山頭火つれづれ-四方館日記

放浪の俳人山頭火をひとり語りで演じる林田鉄の日々徒然記

この道しかない春の雪ふる

2005-03-02 13:12:40 | 文化・芸術
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レター・オブ・グランド・ゼロ
  -世界のサダコたちへ-


大阪自立演劇連絡会議第9回合同公演

昨冬12月からつづいた稽古も大詰め。
いよいよ、週末は本番の上演を迎える。


● Date
2005年 3月 4日(金) pm6:45
5日(土) pm2:00 pm6:45
6日(日) pm2:00
● Admission
一 般     3000円 (当日券 3500円)
中・高・シニア・障害者 2000円 (当日券 2500円)
   (シニアは70歳以上)
● Place
エル‐シアター(大阪府立労働セン夕―)
地下鉄谷町線・京阪電車「天満橋」駅から西ヘ7分
● ローソンチケット
Lコード 59582 Tell 0570-663-005
● お問合せ 劇団大阪 Tell 06-6768-9957


劇中、「中継ぎの手紙」より 

ぼくは父の上に立つ
二本の足で
笑顔さえ浮かべて
父はそれを喜ぶ
もっと踏みつけろと


こんな詩が頭の中を巡る。
おまえの成長とともにわたしの内で静かに変わりつつあるものがある。
「戦後五十年の八月六日のヒロシマ」という歴史に参加したい気持に駆られたのも、有、おまえの成長と無縁ではないようだ。この夏、わたしはおかあさんとヒロシマへ行った。‥‥


元安川の橋のたもとにある「爆心地の碑」で足が止まる。空は青い。
原爆は地上から五百八十メートルのところで炸裂したという。
それはどのくらいの辺りなのだろうと中空を探した。‥‥


平和コンサートの感動を枕に安宿で一泊して、わたしたちはその朝を迎えた。
原爆ドーム前へ行くちんちん電車はずっと満員。大半が記念式典へ向かう人々‥‥。


原爆ドームの周辺ではダイ・インをするために人々が地面に坐って待っている。
その間を抜け人の流れに乗って‥‥


少し行くと、「原爆の子の像」があった。
折り鶴を頭の上に抱いた少女が両手を広げ空を見上げている。
空はやはり青く高い。‥‥


そして、八時十五分。黙とう。
まぶたを閉じても日差しの強さがわかる。
遠く近く鐘の音。蝉しぐれ。
身一点にこの時を感じる。
五十年前のあの日も蝉は鳴き、日差しは輝き、人々の生活があった。
ああ、今ここに原爆が落とされたなら一瞬にしてわたしたちの生命は奪われるのだ‥‥。


「有をここに連れて来ようね」
それが二人の共通した思いだった。
わたしがかつて叔父に連れられて来たように、有、おまえをここへ連れて来たい。
そしていつの日かおまえ自身の心と身体でこのヒロシマの夏を体験して欲しい。
式典のほうからはこの国の首相らしき人の声が聞こえてくる。


わたしはおかあさんと静かに語り合った。
原爆の恐ろしいのはあの日が悲しみの終わりではなく始まりであったということ。
そしてヒロシマの悲劇は日本の侵略の歴史を踏まえて語り継いでいかなければならないこと。


今、鳩が放たれた。未来の子どもたちの平和への夢を乗せて。
有、おまえが大人になった時には核のない時代、争いのない時代になるように。
わたしは‥‥、この手紙をおまえに送る。

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