雲は完璧な姿だと思う。。

いつの日か、愛する誰かが「アイツはこんな事考えて生きていたのか、、」と見つけてもらえたら。そんな思いで書き記してます。

深いところ

2019-09-21 15:04:29 | 凄い...映画/音楽/珈琲
写真の隻眼(せきがん=片目)の女性は、
戦場ジャーナリストの
「メリー・コルビン(Marie Catherine Colvin)」さん。
凛とした芯の強さを感じるアメリカ合衆国の方で、
数々の凄惨な戦場からスクープニュースを世界中に届けてきた方。
写真の通り、彼女の左目は失われていて。
それは戦場で対戦車弾の爆発に巻き込まれて失明してしまったのだそうです。
その後は、痛めた目を隠すために巻いていた黒い眼帯が
彼女のトレードマークともなっていったようなのですが、
あまりに悲惨な戦場を見過ぎてしまったため、
一時期PTSD(心的外傷後ストレス障害)にもなってしまい。
かなり長い期間の療養を強いられてもいたそうです。
しかし、それでも彼女は、

「自分の使命なのだ」

という強い気持ちで戦場取材に出かけ続け。
その病いすらも戦場の中で克服してしまいました。
ジャーナリスト世界の栄誉ある賞もいくつも受賞して、
「生ける伝説」と謳われてもいたそうです。

先日、そんな彼女を描いた完全実話映画
「プライベート・ウォー(A Private War)」
がホンの一部の映画館の小さなスクリーンで公開されていました。
監督はマシュー・ハイネマン(Matthew Heineman)さん。
主人公のメリーさんを演じていたのは
ロザムンド・パイク(Rosamund Pike)さん。
見ていてとても印象的だったシーンは、
デスクから離れないマスメディアのお偉いさんに向かって
メリーさんが言った言葉。



「私が見るから、あなたは見なくていい」



実際に彼女が話した言葉なのか?どうか?
はよくわかりませんが、
僕には、なんだかとても......心に残りました。
作品は彼女の見て来た世界を忠実に再現していて、
最早ドキュメンタリーと言ってもいいくらいのリアリティさ。
同じような感触の映画作品としては、
最近では「ハートロッカー」とか、
「アメリカン・スナイパー」とか、
そのあたりの作品となるでしょうか。
ストーリーはシンプルなのに、それ故に、
その奥に潜む複雑な世界像を想起させられてしまう感覚。
映画に描かれていること以外の部分にも
色々と思いを馳せてしまうような作品。

そんな映画を見ながら、僕は、ふと、もう一人、
同じような女性戦場記者さんのことを思い出していました。
それが「山本美香」さん。
彼女もまた、印象的な言葉を残しています。
こちらは取材記録がはっきりと残っているので、
彼女が発した言葉に間違い無いと思いますが......



「誰も行かないから、私が行くしかない」



美香さんは、この後、
泥沼化した内戦が続くシリアのアレッポで銃撃されて亡くなります。
この事件はニュースでも大きく伝えられたことを
僕はよく覚えていますが、
なぜよく覚えているのか?というと、
それは、この

アレッポへ。祈り。

という記事をココに記したわずか数週間後の出来事だったからです。
まだ東日本大震災からさほど時間が経っていない
時期だったということもあり、
僕としてはとてもやるせない、
複雑な気持でいたことを覚えています。
そして、今回のメリーさんの映画の主な舞台となっていたところも、
美香さんと同じシリアの内戦でした。

とにかく、そんなふうに、

この映画は見ていると色々なことに思いを馳せてしまいます。

最初に湧き上がってくるのは、

どうしようもないやるせなさ。

どうしていいのか?

