上海阿姐のgooブログ

FC2ブログ「全民娯楽時代の到来~上海からアジア娯楽日記」の続きのブログです。

羅雲熙(レオ・ロー)と白鹿(バイルー)コンビのファンタジードラマ「長月燼明」大ヒット配信中

2023年04月20日 | エンタメの日記
4月6日から中国ファンタジードラマ「長月燼明」の配信がスタートし、圧倒的な大ヒットを記録しています。
「長月燼明」はいま人気俳優・羅雲熙(レオ・ロー/罗云熙)と白鹿(バイルー)がコンビを組んだ古装ファンタジードラマです。

中国ドラマ「長月燼明」(长月烬明)英語名:Till The End of The Moon ジャンル:仙侠ドラマ 全40話 2023年4月6日よりYoukuで配信スタート。
主演:羅雲熙(レオ・ロー/罗云熙)、白鹿(バイルー)、陳都霊、鄧為、孫珍妮(SNH48) 撮影期間:2021年11月5日~2022年3月31日
中国動画サイトYouku(优酷)の独占配信。形態としてはウェブドラマ(配信ドラマ)になります。


「長月燼明」はいまから1年前の2022年3月には撮影完了しており、その当時から「大ヒット間違いなし」と言われていました。巨額の制作費を投じて作られた華麗な映像のドラマです。

あらすじ:
ヒロイン・黎蘇蘇の生きる世界は魔神・澹台燼の暴虐により混沌と不安に満ちている。黎蘇蘇は武道の宗家の娘。ヒロインの父や叔父たちは、魔神・澹台燼に対抗して全員虐殺されてしまう。ヒロインはこの運命を変えるには、500年前に戻って澹台燼を魔神たらしめないようにするほかないと知る。500年前の世界に時空を超えたヒロインは、叶夕霧という名の盛国の将軍家の次女に転生していた。澹台燼はまだ一介の人間に過ぎず、景国の王子として生まれながら、人質として叶家で虐げられていた。そして、澹台燼は叶夕霧の婿という立場でもあった---。

タイムスリップ・転生に加えて、劇中で一種のパラレルワールドが展開されるという、かなり複雑な設定のドラマです。
基本的には、澹台燼の運命をヒロインが変えていくという冒険的なストーリーで、ヒロインの姉、弟などを軸としたサブストーリーが並行します。

羅雲熙(レオ・ロー)が演じる澹台燼。澹台燼のほかに、冥夜、沧九旻という人物も演じます。


白鹿(バイルー)は黎蘇蘇、叶夕霧、桑酒の3役を演じますが、主役コンビはいずれもカップルの関係。


中国ドラマは映画と同じように数年の期間をかけて制作されます。話数も多く、コスチュームドラマは莫大な制作費が投じられます。
衣装、メイク、舞台セット、小道具、あらゆる面で美しい映像を作るために惜しみなく費用を投入し、最新鋭のカメラと編集機器でスケールの大きな作品を作り出しています。
ビジュアル面でのクオリティは予算に比例するといってもよく、作品の予算規模からヒットする可能性もだいたい予測できます。
「長月燼明」は予想どおりの大ヒットで、同時期にめぼしい作品がないこともあり、独占状態で話題を集めています。

主演の羅雲熙(レオ・ロー)は若く見えますが現在34歳です。主役クラスの人気俳優としてポジションを固めたのは30歳を過ぎてからです。
羅雲熙(レオ・ロー/罗云熙)1988年7月28日生まれ、成都出身、身長177cm、上海戯劇学院舞蹈学院出身。
羅雲熙は2010年に3人組のアイドルユニット「JBOY3」のメンバーとしてデビューしました。「JBOY3」は2012年に解散。その後は、俳優としての道を歩み始めます。
羅雲熙の存在が知られるようになったのは、2015年に放送されたドラマ「何以笙箫默」です。
「何以笙箫默」(邦題:マイ・サンシャイン~何以笙簫黙)は鐘漢良(ウォレス・チョン)と唐嫣(ティファニー・タン)主演の現代ドラマで2015年当時大ヒットしました。


「何以笙箫默」はいま見るとものすごく韓ドラっぽい中国ドラマです。カメラアングル、採光、音楽、ファッションなど韓国ドラマの影響が顕著に感じられます。制作会社の公式Youtubeチャンネルで英語字幕版が見れます。
羅雲熙は主人公の学生時代役を演じています。
優れた能力と容姿を持ちながら、貧しい家庭の出身であることに強いコンプレックスを抱いている弁護士志望の法学生。感情を素直に表すことが苦手だが、屈託なく猛アタックしてくるヒロインと恋に落ちる。


羅雲熙が出てくるのは第3話、第4話、第5話のみです。「何以笙箫默」の第5話では羅雲熙が大学の構内でヒロインに衝動的にキスをするシーンがあります。中国ドラマには珍しい生々しさがあり、強いインパクトを与えました。
しかし、「何以笙箫默」でせっかくチャンスに恵まれたのに、しばらく目立った活動・作品がない時期が続きます。
羅雲熙が再び注目を浴びたのは、古装ファンタジードラマ「香蜜沈沈燼如霜」(霜花の姫~香蜜が咲かせし愛~)です。

2018年に放送されたドラマ「香蜜沈沈燼如霜」の潤玉役で人気を博し、これ以降古装ファンタジードラマで次々とヒットを飛ばします。
なお、「香蜜沈沈燼如霜」は、主役を演じたダンルン(鄧倫)が脱税で摘発され、ダンルンの名前はクレジットから消されています。但し、配信停止にはなっておらず、いまでも視聴することが可能です。

「香蜜沈沈燼如霜」(霜花の姫~香蜜が咲かせし愛~)漫画から抜け出してきたようなビジュアルで主役を凌ぐ人気を集める。


羅雲熙「白髪王妃」(2019年)(白華の姫~失われた記憶と3つの愛~)、「月上重火~And The Winner Is Love~」など古装ドラマで実績を作り、2020年には白鹿(バイルー)との共演で現代ドラマもヒットさせます。
「半是蜜糖半是傷」(オオカミ君王とひつじ女王)。ゴージャスな設定のキラキラオフィス恋愛ドラマ。白鹿(バイルー)は女性視聴者からの支持率が非常に高い女優です。


羅雲熙は途切れることなくドラマに出演していますが、未放送の作品もあります。その一つがブロマンスドラマ「皓衣行」です。
「皓衣行」は人気耽美小説を原作とするドラマで、主役コンビは羅雲熙と陳飛宇が演じています。
2020年9月に公開された公式ポスター画像。


「皓衣行」の撮影は2020年に完了しており、長らく放送待ちの状態にあります。中国には放送ストップがかかってしまった耽美小説改編ドラマがいくつかありますが、その中でも期待度の高い作品です。
「皓衣行」が放送されれば「陳情令」に次ぐ大ヒットブロマンスドラマになるのではと言われています。
羅雲熙はもちろん、相手役の陳飛宇も人気上昇中なので「皓衣行」がお蔵入りになるのはもったいないです。
陳飛宇は映画監督チェン・カイコーの次男。母親は女優の陳紅(チェンホン)。2000年4月9日アメリカ生まれ、身長188cmのイケメン俳優。
「皓衣行」の配信権を持っているのはテンセントのはずです。他の作品との兼ね合い、社会情勢などに配慮して慎重に放送のタイミングを探っているのではと思われます。
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3月の上海ミュージカル~中国版「ドリアングレイの肖像」初演と「スリル・ミー」(危険遊戯)最終公演

