先週は田んぼに水が入って、蛙のなきごえがひときわ大きくなった。
あいにくの曇り空が残念だけど、田んぼの水鏡は空を映している。
生命の水は、その中に泥をのみこんでも涼しい表情をしている。
その表面にいろんな生物を遊ばせている。
その内側にいろんな生物の営みまで守っている。
水鏡は、汚してしまった世の中を美しくさえ映しとっている。
雨粒がゆったりと波紋を描いている。
時が「急ぐ」のをやめるように。
その表面を、初夏の風が撫でていく。
鳥たちの羽音が水面を揺らしていく。
水鏡をわたる風が、澄んだ澄みきった風に変化していくようだ。
そんな風景がいつまでも尊くありますように。
水鏡が映す風景が変わっていっても
それを見る人の眼はいつまでも曇らないでいられますように。