あまねのにっきずぶろぐ

1981年生42歳引き篭り独身女物書き
愛と悪 第九十九章からWes(Westley Allan Dodd)の物語へ

薄情者、青い光

2017-09-24 18:29:03 | 
あんまり人が考えたことがなさそうなことを考えることが好きなんだ。
例えば自分の最も愛する人を殺した人間がこの世で最も美しい作品を創りあげる人間だったらどんな気持ちになるんだろう?とかね。
君のいなくなった世界が本当に美しいと感じたらぼくはどう生きてゆくんだろう?とか。
神様を殺して食べたらどんな味がするんだろう?とか。
最も嫌悪感を感じる人間に20年間監禁されて犯され続けたらきっとその人間を崇拝するようになるだろうとか。
たった一人の愛する人を拷問によって殺された人はきっとこの世界に怖いものは何一つないんだろうとか。
自分の身体が腐り果ててゆく姿をずっとそばで心から美しいと感じながら見詰め続けてくれる人と結婚したいとか。
青い光が見えたんだ。
この闇から。
青い光がぼくを照らしていたんだ。
気づけば。
知ってるかい?
ほんとうに大切なことはまだ誰も話したことがないんだ。
考えたこともない。
なのにどうして、ぼくはここにいるんだろう。
言葉に果てはないのに、どうして君はぼくにいつも話しかけてくるの?
誰もが薄情者だよ。誰かは必ずどこかで拷問の苦しみを受けているのに君は笑えるんだね。
君は笑えるんだ。優しい微笑を浮かべて。
薄情者。ぼくらはすべて。
青い光。ぼくらを照らすぼくらの光。
あれはぼくらだ。
この闇から、ぼくはぼくを見ている。