あみたろう徒然小箱

お気に入りのモノに囲まれ、
顔のつぶれたキジ猫と暮らせば、あぁ、極楽、極楽♪

キジ猫、長しっぽ、や~い

2012-01-07 | 猫 ・ cat ・ ねこ
■“検索”で来た猫
古い話ですが、2002年初夏、飼っていたキジトラ猫が21年の生涯を終えました。
私が小学校の頃に飼っていた猫も、キジトラでしっぽの長いメス猫でした。
そのせいか、なぜかキジトラ長いしっぽのメス猫に愛着があるようで、
できればその条件の猫がまた飼えたらなぁと思っていました。

先代のキジトラは、庶民的なスーパーの隅にあった[猫、差し上げます] コーナーでもらったのですが、
いまではそんなコーナーはありません。
しかしいまは電脳時代、検索してみるとあるわあるわ、選りどり見どりでしたね。
捨て猫やもらい手のいない猫を保護して、猫の里親を捜すボランティアさんが日本全国にゴマンといるのです。
保護するそばから猫の写真をUPし、情報を流してくれますす。
そのうえ便利な検索機能もあり、
例えば「キジ猫 メス 長しっぽ 生後1年迄 関東」と入力すると、
条件をクリアした猫が画像付きでラインナップされます。

数週間チェックした中で一番気に入ったのは、
茅ヶ崎のホームレスさんが飼っている猫が産んだという、生後2ヶ月の美猫でした。
ボランティアさんはまず親猫を預かり、動物病院で避妊手術をさせてから飼い主に戻し、
生まれた子猫2匹ををもらい受けてきたのだそうです。
さっそく対面してみると、画像に劣らず惚れ惚れするほどのキュートな美猫だったものの、
勘が強すぎてかなり神経質、ちょっと飼いにくそうです。
↓これがそのホームレスさんの飼い猫が産んだという2匹の猫。つくづく美猫ですね~。


当時、我が家は調査で海外に行くことが多く不在がちなので、
神経の尖った猫では耐えられないのではないかということと、
癒やし系の猫を飼いたいという我が家の希望とは違うように思いました。
ボランティアさんが連れてきたくだんの美猫をダンボールに戻しつつ、つぶやきました。
「キジ猫、メス、長しっぽで、おっとりした猫なら、子猫じゃなくてもいいんですけどねぇ」
ま、ちょっと言ってみたというスタンスだったのですが、
すかさずボランティアさんが言ったのです。
「いますッ! いますッ! ぴったりなのが。ぜひ見てやってください。ちょっと大きいんですけど・・」
ちょっと、大きい?   

■のんきで、どんくさい猫?
で、紹介されたのが、洋猫混じりのつぶれ顔、生後1年以上と思われる猫でした。
典型的日本猫だった先代を見慣れた私には、ちょっと違和感のあるオヘチャな顔でした。
誰かに飼われていたのが、捨てられるか逃げ出したかして、
世田谷豪徳寺にあるマンションの駐車場で保護されたということです。
ボランティアさんは、猫の集会所であるその駐車場に仕掛け付ケージを置き、野良猫を保護する予定でした。
どの野良猫も用心深くて入らなかったのに、この猫だけのほほんと入って来たのだそうです。
こういった活動に理解のある動物病院のご好意に甘え、、
そのまま病院に預けられて、ケージの中で1ヶ月近く過ごしているのだそうです。
何しろ、そのボランティアさんの家には保護した猫が既に19匹もいるそうで、
おっとり型のこの猫はいじめられるからと、院長先生のご好意に甘えているのだとか。
「ふつう野良猫は警戒心が強いから仕掛けにかからないのに、
この猫はまだ野良猫暮らしが短いんじゃないでしょうか。のんびり入ってきたんですよ。
ちょっと、どんくさいのかも・・・」と言いかけ、ボランティアさんは口をつぐんでしまいました。
これから引き取ってもらう猫を悪く言っちゃいけませんッです!
私は内心ムッとしたのでした。

■3つの名前を持った猫
お見合いのあと、しばらく預かることになりました。
猫を里親に預けるとき、ボランティアさんはその家に直接届けるのを原則としているのだそうです。
というもの、なかには猫を次々引き取り、動物実験用に売ってしまう人もいるのだそうで、
ボランティアさんが一番警戒するのはそういうケースです。
もっともそういう場合は「お宅に猫を届けます」と申し出ると相手は断るそうですし、
実際に行ってみると家の様子からなんとなく判るのだそうです。
お試し期間は1週間~10日。
うまく慣れるか、性格が好きになれるかなどを見極めます。
呼び名がないのは不便なので、保護されていた「あみ動物病院」の名を取り「あみ」ちゃんとしました。
あみ動物病院では、保護されたマンションの名を取って「ライフ」ちゃんと呼ばれていたのだとか。
気の毒に、いささかイージーな名付けをされる運命にあるようです。
「ライフ」ちゃんの前、最初の飼い主はいったい何と呼んでいたのでしょう? 

