陽だまりのねごと

♪~思いつきひらめき直感~ただのねこのねごとでございますにゃごにゃご~♪

おつかれですか?

2007-10-22 07:32:57 | Weblog
美容院は日曜その日のなって予約を入れたら
夕方6時にしか空いていなかった。

朝からこたつ布団一式を出してうんとっこしょと外に干す。
息子が寝ていたから掃除機を使わないでコロコロでそっと掃除。
シャキッとすっきりしないけど、しないより良い。
衣類の入れ替え。きゅうに寒くなったもん。
ブツブツ…
猫の餌、人間の食材買い物。
休日に買いだめ。なるべく後は必要最小限度で仕事帰りの負担減を図る。

11時半から昼食作り。
息子の起きだす気配がないからひとりで昼食。
息子は13時になっても起きてこない。
昼食は寒くなったから温かいうどん。
出汁も具もうどんを茹でる湯もスタンバイOK
これだけは作って待ってはいられない。
起きだすのを待っていたら
待ってるだけで貴重な休日が終わりそう。

13時10分。
声をかける。
寝ていたことを悟られまいとしてか
元気な声で返事がくる。
起きだした顔はやっぱりさっきまで寝ていた顔。
うどんを用意してやるが
不機嫌なことこの上ない。

母と家に居る休日は不愉快であると
息子の態度が言っている。
このまま不機嫌モードにつきあうと
自己否定メビウスの輪的会話が永遠と続く恐れもある。

ひとりで海辺のドライブと言い置いて当てなく家を出る。

風は冷たくて強いが
空気は乾いて日差しは心地よい。

時折寄る雑貨屋さんが
海辺の自宅でニット展を開いている案内はがきを思い出した。
少し高台にあるその家からは
目の前に瀬戸内海が臨める。

ニットの銘柄が『無垢』と言う名にも惹かれた。
急勾配の住宅に通じる細い道にハンドルを切ったら
駐車場に1台も止まっていない
日を間違えたかと思ったら
中からオーナーではない人から『いらっしゃい』と声がかかる。

ニットは糸の染めからこだわって
職人さんに手編み機械で編んでもらった物と言う。
なんだか子供の頃、母に編んでもらったセーターに似ている。
古い物をほどては湯伸しして新しい糸を足して
自宅用編み機でシャッシャッシャと編んでくれた柄のよう。

練炭火鉢と湯気にあたった毛糸が発する匂いが交じる
締め切ったちゃぶ台の置かれた部屋で
編まれていたくるくる糸が
やかんみたいな火鉢の上の道具をくぐって
をまっすぐな糸になって繰り出される風景まで浮かんだ。

見せてもらったお礼だけ言って去ろうとしたら
せっかく来られたからお茶でも言う。
何にも買わないのに悪いから固辞していると
奥からオーナーが笑顔で出てきて
結局、海の見えるテーブルに座ってしまった。

ふとニットの応対をしてくださったメーカーさんの頭に目が止まる。
5ミリくらいの坊主頭。
きれいなお顔立ちと巧みなメイクの所為かとても自然。
てっきりシニオンに結ってある髪だろうと思っていた。

ついつい自分が望んだのではなくて
円形脱毛のヒドイ分でつるっぱげになって
生えはじめはそんなヘヤーだった話をしてしまった。

なんとオーナーさんも寡婦だった。
50代で独り身となって、
それまで片手間にやっていた店舗を大きくして
この海辺の家を建てた経緯を語られた。

海が見えるところに住みたいと言う亡き夫の言葉で
ここに家を建てたと。
同じく7回忌が済んだところと話された。
家を建てて4年目。
借金があるとがんばれると言われる。
さらに車が好きでボルボを買ってしまって借金が増えたとも。
『借金があるとがんばれる』
会社を辞めると同時に家を求めた亡夫そっくり。

同じ寡婦でも金銭的には守りに入っている私と
正反対の責めの生き方をされている。

伴侶を亡くした時のものすごいショックと、
同じ時間を経て
再生してきた自分が、夫の死から教えてもらった命への感謝と、
ひとりで決断して生きてゆくこれからと、

誰もお客が居ないことで
ついつい客と店主でない話の盛り上がりとなってしまった。

おしゃべりの高揚感で、まっすぐ帰路につく気がせず
もう少し半島の端っこまで
こんなきれいな海に原発を作ろうと言う計画がある場所まで
窓を開けて車を走らせた。
少し傾きかけた太陽が波のない海面を銀色のさざ波に照らしている。

はっと、美容院の予約を思い出してUターンした時は
ちょっと時期を失していた。
家にはコタツ布団の取り込み作業も待っていた。
秋の陽は落ちるのが早い。

コタツ布団を取り込むだけにしとこう居間に投げ込むと
猫たちが浮足立っている。
しかたがないのでホットカーペットからセッテング。
この秋初のコタツスイッチON。
よろこびの猫たちはこたつに姿を消して、人間様は大忙し。

夕飯の粗支度は済ませておく腹つもりだったが何にもできず予約の時間が来た。
美容院はカットだけだから所要時間1時間。
済んだら19時過ぎになる。

ここはカットの後で念入りにシャンプーと頭のマッサージをしてくれる。
カッティングがどっちを向いてようが
毎度おんなじストレートショートカットなのだ。
この店の売りはコレ。

若夫婦ふたり美容師で切り盛りしている。
年下の夫君は息子とおない年。
話しかけられるとちょっと面倒くさい。
ジェネレーションギャップがつままらない気遣いを私にさせる。

美容師夫婦は家に帰ると両親が食事を用意して待っているそうだ。
ワタシは、ワタシは、ワタシは、
これからこれから刺身が半額の閉店前スーパーに寄って猫用にゲットして、
息子のために今日は簡単ながら、カモ鍋のご用意が待っている。

シャンプーで寝てしまったから
美容師さんが
「お疲れですか?」と
首筋を丹念にもんでくれた。

なんででしょうか?
休日もお疲れなんですぅ~。