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高齢馬のケアと徒然日記

蹄葉炎型の蟻洞

2024年08月16日 09時19分59秒 | 高齢馬のケア
クー太郎は蹄葉炎につづく蟻洞です。
治療は獣医さんと装蹄師さんと相談しながら行います。
とはいえ、最終的に決めるのはオーナーですから、お勉強も必要です。

蹄葉炎型の蟻洞の治療に関する情報を集めましたが、獣医師による正しい診断と、装蹄師との協議の上、適切な治療を行ってください。
※素人判断で実施しないようにお願いいたします。

2017年BTCニュース
蟻洞 ─その原因と治療法─
下記P5~

P9より引用
「蹄葉炎型蟻洞を発症すると黄色の贅生角質に真菌が繁 殖し、広範囲に蟻洞が広がって知覚部に達することがあ ります。真菌感染の有無がわからなくても、蹄葉炎の後 にできた大きな蟻洞では、浮いた蹄壁を括削した後に見 えてくる贅生角質をターゲットに、まずは細菌や真菌を 殺菌する消毒薬パコマを塗布します。さらに、選択的に 角質組織によく染み込む市販の水虫薬 (例;ラミシー ル)などの抗真菌薬を塗布することで病変の進行を防ぐ ことが期待できます。 医薬品医療機器等法で決まっているパコマの使用につ いては、100倍希釈液は獣医師のいない状況で勝手に塗 布することができますが、人の目や口腔粘膜に直接触れ ると炎症を起こすリスクがある、それよりも濃いパコマ は獣医師の指導のもとでないと塗布できません。」

〇消毒薬パコマの効果
下記抄録(P22)『蟻洞に対する消毒薬を用いた治療法の検討』より引用
https://company.jra.jp/equinst/publications/pdf/y53.pdf

「蹄葉炎から続発する蟻洞では真菌感染が増悪 要因として明らかにされているが、近年になって、環境細菌による角質感染も蟻洞を悪化させるこ とが解ってきており、抗菌薬よりも消毒薬の方が安定して抗菌効果が得られる可能性が高いと報告 された(大熊ら 2010 年 第 23 回日本ウマ科学会)。」

要約:
蟻洞病変から角質分解細菌が分離された軽種馬 50 頭について、プラセボ群、パコマ原液群、パコマ100倍希釈群で、1~3か月後の病変の幅と深さで比較(t検定、p<0.05で有意差)。
方法は病変部にスポイト等で適量を塗布。
結果、プラセボ群は殆ど変化なし。パコマ原液群、パコマ100倍希釈群で改善、3か月後ではパコマ原液群とプラセボ間で有意差あり。パコマ治療の有効性が示唆された。

〇蟻どうの治療はどのように治療するのが一番良いのでしょうか??
(Peingの質問箱)以前、歯の診察をしてもらったM子先生の回答

蟻洞の病巣はオープンに(開放)することが大切ですが、蹄壁を削りすぎてしまうと支えが無くなってしまうので注意が必要です。

パコマも有機物は弱いので、できれば洗浄後の塗布が良いと思いますが、毎回蹄を洗うことのほうが悪影響がありそうなので、ブラシなどできれいに砂や汚れを落としてから塗布します。

今の獣医さんからは、パコマを原液で使用すると蹄がボロボロになることがあるため、3日程度で休薬するとも聞きました。
パコマ以外の消毒薬ではハイターも挙がっていました。
パコマのほうが痛みが少ないらしいです。

有機物対策としては、脱脂綿に薬をしみこませて、病巣に留置し、その上に青梅綿で蓋をするのもアリだそうです。
また、動くときに蹄壁が広がり、蹄骨が動いて痛みがあるときは、キャスト固定をしますが、その際にも、キャストごと削って病巣を開放するのもアリとのことで、なるほどー、と思いました。

装蹄について、ロッカーシューは関節の揺らぎで蹄の血行に良い影響を与えるとのことです。
不安定になることで、関節への負担も考えられますが、何を優先すべきか、で判断するとのことです。


〇その他参考
「蹄病をもっとよく理解するために」(BTC)

「蹄疾患「蹄壁剥離症」について」(馬の資料室(日高育成牧場ブログ))

日曜日の装蹄後に、クー太郎の治療についてまとめます。
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