■お試し期間は瀬戸際外交
預かってみて驚いたのは、異常なまでの恐怖心でした。
野良猫時代によほど怖い思いをしたのでしょうか。
人間の足音が自分に近づいて来るときと、車の走行音に対しての恐怖心はすさまじいものでした。
そんな具合ですから、窓から車が走るのが見えたりすると、目を見開いたまま固まって動けなくなります。
↓こちら、外を眺めて固まっている図。

うちに来てから一週間近くは、狭くて暗い場所を探し出しては潜り込み、何時間でもじっと隠れています。
めずらしくリビングにいても、人の足音を聞いたとたん、
床にお腹を擦り付ける匍匐(ほふく)前進スタイルでひたひたと逃げ出して行きます。
リラックスした寝姿に、優しく声をかけながら撫でようとしたとたん、飛び退いてすっ飛んで行くこともしばしば。
こっちの好意も知らず、なんだか張り合いないなぁ~。
↓こちら、めちゃくちゃ緊張しまくっているところ。まだまだ顔立ちが幼い。

そんな恐怖と闘いながらも、トイレは一度も粗相することはなく、驚くほど旺盛な食欲です。
ときには大の字になって床に転がる鷹揚さと、並外れた恐怖心が奇妙なバランスで同居していました。
先代の長寿猫が、打てば響くように必ず返事をする猫だったのに比べ、啼き声をまったく発しません。 
まだ遊び盛りのはずなのにじゃれません。
しっぽは驚くほど短くて細く、垂れ気味です。

大きな猫を途中から飼うことの難しさを気にかけてか、数日おきにボランティアさんが電話をかけてくれます。
「この猫、まだ若い猫ですよね? ほとんどじゃれないんですけど・・・・」
「洋猫混じりの猫は、じゃれないんじゃないでしょうか?」
「もし、うちがこの猫を返したら、どうなるんでしょうか?」
「う~ん、一生、動物病院のケージの中で暮らすことになるかもしれません」
この答えが一番堪えました。
で私は、匍匐前進でひたひたと遠ざかる後ろ姿に投げかけて言ったものです。
「ほらほら、一生ケージの中で暮らすか、うちで暮らすかの瀬戸際なんだから。いい加減にしなさいよ!」
声を発せず、歩く姿は匍匐前進。
ビクビク飛び退くかと思うと、部屋の真ん中で仰向けに大の字に寝る鷹揚さを見せる不可思議な猫。
しかしほんの少しずつ、その鷹揚さが増すようになってきました。

■とうとうワラジを脱ぐ
「この猫、飼うことに決めました」
そう伝えたとき、電話の向こうでボランティアさんの安堵する様子が手に取るように判りました。
次から次へと捨て猫や野良猫を保護し、新たな飼い主探しに気をもむボランティアの仕事は楽ではありません。保護したなかには手足の不自由な猫や、目の見えない猫もいるそうで、猫が好きだけでは到底つとまりません。それでも保護した猫はほとんど引き取られていくということですから、奇特な方はいるものです。

さてさて、そうこうするうちあっというまに「あみ」歴10年。
いまでは驚くほどの激しいじゃれ方で、つきあうこちらが根負けするほどです。
情けないほど細くて短かった垂れしっぽは、恐怖心がとれたらピンと跳ね上がった長しっぽとなり、
ことあるごとにぐいぐい力を込めてこちらの体にからめてきます。
相変わらず車は嫌いですが、見ても固まることはなく、啼いて表現するようになりました。
相変わらず怖がり屋ですが、大好きな紐遊びを激しく要求します。

それにしても動物のしっぽって、緊張すると短くて細くなるんですね。
犬は緊張したり恐怖を感じると後ろ足の間に巻き込み、小さくなると知っていましたが、猫もそうとは。
あの貧弱なしっぽ、いまではご覧の通り太い長しっぽになりましたとサ。

めでたし、めでたし。







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