2023年04月06日 | エンタメの日記
中国は2023年1月8日からコロナの扱いが日本でいう「5類」(季節性インフルエンザなどと同等の扱い)に引き下げてられており、現在コロナによる規制はほぼない状態になっています。
春に入りエンタメ、商業イベントがどんどん増えており、週末の上海は郊外や近隣都市から遊びに来る人で溢れています。また、海外アーティストの渡航も解禁され、5月頃からは海外アーティストの来中公演も再開される予定です。

3月上旬に上海大劇院でミュージカル「ドリアングレイの肖像」を観ました。「ドリアングレイの肖像」は世界中で何度も舞台化されていますが、今回上海で上演されたのは、2016年に元東方神起/JYJのキム・ジュンス主演で上演された韓国ミュージカル『ドリアン・グレイ』(韓国イ・ジナ演出)の中国版です。

ミュージカル「ドリアングレイの肖像」 2023年3月3日〜3月12日(全10公演) 上海大劇院 
演出:イ・ジナ(李智娜) 作曲:キム・ムンジョン(金紋延) 中国側監督:周可 12名で構成される生バンド演奏付き。


主演のドリアン・グレイは叶麒聖(叶麒圣)と張澤(张泽)のダブルキャストです。
叶麒聖は1990年生まれ、張澤は1994年生まれ、大舞台での実績は叶麒聖の方が豊富です。張澤は最近「カラマーゾフの兄弟」(Kミュージカルの中国版)のスメルジャコフなど当たり役に恵まれ評価が急上昇している俳優です。天性の広い音域を持ち、若手の中では歌唱力が突出しています。
主演の2人を支えるべく、相手役のキャストも充実しています。
ヘンリー:劉岩、蔡鵬
画家バジル:余笛、胡超政、胡迪
シヴィル:劉浩冉、崔恩尔 (いずれもダブル・トリプルキャスト。固定の組合せではなくシャッフル)

ドリアングレイ:叶麒聖  バジル:胡超政


ドリアングレイ:張澤  ヘンリー:劉岩


ドリアングレイを演じた叶麒聖はKPOPアイドルのようなルックスの美形です。何もせずに立っているだけで「美貌の青年・ドリアングレイ」に見えます。
一方、張澤の方は、演技と表現力によって「ドリアングレイ」という異質な美形像を作り上げており、張澤のドリアンの方が面白かったです。
身長は二人とも180cmくらいですごく細身です。張澤は特に体型管理に気を遣っているようで、アンサンブルの男性ダンサーと並ぶと異様なほど細く見えました。
叶麒聖も決して悪くないのですが、叶麒聖はもっとこの手の役柄がハマるだろうと思っていたので、期待過剰だったかもしれません。解釈と表現力で役を引き寄せた張澤の舞台の方が見応えがありました。
なお、作品として背徳的な要素は意外と薄く、問題になるようなきわいどい表現は基本的にありませんでした。
劇中で、ドリアンの恋人である女優のシヴィルが舞台で大失敗し、それを観客がこき下ろすというシーンがあります。そのときの歌詞がまさにミュージカルオタクの心境そのもので、自虐的な大爆笑が起きました。初日は特に客が妙に陽気で、本来笑うところではない箇所で笑いが起きたりして、初日なので観客が思っていることが自然と態度に出てしまっていました。

3月12日、上海で3年近くに渡って長期上演されてきたミュージカル「スリル・ミー」(中国名:危険遊戯)が最終公演を迎えました。
最終シーズンは中劇場「上海共舞台」で2023年1月18日から3月12日まで、約60公演が上演されました。
「スリル・ミー」は「彼」(リチャード)と「私」(ネイサン)の男性2人芝居です。最終シーズンは「彼」役に6名、「私」役に8名の俳優がキャスティングされ、そのうち「彼」と「私」の両役を演じる俳優が4名もいるという超変則配役でした。
60公演の中には約20通りものペアがあり、あまりにも変則的で、ぶっつけ本番でやってるんじゃないかと思うような状況でした。

「危険遊戯」最終シーズンのカウントダウンポスター。残り1公演。6名の「彼」と8名の「私」に加えて、卒業公演が延期になった王培杰×冒海飛ペアを含めた合計18人のポスター。


中国版「スリル・ミー」は最終シーズンを迎えるにあたり、また演出が変わりました。
2022年秋冬公演では、同性愛的表現、犯罪に関わる表現(特に子供を誘拐して殺しておきながら親を脅すというくだり)が規制され、歌詞や小道具、犯罪シーンの変更を余儀なくされました。
最終シーズンでは、犯罪表現は修正されたままでしたが、同性愛表現が大幅に復活し、結果的に完全な耽美ミュージカルとなりました。
原版の「スリル・ミー」からは大きく乖離し、「同性同士が恋愛のために犯罪に手を染めていく」という劇になっていました。
中国版「スリル・ミー」(危険遊戯)はとにかくリピーターの多い公演で、足掛け3年で100回以上観ている人もザラにいます。
2ヶ月に渡る最終シーズンでは、運営面でも公演面でも「なんじゃこりゃ」と思う場面も多かったのですが、感動やサプライズもあり、俳優たちはファンに暖かく見守られて「危険遊戯」を卒業していきました。

最終シーズンのチャレンジングな試みとして、4名もの俳優が「私」と「彼」の両役を演じました。
これまでずっと「彼」役を演じ、イメージ的にも「彼」の模範と認識されてきた俳優が「私」役を演じたのです。それは、上海ミュージカル界のベテランスター・劉令飛です。

劉令飛(リウ・リンフェイ) 1985年11月15日生まれ、上海出身、上海音楽学院卒業。身長は180㎝くらいだと思います。まだ37歳ですが、歴史の浅い上海ミュージカル界では最もキャリアが長い現役スター俳優の一人。現在は演出などプロデュースにも携わっています。5月には中国語版「オペラ座の怪人」(上海大劇院)でファントムを演じる予定。
劉令飛は中国俳優には珍しくアドリブが多く、独自の演出を取り入れることも多いです。

劉令飛が「私」役をやると公表されたときは、果たして観たがる人はいるのか・・・と不安視されましたが、実際に観てみたら素晴らしかったです。
さすがキャリアを積んでいるだけあり、本来合わないはずの役を演技力で自分のものにしていました。表現においても、若手俳優にはない大胆さがあります。あと、単純に歌がすごく上手いです・・・。

劉令飛の「私」(ネイサン)役(危険遊戯/スリルミー)


最終シーズンの「危険遊戯」は「耽美恋愛劇」になっていましたが、上手く演じていたペアもいます。鍾嘉城(ジョン・ジャーチェン)と夏陽(シァ・ヤン)です。
左:鍾嘉城「彼」 右:夏陽「私」


