ボストン現地レポート 教育に関連した話題を現地から

アメリカのサマーキャンプ、サマースクールの短期留学専門のコーディネーターが、現地の情報を様々な角度からお届けします。

サマーキャンプ参加後の感想

2017年08月30日 | アメリカのサマーキャンプ
今シーズン最後のグループの子供たちを、無事にボストン空港から送り出してから、2週間が経とうとしています。6月23日に今シーズン最初のグループの子供たちをボストン空港で迎えてから、現地コーディネーターとして気が休まることは無く、緊張の連続でしたが、日本の子供たちが全員帰国した後は、寂しさが残ります。

そんな中、今年、アメリカのサマーキャンプやサマースクールに参加した生徒さん、そして保護者の方々からのご感想が届いていますので、ご紹介してまいります。


本日ご紹介しますのは、私立中学の3年生の男子生徒さんの感想です。今年初めて、アメリカのサマーキャンプに3週間半参加しました。東京でお母さまとお会いしたときは、背がとても高くさわやかな笑顔が印象的でした。
弊社で用意しましたアンケート用紙への記入では無く、帰国便の機内で自由に書いてくれた感想です。


なぜ僕が今このW✳Kのデイリースケジュールの裏に3週間もの振り返りを書こうと思ったか、出発前にキムさんに飛行機内で楽しかった事、思い出を書き出してみて。と言われたからです。
不思議です。隣には見知らぬ国の人がいて、僕は1人でこうしてペンをとっている。 先程、日本食なのか何なのか謎な機内食を昼なのか夜なのか謎な時間に食べて、それから暫く映 画を観ていました。
このキャンプに来た目的 「3週間アメリカで、外国人という立場で共同生活を送ること」 を僕は成田に着いた時点でも出発の時になっても解っていませんでした。 それは前日までの日々が多忙であった事(祖父が他界した)もあったと思います。多分恐れてい たんだと思います。初等部の洋上小学校8泊9日が自分にとっての最長の家族と離れた期間でした が、それの3倍も期間、異国の他人と過ごしていけるのか、、キャンプが嫌いな僕にはまさに恐怖 でした。 でも今は、ちゃんと目的を理解しそれを達成できたと思えます。
Camp Wingate は世界を一つにまとめた様な場所です。聞こえてくるのはEnglish Chinese Japanese Spanish 、、。毎朝プランニングセッションを行う場所には様々な国の旗が掲げられ ていました。正にこのキャンプのdiversityを表わしています。EnglishでもAustralia England American と、また違って面白いです。
僕は今心の中に3つ不思議に思っている事があります。
①「英語が周りにあるのが当たり前」 Camp Wingate が始まって1週間が経つ頃から周りの環境にも慣れ耳も慣れて来ました。そこで 自分が英語を聞く時に頭で日本語に変換しないで聞いていて、それに対して笑ったりしていた事! 今までの自分にとっては考えられません。
②自分の将来が見えた それはBoston Airport を発つ時に思った事です。ふと思いました。 自分て、もしかして将来ここに住むのかも、、。生意気かもしれませんが確実に頭の中の思考回 路がそう思わせました。それは恐らく自分の英語の可能性を知る事が出来たからだと思います。 「井の中の蛙」「百聞は一見に如かず」 この諺の意味を身をもって理解できました。 英語を話せる様になると、自分が見ている景色をもっと楽しむ事が出来て人生が豊かになるんだ なと解りました。
③「また来よう!」 今日はいつもより1h早く起きました。PackingしたりClean upしたり髪をSet upしたりと忙しかっ たです。それはすぐ後には皆んな自分の家に帰るからです。最年長のLodge1のキャンパー達は皆 んな泣いていたし、全員が最後のCampの時間を共に悲しんでいました。僕はCl 2の皆 Marcos. Owen. Sam. Stuart. Seth. Kiki. Christine. Tom. Xinting. らと別れの挨拶を している時には涙が溢れました。 苦行だー、地獄だ。。と嘆いていた自分からしたら想像もつかなかったと思います。 皆んなから「You are so cool ! Would you like to come back here next year? 」と言われて、 自分もキャンプの一員だったんだ!と嬉しく思いました。書いていたら止まらなそうなのでこの 辺にしておきます。思い出は3週間の日々、毎日の出来事全てです。また来年も行きたいです!!

この生徒さんとは、キャンプ期間中、電話で、そしてファックスのお手紙などで対話をしてきました。なかなかキャンプでの生活に馴染めず、自分の殻を破れずに、全てに後ろ向きになったこともありました。そんな状況を弊社よりキャンプ側にお伝えし、即、力を貸してくれたのは、キャンプディレクターであり、この生徒さん担当のカウンセラーであり、同じキャビンの友達たちでした。キャンプディレクターとカウンセラーは、この生徒さんと3人で話し合う時間も持ってくれました。Google Translatorを利用することもあったそうです。この生徒さんが、9月の内部進学試験に向けた勉強が出来ない、と気にしているとき、周囲の大人たちは「勉強を一生懸命することも大事だし、君の気持も尊重するけれど、勉強よりも大事なこともあるんだよ。勉強ばかりできてもダメなんだ。」ということを、丁寧に伝えてくれたのでした。私からも、「持参した勉強道具はスーツケースの閉まってしまって、勉強するのは止めなさい。」と、伝えたこともありました。お母さまは、それを受けて、「勉強するな、と言われたのは、息子の人生で初めてだったことでしょう!」、とおっしゃっていました。

お母さまとも、メールで息子さんの状況について、キャンプ期間中何度もお話ししてまいりました。そのたびに、この生徒さんのことをより知ることになったり、ご両親のお考えをより理解することができたのは、とても貴重な収穫でした。

サマーキャンプに参加する前は、在学校と塾だけに活躍の場が限られていたようですが、今は自分の将来をもっともっと広い舞台で考えられるようになったようです。10月には、高校留学を目指し、学校訪問にボストンにやって来る予定です。

たったの3週間半という期間でしたが、この生徒さんにとって、机上の勉強だけでは決して得られない、今後の人生において大きな糧となる貴重な体験をしてくれたことが、何よりも嬉しく思います。キャンプから帰国してすぐに行った塾では、これまでは苦戦していた数学の難問を、すらすらと解けたそうです。雄大な自然に囲まれたキャンプで、信頼できる大人たち、仲間たちとの共同生活を通して、15才の脳が活性化されたのかもしれません。机上の勉強だけが勉強でない、と言うことを、本人も実感したことでしょう。この体験をスタートに、自分のポテンシャルをどんどん伸ばして欲しいです。子ども一人一人が持っているポテンシャルは、すごいです!