている。

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着床前に全染色体を診断 神戸の産婦人科医で19人出産 学会指針に違反

http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/120711/wlf12071111390007-n2.htm

2012.7.11 11:32 (1/2ページ)編集長オススメ

記者の質問に答える大谷レディスクリニックの大谷徹郎院長=11日午前、神戸市中央区(甘利慈撮影)

 体外受精した受精卵を母体に戻す前にすべての染色体を検査し、異常の有無を確かめる新型の「着床前診断」を、神戸市中央区の大谷レディスクリニック(大谷徹郎院長)が129例実施し、19人が出産したことが11日、分かった。これまでの着床前診断は染色体の一部しか調べられなかったが、新型は全染色体の異常がわかる。同医院は「流産の原因の多くは染色体異常で、この方法は母体に負担となる流産を減らすことができる」としている。

 しかし、染色体異常が見つかった受精卵は患者の同意を得た上で破棄するため「命の選別」につながるなどとして、日本産科婦人科学会が着床前診断そのものを会告(指針)で重い遺伝病を除き認めていない。ただ、法律上の規制はなく、同医院は今回の診断も学会に申請せずに実施した。

 大谷院長は、平成14年から受精卵の細胞の一部を取り出し23対(46本)ある染色体の一部を調べる着床前診断について、患者の同意を得て実施。今回の方法は、全染色体を調べる「比較ゲノムハイブリダイゼーション(アレイCGH)法」と呼ばれ、ほぼ確実に異常を見つけ出すという。

大谷院長によると、昨年2月から今年5月にかけ、129組の夫婦に、1回ずつ新型診断を実施。患者の年齢は25~45歳で、いずれも受精卵の染色体異常が原因で着床しなかったり、流産を経験しているという。129組のうち受精卵が順調に育ち、子宮に戻せたのは70組。50人が妊娠、19人が出産に至った。3人は流産した。28人が現在妊娠中。この診断で受精卵を子宮に戻した患者の妊娠率は約7割で、診断を行わない妊娠率の3倍近いという

 大谷院長は「(新型診断は)流産の主な原因である染色体異常を取り除くことができる。流産を減らしていくのは医者の責務だ。学会にはデータを踏まえて診断を認めてほしい」としている

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難しいですよね。

 

人工授精自体も論争を呼んでもよいのですが、人工受精した受精卵を子宮に戻す前に遺伝子診断をする。

 

片方が「命の選別」につながるといい、もう片方が「あくまで正常に発育するであろうものを選んでいる」という

 

僕はどちらも選んでいるには違いないのですが、何に注目するかで是非が問われるのではないかと思っています。

 

この行為が神をも恐れぬ「遺伝子異常がある人間が生まれてこないようにする」行為であるといえば、そういう考え方もできると思います。

一方で妊娠して流産してしまうのは母体を中心に見ると「時間」も奪ってしまうし、流産することで母体にダメージが行くかもしれない。僕に言わせれば時間が一番重要でしょうね。子供と共に過ごす時間だったり、胎児を育てていくにも体の負担は年をとれば大きくなるでしょうから。

 

考え方次第だと思います。

 

この文章を見ながら「銀河英雄伝説」を思い出しました。あれで出てきた「劣悪遺伝子排除法」というのがありますが、そういう「選民思想」のようなことを恐れるのが産婦人科学会の考えなのでしょうか。たぶん、「性悪説」的な考え方になるのかもしれません。

逆にこの院長先生はもしかすると「性善説」的な考えかもしれませんね。そんなことを考える人間はいないだろうと・・・。まぁ、甘い気もしますが・・・・

 

僕はこれに関しては賛成も反対もないです。ただ、多分流産してしまう場合はやはり何らかの原因があると思います。遺伝的なものもありますし、リン脂質抗体症候群のように血栓傾向で生じるものもあるかもしれません。堕胎を繰り返せば子宮の内部が傷ついてかさぶたのようになってしまい、なかなか妊娠できなくなったりもするでしょう。

ただ、高齢出産が多くなってきた場合(今後ですね)はもしかすると、こういう形でないとなかなか妊娠できないかもしれませんよね。年齢が上昇すればするほど染色体異常の確率は上昇するわけですから、ある程度は考えないといけなくなるかもしれないと・・・。

 

この辺のことは「考え方の違い」だと思いますので、お互いの考え方を尊重しながら認めてもよいかもしれないとは思います。この方法が必要な方々がいると思うので。

 

皆さんはどう思われますか?

 

 

いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。

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それでは、また

 

 

 

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2 コメント

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どうすれば良いのでしょうね (うさぎぃ)
2012-07-12 13:26:12
流産経験者で、子どもら二人とも自閉症(私も)。
遺伝子異常はわかっても遺伝する病気がわかるとは限らないし、
また現時点での遺伝子異常がわかるのであって ひょっとしたら生まれてから何かの要因でスイッチオンされる病気などにかかるかも…
でも流産は結構辛い経験だったし(自分自身の気持ちより周りから勝手に食べ物の好き嫌いしてるから、とか勝手に流産原因を云われるのが辛かった)、
そのあと妊娠まであいだを置かないとダメなのは事実だし…
Unknown (アンフェタミン)
2012-07-12 22:32:30
>うさぎぃさん
こんばんは、コメントありがとうございます

うさぎぃさんがおっしゃるように遺伝子だけではわからない病気もあります。
ちなみに流産の原因が好き嫌いだったり、その時の行動によるかと言えばあまり関係がないと思います。

たぶん、流産するときの原因の多くに遺伝的な要素があると思います。それをこのドクターはできるだけ減らそうという考えなのだと思います。

それが正しいかはわかりませんが。ただ、すくなくともうさぎぃさんに流産原因を責める人がいたのは間違いだと思いますよ。

また、コメントいただければと存じます

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