鍾嘉城:1997年生まれ、身長183cm、雲南省出身、上海戯劇学院演劇科出身。夏陽:2000年生まれ、貴州出身、大連芸術学院ミュージカル学科出身。身長は180cm弱くらいなのではと思います。
このペアはイマーシブ小劇場版「危険遊戯」で人気を集め、若手の夏陽も中劇場に抜擢されました。
夏陽は大学在学中の2020年頃から舞台に出ている俳優です。顔立ちが幼いわけではないのですが、すごく若く見える人です。
身長は180cm近くあると思いますが、体の線が細く、動く姿に若さが溢れ出ています。鍾嘉城とは年齢とビジュアルのバランスが良く、お互いが引き立つペアでした。
夏陽はキャリアが浅いので改善すべき点も多いですが、歌や芝居の素質はあり、成長が楽しみになる俳優です。夏陽が出る公演は全部通うというコアファンも結構います。
夏陽の「私」(ネイサン)卒業を祝うファン広告。地下鉄8号線「大世界」駅構内。


上海で活動しているミュージカル俳優さんたちはおしなべて背が高く美形です。
彼らはみな上海音楽学院や上海戯劇学院など難関芸術大学の音楽科、演劇科、ミュージカル学科などの出身で、これらの芸術大学の入学志願者は毎年多く、倍率が非常に高いため、一定以上の身長、頭身バランスの良さ、ルックスが備わっていないと、よほど特殊な理由がない限り書類選考で落とされてしまいます。
結果的に、すらりとしたスタイルで基本的なスキルを備えた毛並みの良さそうな俳優を多く生み出しており、破天荒なタイプはあまりいません。ある意味、宝塚に似ています。

中国のミュージカルは必ずカーテンコールがあり、カーテンコールは写真・動画の撮影が可能です。
カーテンコールの尺を長く取っている作品の場合、カーテンコールが10分以上あります。短くても2~3分はあります。
カーテンコールの間中、カシャカシャカシャカシャーーーーと、自動シャッターを切る音が劇場中に鳴り響きます。
音楽が止んでシーンとした瞬間になると、シャッターの音だけが響き渡り、恐ろしいほどです。
ファンは撮影後、画像ソフトで適度に修正し、Weiboや小紅書(RED)などのSNSにアップします。
上手く撮れている場合、俳優本人から「良く撮れているから写真を使わせてほしい」とSNS上で連絡が来ることもあるようです。

各公演の集客についてですが、公演によってばらつきが大きく、また、キャストによってもチケットの売れ行きが大きく異なります。キャスト人気に依存している側面が強いです。
また、劇場に足を運んでいるのは圧倒的にリピーターが多いです。リピーター客ほどカーテンコールと出待ちの写真撮影に傾倒していきます。
制作側は宣伝効果と集客確保のため、全般的にカーテンコールに力を入れており、本編はやや退屈なのにカーテンコールは素晴らしく豪華に作られていることもあり、「カーテンコール詐欺」だと感じることもあります。
多くの俳優が複数の演目を掛け持ちしており、全体的にキャストは過密スケジュールで、リハーサル不足を感じることも少なくありません。俳優が歌詞を間違えたり、セリフを飛ばしたり、小道具を落としたりと、小さなミスも多いです。カーテンコールに力を入れるんだったら、公演本編の完成度をもっと高めてほしいとも思います。

一方で、舞台美術や照明は先進的で、イマーシブ式の小劇場などは特に、劇場に足を踏み入れた瞬間に胸が躍るような創意あふれる空間設計がなされています。

イマーシブ式「サンタルチア」(桑塔露琪亚)韓国ミュージカル「ミオ・フェテッロ」の中国版。賭博場(カジノ)をイメージしたイマーシブ劇場。カジノ台の上で芝居が展開されます。場所:人民広場亜洲大厦の2階。


イマーシブ式ミュージカル「灯塔」(LIGHT KEEPERS/灯台)場所:人民広場亜洲大厦の2階。中国オリジナルのイマーシブ式ミュージカル。19世紀のイングランドが舞台。さびれた灯台を守る男と、海賊に憧れる孤児の少年、酒飲みの”船長”の物語。船の上に客席があり、その客席に座ると劇中で俳優とのふれあいがあります。真ん中の長身の俳優はリアリティショー「愛楽之都」に出ていた蔡淇(ツァイチー)です。蔡淇はすらりと背が高くすごくきれいな俳優です。


イマーシブ式ミュージカル「スリル・ミー」(危険遊戯) 場所:大世界4階。舞台上に大きな柱が2つある独特の舞台。2023年2月28日をもって終了。
リアリティショー「声入人心」シーズン2に出たいた毛二(マオアール)。1999年生まれ、中央戯劇学院出身。歌、演技ともに安定した実力を持つ将来有望な若手俳優。甘い顔立ちでトークも上手く明るいタイプ。


イマーシブ式ミュージカル「銀河鉄道の夜」(韓国ミュージカルの中国版)場所:人民広場亜洲大厦の5階(入口は漢口路側)。2023年5月いっぱいで終了予定。宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」をモチーフにしていますが、ジョバンニが目が見えない設定などオリジナルの要素が強いです。
リアリティショー「声入人心」シーズン1に出ていた高楊(ガオヤン)。身長185㎝、足が長くスタイルが良いです。大学生のようなソフトなイケメンで、芸能人としてはある意味珍しいタイプです。
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オーディション番組「BOYS PLANET」で健闘する”ウィエファ”と香港で銅鑼を鳴らす王一博(ワンイーボー)

2023年03月29日 | エンタメの日記
いま韓国Mnetで「BOYS PLANET」というボーイズグループ結成オーディション番組が放送されています。
「BOYS PLANET」は韓国人49名+海外出身者49名=98名の男子練習生が参加し、グループデビューできるTOP9を目指して競い合うという視聴者投票型の番組です。
海外出身練習生は、中国人19名(1名途中辞退)、日本人17名、台湾人4名、タイ人3名、ベトナム人2名、アメリカ人2名、カナダ人2名という内訳で、日本と中国が大半を占めています。
この種のオーディション番組は、すでに一定期間アイドルになるためのトレーニングを積んでいる「練習生」が参加対象となり、大半の練習生は芸能事務所に所属しています。
言い方を変えると、大小様々な芸能事務所が所属の練習生をデビューさせるためにオーディション番組に送り込んでいます。
BOYS PLANETに8名もの練習生を送り込み、存在感を示している事務所が”ウィエファ”です。
”ウィエファ”は中国企業を親会社とする韓国芸能事務所です。2009年に中国北京で設立された芸能事務所で、2014年に韓国進出しソウルに子会社を設立しました。これがいわゆる”ウィエファ”です。
BOYS PLANETに参加しているウィエファの8名の練習生は韓国人4名、外国人4名(中国人3名、カナダ籍華人1名)で、全員高身長でルックスレベルが高く、実力もあり8人揃って一次サバイバルを突破しました。
さらにデビュー圏内である9位内をキープしている練習生が3名もおり、この勢いが続けばデビューメンバー9名のうち3名がウィエファ所属ということになり、BOYS PLANETでウィエファは大健闘しているといえます。

