銀座のうぐいすから

幸せに暮らす為には、何をどうしたら良い?を追求するのがここの目的です。それも具体的な事実を通じ下世話な言葉を使って表し、

ゴッホの偽ものを、精神科医が、作った謎は?

2009-11-03 13:57:05 | Weblog
 せっかくの休日なのに、重い話題を連続させて申し訳ございませんが、美術を専門とする人間にとって、ゴッホはやはり大きな存在であり、『実は、かれは、自殺したのではなくて、他殺、しかも、弟にやられたのだ』などという新説がでては、

 ・・・・・しかもそれが、書物の段階ではなくて、再現ドラマつきの、大衆への開示番組として、BSジャパンで放映されたとあっては、・・・・・これについて、考え抜かざるを得ないのです。

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 で、今日は、ゴッホの精神科医の奇妙な行動に関する分析の二回目です。

 赤ひげという言葉があります。瀕死の病人を前にしたら、助けようとするのが医者の本分でしょう。たとえゴッホが、貧乏の極地の人であり、パリから、外科医を招いても、診療費を払う見込みが無かったとしても、『友人だと言われている』のですから、ガシェ博士が、その金額を負担してあげてもよいですね。

 で、ガシェ博士は友人ではなかったと、私は結論をつけます。もちろん、手術をしなかったのは、昨日申した推論(テオの犯行であると博士が見抜いて、テオの味方をした)を、第一に挙げますが、・・・・・

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 妻や子のいない独身の人にとって、命の次に大切なのは、自分の仕事です。特にゴッホは、新しい傾向の、しかも輝かしい力をもつ油絵を描こうと、必死でした。仕事そのものへ明るい希望と熱情を持っていたのです。

 そういうゴッホがテーマの同じ作品を何点か、複数制作をしている事実が在るのだそうです。たとえば、このガシェ博士をモデルにした肖像画にしても、ヴァージョン1と、ヴァージョン2が在るのです。

 で、最近、イギリスで研究された結果、これらは、ガシェ博士が写真(当時は解像度が低かった)を使った模写によって制作した作品で、贋作(ニセモノ)であると、規定され始めました。画面で両作品が提示され、どうして、ニセモノだと、規定ができるかの解説がなされましたが、すばらしい説得力で、100%、それらはニセモノ(贋作)であると信じられます。

 ゴッホの作品を数多く収蔵しているといわれるフランス側、オルセー美術館が完黙をしているそうですが、それについては、別の機会に述べるとして、・・・・・

 私はここで、画家として、絶対にゴッホは、同じテーマの、しかも同じ構想、構図の作品には挑戦しなかったであろうと、推察できるのです。よく作品が売れている画家は、「画商から、個展をしましょうね」という依頼(一種の注文です)を受ければ、今現在、自分にとって最も評価の高い作品のヴァリエーションの連作を提示することはあるのです。

 または、もっと、大きな作品、たとえば壁画などを依頼されたら、その傾向やテーマは、今現在、自分が最も成功している手法、傾向を反映した作品とするのが普通です。千住博さんなど、最近は大体瀧をテーマにした作品の発表が多いですよね。成功した画家だからです。日本の没故作家だけど、林武など、薔薇の絵で相当有名です。

 しかし、ゴッホは当時は、売れていなかった作家なのです。生前一点しか売れなかったという伝説を持っている作家です。となると、同じテーマ、それも同じ構図と同じ色彩で、絵を描くはずが無いのです。

 アルル時代は、ひまわりを数点制作しているわけです。それは、ひまわりを描くことが難しかったわけで、それらは、それぞれ、花瓶に刺してある花の本数が異なっていたり、花の向きが異なったりして、贋作ではないと信じられるのですが、

 オーヴェール時代の、『このガシェ博士の肖像画』など、発する力が弱いことや、部分的に欠落が在ることなどから、当時の解像度の低い写真を使って模写したというテレビの説には賛成です。

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 医者というのは、他人の尊敬を受ける立場です。だからプライドも大きいはずです。贋作を作るというのは、プライド高い人のやることではありません。本当に不思議なことです。BSジャパンでは、ガシェ博士は、絵を描くのが好きで、一種の勉強のために、数々の作品を持ち出して、参考にしたのだろうと、いっていますが、そこのところは、まったく納得ができず、賛成できません。

 以前からここで申し上げているとおり、『ガシェ博士にとっては、ゴッホとは、一種の研究材料に過ぎず、友達でもなんでもなかったのだ。ただ、貧しいゴッホからは、診療代を取らず、いわゆる愚痴の類を聞いてあげていたので、友人だとガシェ博士の方が自称をしていただけなのだ』と推論すれば、かろうじて、この贋作の制作が納得いくようになります。

 そして、これから先は、また、例の大胆極まりない仮説ですが、ゴッホが将来、劇的に有名になるのを予測をして、作品が高くなるであろうとも、予測をして贋作をしたとすれば、『なかなかの策士である』となります。

 博士が、自分だけしか知らない『耳タブそぎ落とし事件はゴーギャンがやったのだ』という真相と、『死は弟の銃撃の結果である』という真相の二つが、もし世間に漏れ出したら、ゴッホの伝説は他に類を見ないほど、劇的なものとなります。だから、『絵は、将来高騰するであろう』と、考えて贋作を作ったのなら、ガシェ博士は、知能犯または、確信犯と成ってしまいます。

 ここらあたりまでは、わかりません。さすがの私も、お医者という矜持が高いはずの種族がそこまでのことを、するかは、疑問です。天地がひっくるかえるような衝撃を受けますから。だから、BSジャパンで開示された程度の、結論でここは、収めておくべきでしょう。

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 しかし、もっともラッキーだったことは、これらの、特異な伝説が開示されなくても、ゴッホの絵は・・・・・自らの力強さによって、大衆社会、まで、その支持を広げ、そして、画家としての自分の盛名をあげた・・・・・のでした。今はすでに、日本円にして、数百億円で取引をされる額の作品となり、そのコピー写真はあらゆるところで目にするという状況に成っている、点です。      2009年11月3日  雨宮舜 (川崎 千恵子)
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