れんげ荘群 ようこ角川春樹事務所このアイテムの詳細を見る |
休暇の初日にふさわしい。
45歳で名のある出版社をきっぱり辞めて
もう働かず貯金で食いつないでいゆく決心をして、まったく気の合わない母と住む家を出る。
予算の関係で共同シャワーとトイレのオンボロアパートに住むことになる。
そのアパートの名がれんげ草。
アルバイトもボランティアもな~~~んにもしないで、わずかのお金で生活をする。
大きな退屈。漠然とした不安。
人はなぜ働くのか?
働ける五体満足な体を持って働かないとどういう心理状態になるのか?
なんども無職になった私。
無為の時間に仕事のお誘いがあるとひょいひょいと乗ってしまってきた。
主人公は月10万円で暮らそうとする。
甘~~い
10万から家賃3万をまず引く。 のこり7万。
7万から年金約1万5千引く。5万5千。
まだある。会社を辞めたら入らねばならない国民健康保険。
前の年の収入に準ずるからいったいいくらになる?
おわかりだろうか?
10万の生活のつもりが全部全部払っていると、
手に残るのは札がひらひら~ほんの1~2枚。
最後に姪に8千円のフランス製ビーズネックレスを買ってやるシーンが出てきたが、
そんなもの鼻血も出ないはず。
それで私の場合、
国民の年金を納める義務が終わるまでは
無職ライフは『おあずけ』とした。
そういう現実的なところはともかく、
仕事を辞めたらゆったり薔薇色の時間が過ごせるかと思えばそうでないことが
軽妙なタッチで楽に書かれている。
劇的なことは何もない日常を丁寧に暮らすとはどういうことか?
お茶の選び方、服の選び方など細かなこだわりに、群さん好みが散りばめてある。
贅沢貧乏。読後、私もそう在りたいと思わせる。
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