中国親会社楽華娯楽(乐华娱乐)の公式Weibo、8名の練習生の二次サバイバル突破のための投票呼びかけ。


写真左側 韓国人練習生:
YOO SEUNG EON(劉昇彦)2004年1月2日生まれ。2次サバイバル突破。
KIM GYU VIN(キム・ギュビン/金奎彬)2004年8月30日生まれ 二次サバイバルでの順位は6位。
JI YUN SEO(池潤瑞)2004年10月15日生まれ。41位で敗退。
HAN YU JIN(ハン・ユジン/韓維辰) 2007年3月20日生まれ 二次サバイバルでの順位は3位。

写真右側 中国人練習生:
章昊(ジャンハオ/ZHANG HAO)2000年7月25日生まれ 福建省出身。二次サバイバルでの順位は2位、海外練習生のセンター。大学受験の際は中国地質大学という理系の国立難関大学に合格していたが、音楽の道をこころざし、翌年再受験し福建師範大学音楽学科に進学。バイオリンが得意。
何廷威(ブライアン/BRIAN)2002年8月27日生まれ 中国系カナダ人。37位で敗退。
沈泉鋭(リッキー/RICKY)2004年5月20日生まれ 上海出身。金髪が似合う派手な顔立ち。ハーフっぽく見えますが上海人。身長183cm。
劉天躍(オリー/OLLIE)2006年4月1日 北京出身。米中ハーフで中国語ネイティブで英語も流暢。高級マンションに住んでいる。

”ウィエファ”は韓国語(위에화)の発音をカタカナ化したものですが、本来の中国語名は”楽華娯楽”、英語名は”Yuehua Entertainment”です。中国名”楽華”をカタカナ読みすると”ユエホア”になります。
現在韓国ウィエファの運営は中国親会社からは独立しており、ウィエファは韓国芸能界での経験がある韓国人プロデューサーにより運営されていると言われています。BOYS PLANETに参加している8名の練習生は「韓国ウィエファの練習生」として参加しています。

中国の芸能事務所”楽華娯楽”が韓国に進出し、韓国子会社(ウィエファ)を設立したのは2014年です。この頃はまだ、中国と韓国の芸能交流が非常に盛んでした。中国芸能事務所として初めて韓国に進出した”楽華”は2014年に5人組の中韓混合ボーイズグループ「UNIQ」をデビューさせます。
「UNIQ」が韓国で活動した期間は短く、大きな成功を収めたとはいえないのですが、このグループの最年少(マンネ)だった中国人メンバーが帰国後大成功しました。王一博(ワンイーボー)です。


写真右から2番目が王一博(ワンイーボー)。1997年8月5日生まれ、河南省洛陽出身。身長180cm。歌手、俳優、バイクレーサー。UNIQでの役割はダンサーで、ダンスが非常に上手いです。UNIQのグループデビュー日が2014年9月15日なので、17歳でデビューしたことになります。

”楽華娯楽”(ウィエファ)はUNIQをデビューさせたものの、2016年以降は中韓関係の緊張化により両国を跨いでの活動が思うように進まず、中国人メンバーを中国活動にシフトさせました。特に王一博の活躍は目覚ましく、バラエティ、ドラマと精力的に活動し、2019年に放送されたブロマンスドラマ「陳情令」の大ヒットにより熱狂的なファンを持つ人気タレントの一人となりました。

つい先日、“楽華娯楽”は香港証券取引市場での上場に成功しました。
上場にあたり目論見書が公開され、事務所の売上や収益、株主構成などが明らかにされました。開示資料の読解によると、王一博は“楽華娯楽”の売上の6割近くを担っており、2022年に王一博が事務所にもたらした収入は3億元(現在のレートでいうと約57億円)にも上ると言われています。

2023年1月19日に香港証券取引所に上場。王一博(ワンイーボー)は上場セレモニーで杜華社長、大先輩・ハンギョン(韓庚/元SuperJunior中国人メンバー)らとともに銅鑼を鳴らしました。NY市場で上場するときのセレモニーでは鐘を鳴らしますが、香港証券取引所では銅鑼を鳴らします。


楽華娯楽創設者の杜華(ドゥーホア/Kiki Du)は1981年生まれ。28歳で楽華娯楽を設立。中国芸能ビジネスで最も成功した女性企業家の一人。
杜華社長の隣に立つのはハンギョン(韓庚)。元SuperJuniorのメンバー。2009年にSuperJuniorを脱退し中国に帰国してからハンギョンは一貫して楽華に所属しています。ハンギョンは楽華の株主でもあります。

王一博の隣にいる女性タレントは呉宣儀(ウー・シュエンイー)。韓国では「宇宙少女」のメンバー・ソニとして活動していました。
その隣が、黄明昊(ジャスティン)。Wanna Oneを生んだ「PRODUCE101 シーズン2」に参加。その後中国オーディション番組「偶像練習生」に参加し「NINE PERCENT」としてグループデビュー。
ジャスティンの隣にいるのが古装ドラマにも出演している長身の美形・畢雯珺(ビーウェンジュン)。

BOYS PLANETに参加しているウィエファ所属の練習生ジャン・ハオ(章昊)は海外練習生のセンターを務め、2次サバイバルでは2位につけています。
もしジャン・ハオのグループデビューが決まれば、グループ活動期間中はKPOPアイドルとして活動するはずです。
しかし、親会社である楽華娯楽は中国芸能界では大手の有力事務所なので、中国に活動をスライドさせたいときがくれば、比較的スムーズに活動を移行させていくと思われます。
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ビッグデータによる2022年中国ドラマ10選~「年代ドラマ」(年代劇)の当たり年

2023年03月17日 | エンタメの日記
中国ドラマはほぼすべての作品が配信プラットフォーム上で放送されるため、視聴数、ドラマに対するコメント数、弾幕数など「人気」をはかるデータがリアルタイムで蓄積されます。ドラマの宣伝ももっぱらSNS媒体で行われており、伝統的な紙メディア(雑誌、新聞)はほぼ絶滅しており、ドラマの評判やランキングはビッグデータに依存しています。
最近某ITプラットフォームが「2022年ネットで話題の中国ドラマ一覧」として上位10作品を公表しました。これはバイトダンス系のスマホアプリなどのビッグデータから統計分析されたものですが、実態がかなり的確に反映されているのではと思います。

1位から10位までの作品は以下のとおりです。

1位「星漢燦爛・月昇滄海」全56話(27話+29話)呉磊(ウーレイ)×趙思璐(チャオ・スールー )の若手人気コンビの古装ホームドラマ。
2位「夢華録」全40話 劉亦菲(リウ・イーフェイ)主演の南宋を舞台とした女性主体の美しい古装ドラマ。
3位「蒼蘭訣」全36話 王鶴棣、虞書欣主演のファンタジードラマ。張凌赫も大人気に。
4位「開端」全15話 白敬亭、趙今麦主演。路線バスの爆発を止めるべく、タイムループしながら主人公2人が事件の謎を追う。
5位「人世間」全58話 中国の北部に暮らす周家の三兄妹を中心に、50年の家族の歴史を描いたドラマ。
6位「幸福到万家」全40話 嫁ぎ先の農村で町を変えていく女性の成長ドラマ。趙麗穎(チャオ・リーイン)主演。
7位「沉香如屑」全59話(実際には「沈香如屑・沈香重華」の二部作)楊紫(ヤンズー)と成毅(チェンイー)主演。シリアス系の美しいファンタジー古装ドラマ。
8位 「風吹半夏」全36話 趙麗穎(チャオ・リーイン)主演。90年代の中国、鉄鋼ビジネスで成功する3人の主人公のドラマ。
9位 「心居」全35話 上海を舞台とする家庭ドラマ。微妙な地域格差・差別がリアルに描かれており物議をかもす。
10位 「県委大院」全24話 「琅琊榜」の胡歌が県長(ほぼ町長に該当)に扮する。ややプロパガンダ色がある。


