ちょっと見ると短いほうきを売ったいるかのよう。
しかしよくよく見ると、ほうきの先にはニンニクの玉が付いているのが判ります。
ニンニクの茎をしっかり一つにまとめ、根元をほうきのようにまとめ、
さらに一つの束をそれぞれ編み込んでまとめて持ちやすいようにしています。
一束はニンニクの大束が4個近くあり、かなりの数のニンニクだと判ります。
1、2個ずつ買う日本の買い方とは規模が違うのです。
北京、上海、広東料理などには、
どれにもどっさりニンニクが入っているわけではありませんが、
雲南、貴州、湖南省など中国南部の料理には、
これでもかというほどニンニクと唐辛子が入っています。
食堂の軒下は、干した唐辛子すだれで真っ赤に染められていますし、
店先には籠に入れた唐辛子がどっさり。
ニンニクはまな板にのせて包丁の腹でたたきつぶし、
まず中華鍋の油の中に入れ、香りを出したら唐辛子をドカン。
火力が強いから辛い空気となって厨房から食堂に襲ってきて、
気管支が弱い私は、苦しくて咳き込むこともできないほどつらかった。
昆明の宿舎にいても、ほかの部屋が料理を作り始めると、
その辛い空気がダクトを通ってうちの部屋に押し寄せてきます。
“ゴホッ、ゴホッ、ゴホッ”
こ、呼吸がで・き・な・い。
食堂はもちろん、家庭人も唐辛子とニンニクを山ほど使うのが普通です。
ニンニクは我慢できても、辛い空気は気管支に入り込むと堪えられません。
中国滞在中の食事どきは、唐辛子粒子入りの辛い空気に苦しめられた日々でした。
夕食どきになると、他室の辛い空気がこっちの部屋にやって来る前に、
台所の換気扇を回して窓を全開にする、これが最低限の対策でした。
町や田舎の食堂に行くと、まず厨房に行き、
「不要味精、不要辛椒、油少一児」と言います。
つまり「味の素は要らない、唐辛子は要らない、油は少し使って」と。
「それじゃ、料理を作れないよ」と言われたこともあります。
雲南では、食材がお皿の油の中で泳ぐように大量の油を使うことはしょっちゅうでしたから。
さて、先の注文を出したあと、
出てきた料理には、直径20センチぐらいの皿に13本の唐辛子、
白い潰しニンニクがどっさり。
結局、何も変わっていなかったのです。
雲南の料理人にとっては、
炒め物にニンニク、油、唐辛子を大量に使わないなんてこと、あり得ないのでした。
昆明から大理への街道筋の食堂。中庭の軒下は赤い唐辛子で真っ赤。これだけ干せばおみごと!
ペー族の祭りラオサンリン。皆、食材を持ち鍋釜付きでやってくる。
中華鍋で煮炊きをしていた老婆は、この鍋に袋いっぱいの唐辛子を投入した。“おぉ、辛い!”
民家の軒下に籠に入れ干してあった唐辛子
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