馬糞風リターンズ

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ネギの葉。裏表は?

2013年11月19日 | 自然
鍋の季節になりました。具材で欠かせないのがネギです。処でこの「ネギ」は葉の部分を食べるのですが、他の野菜(植物)と違って葉が紡錘形の筒状になっています。果してこの「ネギ」の葉に「表・裏」があるのか?こう大上段に構えると大層になりますが、実はこの問題は「子ども科学電話相談室」にはよく質問があるテーマなのだそうです。回答する先生方は、質問者の年齢に応じたレベルで回答し、最後に決まって「自由研究のテーマ」とするように進めています。
植物の葉の「表裏」はどのようにして決めるか?一番分かりやすい決め方は図のように「茎と向かい合っている面」を「表」と決めてあるそうです。或は「太陽の方を向いているのが表、地面を向いている方が裏」という説明もあります。
葉の表側は「太陽の方を向いている」ので太陽の光を利用して「光合成」を行う組織になっています。一方、裏面は光合成に必要な二酸化炭素を取り込み、酸素を排出するガス交換等を行う組織でできています。要は、落語や漫才の「ネタ」である「豆腐・こんにゃく」の裏表とは違って、植物の葉の裏表には意味があるようです。
ネギの葉は筒状になっていて、他の植物の葉のように表裏の区別ができません。普通の感覚では見えている部分が「表」のように思ってしまいます。
また、ネギの白い軸の部分を輪切りにしてみると写真のようになっています。右側の輪切りがネギの下で、左にいくにつれて上の位置の輪切りとなります。
 結論から言いますと、ネギの葉の緑の部分(葉身)も白い部分(葉鞘)も見えている葉は全て「裏」なのです。この「裏・表」というのは冒頭で定義された植物学での「葉の表・裏」による「裏」ということです。これは、ネギの葉の形成過程を観察すれば、本来「葉の表」側が巻き込まれ、「葉の裏」側が外側に筒状に成長して円錐形の「ネギの葉」が形成されていくそうです。
写真はネギのの葉の顕微鏡写真です。高校の生物の教科書を思い出してください。一般植物の茎では外側に篩部、中心側に導管が配置されています。一方、葉の維管束では表側に 導管が、裏側に篩部が配置されています。これにより維管束の観点から、ネギの葉は見える部分全て葉の裏側ということになり、筒状の葉の内側が表と言えます。多くの本には上記のような説明が有り「ネギの葉にも表裏があります」と解説されています。
 しかし、維管束の写真でもわかる様にネギの葉の表と言われる円筒の内側には「葉の表の組織・機能」が見当たりません。即ちネギの葉は裏面はあるのですが表はないのです。
植物の葉には普通見られる葉のように「表・裏」があるものとネギの葉のように「裏」しかないものがあります。植物学ではこれを両面葉・単面葉と呼ぶそうです。単面葉がどうして形成されるかは、そのメカニズムが解明されたのはつい最近のことだそうです。
2010年アメリカの科学雑誌The Plant Cellに基礎生物学研究所(山口貴大助教、矢野覚士研究員、塚谷裕一客員教授)、東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻(塚谷裕一教授)の共同研究として「アヤメやネギがもつ、裏しかない葉「単面葉」の形作りの仕組みを解明」が発表されたのが初見だとされています。


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