上位3位をコスチュームドラマ(古装劇)が占めています。中国ドラマといばコスチュームドラマといってもいいほど人気が高く作品数も多いジャンルです。
このランキングでは「星漢燦爛・月昇滄海」が1位になっていますが、自分の感覚からいうと2022年に一番話題になったドラマは「蒼蘭訣」だと思います。
「星漢燦爛・月昇滄海」は「星漢燦爛」と「月昇滄海」の上下二部作で、話数も他の作品よりも多くリリース期間も長いので、ビッグデータからの演算すると順位が高く出たのだと思います。とはいえ、「星漢燦爛・月昇滄海」は「蒼蘭訣」「夢華録」と並んで2022年のコスチュームドラマTOP3に入ることは間違いない作品です。

「星漢燦爛・月昇滄海」
呉磊(ウーレイ)×趙思璐(チャオ・スールー )主演コンビのコスチュームドラマ。
豪華な舞台セットや衣装が美しい壮麗なコスチュームドラマですが、ホームドラマの要素が強いのが特徴で、ヒロインと母親の確執・葛藤など家族関係に重心がおかれています。台湾でも大ヒットしたことも話題を呼びました。


呉磊(ウーレイ):「琅琊榜」(ろうやほう)で飛流役を演じて一躍有名に。10代の頃から美貌と演技力で注目されていましたが、成長して182㎝まで身長が伸び、主役級の人気美形俳優としてドラマや映画で活躍しています。1999年12月26日生まれ。

赵璐思(チャオ・スールー ):1998年11月9日生まれ、身長161cm。いますごく人気のある若手女優です。2020年から2022年にかけて主演作品が次々と放送され、急成長している女優です。意思の強いはっきりしたキャラクターを演じるのが上手く、愛嬌があるのにきりっとしたルックスで女性からの支持が厚いです。

2位「夢華録」(むかろく)過去記事を参照ください。

3位「蒼蘭訣」このランキングでは3位ですが、自分の感覚では2022年一番話題になったドラマだと思います。過去記事をどうぞ

4位「開端」(リセット) 過去記事をどうぞ
「開端」は走行中に爆発する路線バスに乗り合わせた主人公二人が、爆発を阻止するためにタイムループを繰り返すという超常現象ミステリーです。
「開端」が放送されていた頃、中国では苛酷なゼロコロナ政策が実施されており、大小様々な規模の居住区封鎖(ロックダウン)が行われていました。居住区封鎖は所定期間が過ぎても陽性者が見つかれば封鎖日数がリセットされるので、まさにドラマ「開端」のごとく無限ループ状態でした。自身の境遇を「開端」の無限ループにたとえて語ることが多かったので、そんな呟きもビッグデータに反映されているのだと思います。

5位「人世間」、6位「幸福到万家」、8位「風吹半夏」
この3作品は「年代ドラマ」(年代劇)といわれるジャンルの作品です。2022年は「年代ドラマ」の当たり年でした。
「年代ドラマ」(年代劇)の定義はやや曖昧ですが、主に90年代、2000年代など「ひと昔前」の時代を舞台とした写実的なドラマです。
中国はこの20年間で経済が飛躍的に発展し、社会が激変しました。「ひと昔前」の素朴で不便で不条理な激動の中国社会はドラマの素材として魅力的で、人々も「ひと昔前」の中国を懐かしむ風潮があります。
「年代ドラマ」は社会背景との結びつきが強く、微妙な時代背景、地域格差などが分からないと理解しにくい部分があるので、海外ではあまり紹介されないジャンルかもしれません。
「年代ドラマ」は莫大な制作費をかけた壮大なスケールの作品が多く、コスチュームドラマと並ぶ中国独特のドラマジャンルです。

「人世間」 英語タイトルは「A Lifelong Journey」。50年に渡る中国庶民の生活史を描いた壮大なドラマ。




「幸福到万家」 趙麗穎(チャオ・リーイン)主演。農村に嫁いだヒロインが封建的な田舎社会でビジネスを起こし、町の経済とともに人々も成長していく。ありふれた農村を舞台に女性が自分の意思をもって生きる姿を描く啓発的なドラマ。




「風吹半夏」 物語は1996年から始まり、鉄鋼業を背景とするビジネスサクセスストーリー。主人公3人は裸一貫で屑鉄業を始め、大手製鉄会社を相手に取引するまでに成長していく。


このドラマも趙麗穎(チャオ・リーイン)主演。中国90年代のファッションを忠実に再現しています。


趙麗穎(チャオ・リーイン) 1987年10月16日生まれ 身長165cm
2006年オーディション番組参加をきっかけに芸能界入り。多くのドラマに出演していますが、2015年に放送された『花千骨』(はなせんこつ)で大ブレイク。『楚喬伝』(そきょうでん)など多数のドラマで主演。2018年に人気俳優馮紹峰(ウィリアム・フォン)と電撃結婚。子どもを1人出産した後、2021年に離婚。円満離婚と言われており、芸能活動に影響することなく2022年は主演ドラマ2作が大ヒット。現在35歳。

今日ちょうど、中国大手SNS「Weibo」(微博/ウェイボー)が「2022年版Weiboエンタメ白書」を発表しました。
「2022年版Weiboエンタメ白書」は映画、ドラマ、バラエティ、アイドルなどエンタメ全体の流行を分析・統計したものです。ドラマは「影響力のあるドラマTOP20」として20作品がランキングされました。
Weiboというプラットフォームは、ファンが人海戦術で応援活動を行う場でもあるため、アイドル的な人気のある俳優が出演している作品が上位になりやすい傾向があります。
「2022年版Weiboエンタメ白書・影響力のあるドラマTOP20」(2023年3月17日公布)
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コロナの日々を駆け抜けた上海ミュージカル

2023年02月18日 | エンタメの日記
2020年初頭、中国武漢から始まったコロナウイルス感染症。当初中国でもあらゆるエンタメが規制されましたが、上海で一番最初に公演を再開させたのがミュージカルでした。そして、現在に至るまでの3年間、一番しぶとく公演を続けてきたのもミュージカルでした。
2022年に至っては、映画館すらろくに営業できなかった時期でも、上海ではミュージカルが毎日上演されていました
上海で上演されているミュージカルは韓国小劇場向けミュージカル(Kミュージカル)を中国語化した作品が多く、一般の演劇と比べると少人数の出演者で構成される演目が多いです。2人または3人芝居、もしくは出演者6~8名という舞台が多く、小回りがききやすかったのかもしれません。また、劇場が集中する上海市黄浦区の方針で、できるだけ劇場を開けさせていたことも関係があると思います。

