心が満ちる山歩き

美しい自然と、健康な身体に感謝。2019年に日本百名山を完登しました。登山と、時にはクラシック音楽や旅行のことも。

日本第3位の高峰へ 北アルプス・奥穂高岳/涸沢岳(4) 穂高岳山荘から奥穂の頂上へ

2017年09月19日 | 北アルプス


奥穂高岳(3,190m)・涸沢岳(3,110m) (つづき)

 穂高岳山荘で午後3時過ぎに受付を済ませました。平日でも山小屋は盛況でした。今年の8月は、北アルプスではいい天気の日が少なかったようです。晴天の見込める今日と明日をターゲットに、多くの人が登ってきています。


 コーヒーを飲み、涸沢ヒュッテで借りたヘルメットを付けて、いよいよ山頂を目指します。再び雲が出てきたものの、雨の心配はなさそうでした。岩場に取り付いてしばらくすると、梯子が2連続でかかり、その先には鎖場があります。無理によじ登る必要はありませんでしたが、奥穂へ登るルート中では一番難しい場所だったと思います。登りきると、雲の間から前穂高岳の岩尾根が姿を現しました。


 今日初めてトウヤクリンドウの花を見つけました。この花には独特の匂いがある気がします。トウヤクリンドウのヤクは「薬」で、胃薬になるといいます。


 ゴールだと思ったらまだ先があった、というのが2回くらいあり、山頂の祠を見つけた時の感動は筆舌に尽し難いものでした。ほぼ1時間かかって、遂に北アルプスで一番高い山の頂上に着きました。常念岳から、槍ヶ岳から、笠ヶ岳から見た山にやっと登ることができました。時おり青空も姿を見せ、いくつも折り重なるような雲が広がっています。この高さまで来なければ見られない景色に違いありません。


 雲の間から、怪峰ジャンダルムが見えてきました。岩場の苦手な自分には、一生近づくことも許されないでしょう。見るだけで、ここにいるだけで、空恐ろしさが伝わってきます。ザイテングラートがドイツ語なら、ジャンダルムはフランス語で、「憲兵」という意味だそうです。稜線で通せんぼしている岩というイメージです。「何だこれは!」という形をしていました。

 ~ 岩場は、私たちが今まで出会ったどれよりも険しく、堅いものだった。それで私たちは全力を注がなければならなかったけれども、それだけまたこの登攀は爽快だった。十二時四十五分には険しい痩せ尾根に達した。ここから大きな花崗岩の岩塔がそびえていて、このために似つかわしい「穂高山」(立穂の山)の名がこの峰に付けられているのである。 ~
 (『日本アルプス 登山と探検』(ウォルター・ウェストン・岡村精一訳 平凡社ライブラリー))
 立穂、”穂が立つ”の名前にふさわしいのは、槍ヶ岳ではなくこの穂高岳の岩峰だと思いました。

 (登頂:2017年9月上旬) (つづく)



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