あみたろう徒然小箱

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忘れられない人々〔子ども編6〕 幼児は村の宝もの イ族

2013-12-08 | 少数民族あれこれ

見て見て、見てっ! 嬉しそうに幼児を前面に出す少女と少年。

四川省涼山地区美姑(メイグ)のイ族は、ことのほか古い文化習俗を守っています。
ここはあの広い中国の中でもとりわけ極貧地帯としても知られていますが、
彼らイ族の誇りはその伝統文化が基軸となり、めっぽう高いのです。
少数民族の神話・祭式を継承する者は、普通1つの村に1人~数人程度なのに、
ここのイ族には「ビモ」と呼ばれる神話・祭式継承者が非常に多いのですが、
私たちが訪れた核馬村にはほとんどの家にビモがいるという、とりわけ特異な村でした。
変化の激しい中国ですが、ここは改革から取り残された辺境地の中の辺境。
中国の変革が及びにくいことと、誇り高い大勢のビモ達の志によって、
これから先もずっと伝統は守られていくことだろうと思います。
ビモは父親から息子へと継がれていくのですが、
ビモがいない家はたまたま男子が生まれなかったか、
息子に祭式や神話を伝える前に、ビモである父親が他界してしまった場合などです。

ビモの中でも特に位が高いビモを「大ビモ」と呼びます。
私たちは何日間かかけて、大ビモにイ族の神話取材をしました。
聞き取りはサトウキビ畑でやったり、大ビモの村、核馬村の広場でやったりの臨機応変。

村で特に印象に残るのは、
子どもたちが誰彼の区別なく、幼い子どもたちの面倒をじつによく見ることでした。
電気も水道もトイレもなく、もちろん店もない。
あるのは、トウモロコシの首飾りをつけた小さな分校1つ。↓

村にある公共の建物は分校だけ。軒下に干したとうもろこしが飾りのように見えた

娯楽らしいものは何もない村の暮らし。
家の中には囲炉裏とオイルランプ、わずかな食器と手作りの簡易ベッドがあるだけ。
村の暮らしの中で、幼児が共同体を維持させていくための宝ものであることを、
誰もが自覚しているのは明らかでした。
神話取材の間、カメラを構える私の前に、
幼児を抱きかかえて来て誇らしげにこちらに向けます。
「ほら、ほらっ。見て」
抱き上げる子どもたちの目がキラキラ輝いています。
それが冒頭の写真。


子守をするのは子どもの役目。大ビモの末娘とその娘の子ども
一方、別の所では、子守をしながら三人の少女たちがこちらを見ていました。
美姑は美男美女の出身地として知られているそうです。
中国西南部で行われる美人コンテストでは、
美姑出身者が“ミス”の栄冠を得ることがたびたびあるのだとか。
確かに少女たちの中には何人も、日本ならタレントになれそうな可愛い子がいました。
少年や成人男子にも涼しげな顔立ちのハンサムが多くて、
大ビモの一人息子は、いずれは美姑版キムタクかともいえる美形でした。

(四川省涼山地区美姑核馬村 2000.9)

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