3年間続いた中国のゼロコロナ政策は2022年12月上旬に大転換を迎えました。
上海では2022年12月9日(水)にゼロコロナ政策が終了し、日常生活の中でPCR陰性証明を提示する必要がなくなりました。それまでは、地下鉄乗車時は72時間以内のPCR陰性証明、劇場やデパートに入るときは48時間以内の陰性証明が必要だったので、多くの人が3日に1回はPCRを受けていました(PCRは無料でした)。ところが、ゼロコロナをやめた途端、あっという間に感染爆発してしまい、僅か3週間余りで全人口の約8割が感染してしまいました。いわゆる無症状者はほとんどおらず、程度の差はあれど、発熱+咳という症状を伴いました。上海では2022年4月~6月のロックダウン期間に政府が抗原検査キットを箱単位で無償配布していたため、大半の人が検査キットをストックしており、自宅で検査できる人が多かったです。

上海で活動しているミュージカル俳優もほぼ全員コロナに感染しました。
12月11日、12日あたりから俳優の体調不良で中止またはキャスト変更する公演が出てきました。
もうしばらくすると、キャスト変更しようにも対応しきれず、スタッフの確保も難しくなり、ほとんどの公演が中止になりました。

中国ドラマ『ロング・ナイト 沈黙的真相』のミュージカルが2022年12月8日~2023年1月2日という公演日程で上演されていましたが、後半はほぼ公演中止となりました。
ミュージカル『沈黙の真相』(再演) 上演期間:2022年12月8日~2023年1月2日 場所:上海人民大舞台
中国ドラマ『ロング・ナイト 沈黙的真相』のミュージカル版。原作小説に沿っているため、ドラマ版とは異なる部分がかなりあります。


主演(検察官 江陽役):叶麒聖(叶麒圣)(イエ・チーシュン)1990年4月17日生まれ 四川省出身 上海視覚芸術学院卒業 声楽バラティ「愛楽之都」で"最強キャスト”(優勝者)に選ばれる。主役クラスのミュージカル俳優として活躍中。




叶麒聖は痩せてさらにスタイルの良さが際立つ身長180cmの美形俳優です。12月17日も主役として舞台を務め上げました。主役クラスのミュージカル俳優で、この時点でまだコロナに罹っていないのは奇跡的だと言われていました。
『沈黙の真相』はほとんどの役が元々トリプルキャストだったので、キャスト変更で何とか上演にこぎつけていましたが、18日(日)からはどうにもできなくなり、当日になって中止を発表する事態に至りました。12月18日から12月30日までは休演となり、12月31日から公演再開しました。

キャスト変更が発生するとチケット払い戻しの対象になるので、行きたくなければ「キャス変」に乗じて払い戻しを申請することも可能です。ですが、叶麒聖が主役の日だったためか、17日の公演は思った以上に席が埋まっており、8割方入っていました。観客はまだ感染していないか、病み上がりだけど無理して来ているかのどちらかで、多くの観客が咳をこらえながら観ていました。

ミュージカル『陰天』(阴天)再演版 上演期間:2022年12月16日~2023年1月15日 場所:上海共舞台
男性キャスト2人+女性キャスト1人の3人芝居、韓国ミュージカル『死の賛美』(Gloomy Day)の中国語版。


1926年に起きた、日本統治時代の朝鮮の詩人・金祐鎮(キム・ウジン)と歌手・尹心悳(ユン・シムドク)が連絡船「徳寿丸」から投身自殺したという実際の事件をもとにした韓国ミュージカル「死の賛美」(Gloomy Day)の中国語版です。
美しい楽曲や繊細な人物描写はKミュージカルならではの魅力がありますが、この作品を敢えて中国でやる意味があったのかは疑問です。物語は釜山ー下関の連絡船や東京で展開されるため、日本語の台詞が出てきます。キャスト3人は東京で出会い、最初は日本語で会話をしているけれど、そのうち互いが朝鮮人だと気づくというシーンがあります。「あら、あなたも朝鮮語を話せるのね」と言いながら中国語をしゃべりだすので違和感がありました。

『陰天』(Gloomy Day)は初日の2022年12月16日から28日まで出演者の体調不良により休演。12月29日から公演を再開。
再開から2日目である12月30日(金)の公演を観ました。(金祐鎮:叶麒聖、尹心悳:張会芳、謎の男:鐘嘉城)
鐘嘉城はコロナからいち早く回復し舞台に戻ってきた働きものと言われていました。コロナは咳が長引くので、ミュージカル俳優にとっては大変なダメージになるはずです。ですが、舞台上のパフォーマンスを見る限り、歌に目立った影響が出ているようには感じられませんでした。
『陰天』よりも早く再開した作品では、コロナ復帰直後の俳優に合わせて、曲のキーを下げたこともあったそうです。


1月に入ると俳優もスタッフも観客も続々とコロナから回復し、ほとんどのミュージカル俳優が舞台に復帰しました。

ミュージカル『カラマーゾフの兄弟』(卡拉马佐夫兄弟)(第2クール)上演期間:2022年12月21日から2023年1月2日 場所:上海大劇院中劇場
韓国ミュージカル『ブラザーズ・カラマーゾフ』の中国語版。演出:オ・セヒョク、作曲:イ・ジヌク。
日程的にコロナ感染ピークと重なり、前半はほとんど休演になりました。
この作品は上海ミュージカル屈指のキャストが集結と言われており、すごくチケットが取りにくかったのですが、コロナの影響でリセールや追加公演が発生したため、人気の組み合せで観ることができました。


父ヒョードル+兄弟4人という男性キャスト5名のみで構成されるKミュージカルです。ロシア文学「カラマーゾフの兄弟」がベースになっていますが、「父親を殺したのは誰なのか」を兄弟同士または自分自身に問い詰めていくお芝居で、中国版は次男・イワンが物語の軸になっています。上海にすごく適している作品だと思います。

スメルジャコフを演じた張澤(张泽)の歌と演技が素晴らしく、絶賛されました。癲癇の発作の身体表現、仰向けの姿勢でもまったく乱れない高い歌唱力、紅いバラと血がよく似合う美しいビジュアルが圧巻でした。
張澤(张泽)(ジャン・ズー)1994年5月30日生まれ 河南省鄭州出身 上海戯劇学院卒業 身長180cm
常にたくさんのミュージカルに主役クラスで出演しています。歌唱力は若手の中でずば抜けていると思います。演技は役柄や相手役によって振れ幅があるかもしれませんが、スメルジャコフは張澤の実力を存分に発揮できるはまり役でした。3月には中国ドラマ『猟罪図鑑』ミュージカル版の主役を演じます。


ミュージカル「カラマーゾフの兄弟」は再演の可能性がありますが、中国ミュージカルとしてはきわどい表現が多いので、今後の再演では演出が変わってしまうかもしれません。
次男イワン役・劉令飛(リウ・リンフェイ)。1985年11月15日生まれ、上海音楽学院ミュージカル学科卒業。上海ミュージカル界のベテランスター俳優。キャリアが長く男性のミュージカルファンからも支持されています。中国のミュージカル俳優には珍しく、アドリブ、アレンジを果敢に取り入れる俳優と言われています。歌詞を変える(間違える?)ことも多いです。


三男で神父のアリョーシャ役・鐘嘉城(ジョン・ジャーチェン)。1997年7月20日生まれ 上海戯劇学院演劇科卒業  身長183cm 長身で細身の美形俳優。神父の衣装がよく似合います。涙を流す演技が美しいと評判。鐘嘉城は常にたくさんの作品を掛け持ちしています。