まったくわからないとまどい。

同じ世界を生きている人間として、

消えて無くなってしまいたいくらいの悲しみ。

寂しさ。情けなさ。無力さ。

絶望感。

そして、

時間がたつにつれ湧き上がってくるのは、

礼を逸っすることになるかもしれない、

ヒドイ人間と思われても仕方ないようなコトゴト。

それは全身全霊、
命を投げ打ってまで懸けれる仕事やモノがあったという人の幸福さとか。
そもそも、こんな映画を作っているアメリカという国は、
シリアの内戦を戦うそれぞれの軍に武器を横流ししているのではないか?
ということとか。
戦争がある限り儲けまくれる軍需産業や
組織を持つ国が作っている映画ではないのか?
とか。
ということに気づいたりもして。
そう考えると自己矛盾甚だしい映画ではないのか?とか。
でも、それこそがアメリカなんだろうな、とか。
恐ろしいというか、なんというか、とか。
シリアの内戦においては、他にも

「アメリカだけに好きなようにさせないぞ!」

というロシアや中国の武器や軍事サポートなどもあるはずで。
いずれにせよ、そんなことごとが、
上に「複雑」と記した思いの中に含まれることであったりもします。
そして、こんな映画は、不思議と、
時間がたてばたつほど映画の中のシーンやセリフを、ふと、
思い出してしまったり。
映画に込められた意味合いなどをコトあるごとに考えてしまったり。
そんなことがあったりもして。

「それは、どうしてなんだろう?」

と自問してみると、どうも、
自分の深いところに刺さっている「何か」があるようで。
あくまで「深くささっている」ということではなく、
「深いところに刺さっている」ということであって。
その「深いところ」というのは、
自分では意識できていない潜在意識や無意識的な領域の近くにあるような感じで。
それで、映画のシーンとリンクするような「何か」に触れた時に、
ふと、自然と、その深いところに刺さっていた映画のシーンが
意識の表層に浮かび現れてくる......
といった感じでしょうか。
この映画も含めて、こんな感じに陥る作品達というのは、
長い時間をかけて理解や消化をしていくようなものなのかもしれません。
そして、もう一つ。
この映画を見ながら思い出していたのが、
村上春樹さんが「遠くの太鼓」というエッセイ集の中で書いていた言葉。
数年にわたる平和極まりないヨーロッパを巡る旅の中で、
春樹さんはこんなことを記していました。



「結構いろいろなことも経験した。
楽しいこともいっぱいあったし、嫌なこともたくさんあった。
でも、やっぱり、
人と人とが殺しあうなんて馬鹿げていると思う。」



現在の宇宙が誕生したのは140億年ほど前と言われていて、
地球が誕生したのは45億年ほど前と言われています。
僕ら人類が進化、誕生したのは500万年ほど前。
すると、僕ら現人類というのは、まだ中学生ぐらい?
なのかも知れません。

未成熟で、エネルギーを持て余し。

不道徳で、力比べの喧嘩ばかり。

俺が上で、お前は下だ。

全てが間違いで、全てが不満。

でもそれが青春なのだ。

人類は、

まだそんなところにいるのだろうか......

もし、仮に、
アチラの世界に天国や地獄なるものがあるのであれば、
それはコチラの世界にもちゃんと同じように転写をされていて。
アチラ世界の地獄から抜け出ようと思ったら、
コチラ世界の地獄に生まれ。
そこで打ち勝つ何かを掴まなければ、
地獄からは抜け出れないようでもあり。
コチラ世界の地獄的な場所や国や世界や考えが無くなれば、
アチラ世界でも同じように無くなりもするということで。
コチラを見れば、アチラがわかり。
アチラを知れば、コチラも知れて。
そんな世界を救いたくて、
この星を卒業したのに違う星から舞い戻ってくる魂もあるようで。
この星とは全く関係ないのに、
全宇宙のためにこの星をなんとかしようとやってくる魂もいて。



「三界の狂人は狂せることを知らず。
四生の盲者は盲なることを識らず(しらず)。
生まれ生まれ生まれ生まれて、生のはじめに暗く。
死に死に死に死んで、死の終わりに冥し(くらし)」



プライベート・ウォーの様な映画を観ると、
空海さんの残した、そんな辛辣な言葉も浮かんで来たりもします。
やはり、何かが、
僕の深いところに刺さっているようなのです。



メリーさんを演じたパイクさんは、もう、何というか......圧巻。
「女優魂」なんて、そんな言葉も安っぽく思えるくらいの演技。
今年、どこかのアワードで女優賞とかとっちゃうのではないか!?
的な凄み。
見終わった後は彼女がコルビンさんにしか見えなくて。
ドキュメンタリーにも感じられてしまうリアリティさの要因も、
彼女の演技に拠るところが大きいように思えます。
尊敬。(o-´ω`-)ウムウム



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