銀座のうぐいすから

幸せに暮らす為には、何をどうしたら良い?を追求するのがここの目的です。それも具体的な事実を通じ下世話な言葉を使って表し、

『ハリーとトント』、ああ、シカゴの水辺よ

2009-11-17 23:26:12 | Weblog
 またもや、突出した文章です。前のものとの続きを書きたいと願いながら、頭を占める物事を、さらっと今書くのもよいかと信じて書かせてくださいませ。

 火曜日は、私はよくテレビを見るというか、番組表をチェックするのです。大体水曜日と月曜日には好きな番組が無いほうで、それゆえほとんどチェックしませんが、世の中の大勢の人たちも、火曜日とは『飲まないで、遊ばないで帰る』らしくてテレビ視聴者が多いのでしょうか? よい番組が多いのです。

 すると驚いたことに、深夜帯〔つまり、水曜日にかかる時間帯)にアメリカ映画『ハリーとトント』の文字を見つけ早速録画をしました。先週までケーブルテレビのコンバーターが古くて、地上波のみしか録画できなかったのですが、新しいコンバーターに変えたので、ハイビジョンや衛星放送も録画できるようになったのです。

 早速の大喜びで、録画をして、本日、一週間ぶりにそれを見ました。で、もちろん、大満足です。これが、1974年に制作されたとは信じられないくらい新しいし、感動を与えられます。で、古すぎるのでレンタルビデオ(いや、DVDか?)は無いだろうと思ったのですが、TSUTAYA などにもおいてあるみたいで、『ああ、やはり皆さん思うことは同じなのか』と感じて、ここに文章を書きます。その際、改めて、ウエブ上のチェックをしてみると、この映画を、この番組で見た人が、多いらしいことがわかりました。

 そして、さらにチェックをすると、主演のアートカーニーは、この映画でアカデミー主演賞を取っていることもわかりました。

 この映画の特徴だと私が感じることが三つあります。

 1、は、ロード・ムーヴィーの一種だけど、ニューヨークをはじめ、リアリティがいっぱいで、それだけでもすばらしい映像だと感じます。私は主人公の老人が、シカゴの水辺を歩いているときに、映画『グラン・トリノ』を思い出しました。

 ベトナム系の青年が、主人公・イーストウッドからもらった、ヴィンテージカー、グラン・トリノを、運転しながら去るラスト、・・・・・・それが、一回も行ったことの無いシカゴへの、既視感を呼び覚ましたのでしょう。『ハリーとトント』のほうが昔に撮影されているのに、まったく古いとは感じられませんでした。

 そのほかアリゾナの砂漠を写しても、古びたモーテルが、多分、ロケで、それゆえに、よりいっそう、感慨を深めています。

 2、は、猫が主役だということ。最初に、見たのは、15年は前のことらしいのですが、その際は新聞にお勧めという記事が出ていて、そのときに、トントという猫が重要な役目をしていると知りました。

 ただ、猫が紐でつながれて、一緒に車に乗るのが信じられません。というのも、我が家の猫は19歳まで生き延びた前の猫と、今の猫、二匹とも山の上で育っていて、普段車に乗らないタイプなので。前の猫は車が家にあっても、2,3時間の旅行でも、大騒ぎで嫌がりましたから。今の猫など、車が通るとおりを、50メートルぐらい先に見つけただけで、腕の中から飛んで逃げますから。

 猫は音に敏感です。トントはタレント猫のきわみですが、それでも、自然な振る舞いはあって、賢く、いとおしいです。

 3、さて、と言っても子供向きの動物映画ではなくて、大人向けの一種の文芸映画です。アメリカも、1970年代は圧倒的によい時代だったのだろうなあと思わせるせりふがいっぱいです。ポーランドから来たという設定の、身寄りの無い老人が、あらゆる・・・・不安で不満をもたらす現象・・・・・に対して、「資本主義者目」と、決め付けて怒るせりふなど、今のアメリカ映画には、考えられない設定です。

 アート・カーニーという俳優は、ボードビリアンというか、コメディの分野の人でもあるらしいのですが、この映画の主役、元教師であったという、ちゃんとした紳士で、しかも頑固な老人という設定は、ぴったりで、素敵です。

 他の映画であまり見ない人ですが、この映画では、あまりにもリアリティがあり、すばらしい演技です。アカデミー賞主演賞だけのことはあります。

~~~~~~~~~~~~~

 さて、とても大切なこと。それは、今日それを見ている私が、67歳だということです。あらゆるせりふが、心にぐっと来ます。以前よりもはるかに味わい深く、ぐっと来ます。・・・・・年をとること、親であること、人と親しむこと。・・・・・他人であれ、自分の子供であれ、若い人を心配し、正しい助言を与えようと尽くすこと。ペットロスのこと〔これは、ネタばれと言うやつですが)あらゆることが、『その通りだなあ』と思わせられます。二度目に見るのにもかかわらず、無駄をしたという感覚のまったく無い、貴重な110分でした。

  では、2009年11月18日  雨宮舜 (川崎千恵子)
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« プリンストン大学の学食(ー... | トップ | 小津安二郎『東京物語』との... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事