『カラマーゾフの兄弟』は全役ダブルまたはトリプルキャストです。コロナの関係でリセール、追加公演が出たため、人気の組合せを観ることができました。 
2023年1月3日公演。フョードル:瞿松 ドミートリイ:王瀚宇 イワン:劉令飛 アリョーシャ:鐘嘉城 スメルジャコフ:張澤


2023年1月6日公演(12月の公演がほぼ中止になったので、急遽追加された3公演のうちの一つ)
フョードル:付翔 ドミートリイ:王瀚宇 イワン:鍾舜傲 アリョーシャ:楊皓晨 スメルジャコフ:張澤
劉令飛と鍾舜傲でイワン役の解釈がかなり異なります。それぞれの魅力がある舞台でした。


1月3日と6日に公演を観ましたが、観客がしょっちゅう咳をしていました。咳をする客は一人や二人ではなく、常に誰かが咳をしている状態でした。
1月に入った時点で上海市民の約8割が感染済みでした。上海で流行していたコロナウイルスはオミクロンBA.5.2系統株と言われており、抗原検査では陰性になった後も、1~2週間くらい咳が続きました。経験上、咳が出るのは熱が下がってからと認識されていたので、咳をしているということは、むしろ陰性になっていることの表れでもあったので、映画館や地下鉄の中で人々は気兼ねなく咳をしていました。その習慣が劇場の中にも持ち込まれており、観客は遠慮を忘れて咳をしており、ひどい観劇環境でした。しかも観客も病み上がりで集中力が落ちているのか、観劇中にスマホを落とす人がやたら多く、1曲あたり平均1人がスマホをぼとりと床に落としていました。舞台に立つ俳優さんたちも大変でしたが、客も普通ではない状態で観劇していました。 

ミュージカル俳優に「後遺症」はあるのか

ほとんどの上海ミュージカル俳優がコロナ(オミクロン)に感染しましたが、基本的には2週間程度でみんな復帰したと思います。
舞台に立っている姿を見る限り、歌やダンス、芝居に支障が出ているようには見えませんでした。 
むしろ、コロナになったばかりなのに、こんなに歌えるのかと驚きました。
上海のミュージカルはほとんどの公演でいわゆる「出待ち」が可能です。「出待ち」では俳優とファンとの軽い交流が行われています。作品によっては劇場の入口のすぐそばで「出待ち」が行われており、通りすがりでも「出待ち」を目にすることがあります。
1月中旬に「出待ち」で俳優がファンとしゃべっているところを見かけました。そのとき、俳優は辛そうにゴホゴホと咳をしていました。
1月にもなれば、さすがに俳優が舞台の上で咳をすることはなくなりましたが、舞台の上では我慢しているだけで、普段はかなり咳が出る状態で公演をこなしているのだと思いました。
「大世界」4階にあるイマーシブ式劇場の前で行われている「出待ち」(SD、ステージドア)。写真を撮ったりチケットにサインをしてもらったりしています。


コロナを跨いだ中国版「スリルミー」(「危険遊戯」)

上海ではミュージカル「スリルミー」が一年を通じて常駐上演されていましたが、2023年3月をもって終了する予定です。
2023年2月現在「スリルミー 箱閉め最終クール」の公演が行われています。上演期間:2023年1月18日~3月12日 会場:上海共舞台


コロナ感染ピークが来る直前、昨年12月11日に「スリルミー」を観ました。日曜日の昼公演で、前クールの楽日でした。
前クールの大千秋楽は本来、初演から「私」と「彼」のペアを組んできたベテランペアの卒業公演になるはずでした。しかし、このベテランペアの一人が体調不良となり、12月11日夜公演に予定されていた大千秋楽は急遽延期となりました。結果的に、昼公演が千秋楽となり、舞台挨拶や特別カーテンコールがありました。

2022年12月11日(日)昼公演終了後の「出待ち」。


舞台挨拶で「私」役の俳優が「大千秋楽が延期になってしまって残念だけど、「彼」の体調が早く回復しますように」と語っていました。
そう語っている俳優自身もコンディションが良くないことが観客にも分かりました。
この時点で、多分コロナに感染していたのです。統計データから逆算すると、このとき劇場に来ていた観客の2、3割もコロナにすでに感染しており、陽性反応が出る前の状態だったと思われます。
中国は厳格なゼロコロナ政策を続けていたため無菌状態にあり、人々はある意味コロナの症状に対して無知でした。
そのため、症状があってもコロナに罹っているという発想に至らず、普通の風邪、喉の不調だと思っていました。無菌状態であり、中国製不活化ワクチンの効果は限定的で、かつ症状に対する警戒心も薄いという無防備な状態が、感染大爆発を引き起こしたのだと思います。

1月13日から上海共舞台では再び「スリルミー」が始まり、千秋楽で体調を崩していたペアも舞台に帰ってきました。
俳優もスタッフも観客もコロナに感染しましたが、みんな劇場に戻ってきました。そして今日もまた、上海では沢山のミュージカルが上演されています。
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大ヒットSF小説『三体』ドラマ版(中国版)放送開始〜原作ファンに絶賛される”中国初のSFドラマ”

2023年01月21日 | エンタメの日記
中国で絶大な人気を誇るSF小説『三体』のテレビドラマの放送が始まりました。『三体』は劉慈欣作のSF小説で、世界20カ国以上で翻訳され、日本でも2019年に英語版をもとに翻訳出版されています。
小説『三体』の第一部が中国で出版されたのは2008年、2011年には三部作が出揃っていました。これまでにも、この人気作の映像化が企画されたことはあり、2015年には中国で映画版の撮影が進められていました。しかし、制作会社の事情で公開に至ることなく頓挫しています。
今回中国で放送が始まったのは中国制作版のドラマ『三体』です。Netflixが曾国祥(デレク・ツァン)監督、「ゲーム・オブ・スローンズ」の制作陣を起用して2023年にドラマ『三体』を制作すると発表していますが、Netflix版とはまったく別の作品です。

中国ドラマ『三体』(THREE BODY) 全30話、1話約45分 放送開始日:2023年1月15日 
放送媒体:CCTV-8(中央電視台第8チャンネル) ネット配信:テンセントビデオ/MIGU
監督:楊磊(ヤン・レイ)1979年生まれのドラマ監督
出演:張魯一、于和偉、陳瑾、王子文、李小冉、林永健など


ドラマ『三体』は中国の年末(旧正月前)にあたる1月15日に放送が始まるやいなや、各方面から絶賛されています。特に原作小説ファンから「原作を忠実に再現している」「小説を読みながら想像していたとおり」などと高く支持されています。
SF小説が本格的にドラマ化されたのは中国では初めかもしれませんが、ファンの期待をまったく裏切らないハイクオリティなSFドラマに仕上がっています。演技派として知られるベテラン俳優がキャスティングされており、原作のイメージを損ねることのない知的な演技を披露しています。

主役の物理学者汪淼(ワンミャオ):張魯一。1980年生まれ。中国映画版『容疑者xの献身』(2017年公開)で数学教師・石神に相当する役(石泓)を演じています。


刑事史強(シーチャン):于和偉。1971年生まれ。ベテラン人気俳優。最近はドラマ『覚醒年代』、チャン・イーモウ監督映画『崖上のスパイ』などに出演。


冒頭は難解で平坦なシーンが続きますが、5話くらいから史強(シーチャン)の人間的魅力が鮮明になり、汪淼(ワンミャオ)との掛け合いも増えてドラマとして面白くなってきます。


申玉菲(シェン・ユーフェイ):李小冉。1976年生まれ。クールな美貌にすらりとしたスタイルの有名な女優。 申玉菲としては美人すぎるのではという声もあり。


葉文潔(イエ・ウエンジエ):老年期:陳瑾 青年期:王子文


原作小説どおり冒頭部分はすべてが伏線なので、物語があまり進みません。テレビドラマとして視聴するには、最初の5話くらいは苦痛に感じるかもしれません。
VRゲーム「三体」が出てくるのは7話からです。VRゲームが出てくるあたりから面白くなります。




撮影場所は寧波(ニンポー)をベースに、北京の天文台や山岳地帯を組み合わせ、贅沢な屋外ロケが行われています。
劇中で使用されている携帯電話や電子機器は2007年当時のものをリアルに再現し、音楽、特殊効果のクオリティも高く、全体として非常にレベルの高いドラマです。

日本語版小説『三体』は英語版をもとに翻訳されており、中国語版『三体』とは物語の進み方の順序が若干異なります。
一つの相違として、中国版小説は文化大革命時代のシーンからは始まりません。中国版ドラマは中国で出版された小説に則って映像化されているので、文革のくだり(葉文潔の過去として描かれる)が出てくるのは4話です。また、「紅岸基地」が本格的に描かれるのは10話からになります。
巨額の制作費を投じて作られたドラマなので、万が一にも当局から放送停止を命じられるようなことはあってはなりません。
そのため、文革に関わる部分は慎重に表現されており、カットされた場面ももちろんありますが、核心的なセリフは残されていると言われています。
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中国のぬい文化「rua娃」~『蒼蘭訣』など人気ドラマと独走状態の「時代少年団」

2023年01月14日 | エンタメの日記
ここ数年、中国でもキャラクターコットンドールが流行っています。コットンドールは通常20cmほどのサイズで柔らかい綿素材でできており、着せ替えが可能です。中国語では「綿花娃娃」「rua娃」などと呼ばれています。
日本でもぬいぐるみ「ぬい文化」は盛んで、キャラクターグッズとして多種多様なものがありますが、中国で流行っているコットンドールは顔のパーツが中心に集まっており、幼くデフォルメされたあどけない表情が特徴です。韓国でKPOPアイドルのグッズとして普及しているコットンドールから派生したものと思われます。
人形の原型となるのは、アイドル、俳優(本人)、ドラマの中の役柄などです。最近では、ファンタジードラマ『蒼蘭訣』(苍兰诀)の主役カップル東方青蒼と小蘭花の人形が売れています。
2022年の大ヒット中国ドラマ『蒼蘭訣』(苍兰诀)の主人公カップル東方青蒼と小蘭花。値段は人形本体が99元、服が89元、合計188元(約3500円)。


『蒼蘭訣』(苍兰诀)2022年8月にiQiyiで配信され大ヒット。


『蒼蘭訣』はCGをふんだんに使った美しい映像の異種族ファンタジードラマです。主役二人がキスをすると魂が入れ替わるという「入れ替わりものコメディ」の要素もありつつ、転生、種族の命運などシリアスな展開がクロスするよくできたドラマです。
東方青蒼を演じた王鶴棣(ワン・ホーディー)は中国版「流星花園(花より男子)」2018年版で道明寺司役を演じて芸能界デビューした長身のイケメン俳優です。『蒼蘭訣』に出てものすごく人気が出ました。2022年中国で最も売れた俳優の一人です。
小蘭花を演じた女優虞書欣(ユー・シューシン)は中国版PRODUCE101「青春有你2」(2020年版)で最終2位で「THE9」の一員としてグループデビューしています。舌足らずの甘ったるい話し方をすることで有名な虞書欣が『蒼蘭訣』では吹替えではなく、地声で演じています。王鶴棣、張凌赫などこのドラマの出演者の多くが吹替えなので、虞書欣が地声で演じたことはかなり注目を集めました。

コットンドールは種類が豊富で、アイドル的な人気のある俳優がドラマで演じた役柄の人形もよく作られています。
ドラマ『猟罪図鑑~見えない肖像画』で檀健次が演じた天才画家・沈翊(シェンイー)と金世佳が演じた警官・杜城のドール(二段目)。


沈翊のドールの服装は、警察学校の教室で沈翊が講義をしているとき等に着ている青いセーター。通勤時に愛用している斜め掛けのカバンがついています。


上段のドールは、ドラマ『開端』(リセット)で白敬亭と趙今麦が演じた路線バスでタイムループを繰り返す主人公コンビのドールです。

現在、中国本土ボーイズアイドルの主力は「TFBOYS」の弟分「時代少年団」(TNT)です。
中国では2020年5月から視聴者投票型のアイドルオーディション番組が当局により規制されたため、新しいアイドルグループは非常に生まれにくくなっています。
「時代少年団」が所属する事務所「時代峰峻」(TFエンターテインメント)は10年程前からジャニーズ事務所に近いシステムでアイドルを育成しており、「時代少年団」のメンバーは10代前半から「TF家族」としてジャニーズJrのような位置づけでレッスンを積んでいました。他に目立ったグループがいないので、現在では「時代少年団」の一強状態にあります。

「時代少年代」は馬嘉祺、丁程鑫、宋亜軒、劉耀文、張真源、厳浩翔、賀峻霖の7人グループ。最年長の馬嘉祺が2002年生まれ、最年少の賀峻霖が2004年生まれ、2019年にデビューした時点では全員が18歳以下でした。






バラエティやドラマなどの活動が多く、番組で楽曲のパフォーマンスをすることもありますが、単独でのコンサートを行うことはとても少ないです。
18歳以下でデビューした7人ですが、意外にも全員身長が伸びており、プロフィールによると7人中4人が身長180cm以上、他の3人も176cmを超えています。
2019年11月にデビューした時点では、メンバー全員が現役高校生でした。中国ではアイドルに対しても世論やファンが学歴を要求するため、メンバーが大学受験をする年齢になると強いプレッシャーにさらされます。最年長メンバーの馬嘉祺が共通試験の一般科目の点数が足りず大学受験に失敗したときは世論を巻き込んで大騒ぎになりました。1年後再試験に挑み、無事に名門・中央戯劇学院に入学しています。
中国ではアイドルであっても一般受験者と同じ共通試験を受け、国語、英語、数学+理系科目または文系科目の4教科を受験し、足切りに合わないだけの点数を取らなければなりません。
現時点ではバラエティでの露出の多い宋亜軒、丁程鑫、馬嘉祺が人気ですが、メンバー全員が大学に入学すれば活動の幅が広がると思われます。

「時代少年団」のアイドルグッズ。


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台湾ドラマ『時をかける愛』(原題『想見你』)映画版の公開

2022年12月30日 | エンタメの日記
台湾ドラマ『時をかける愛』(原題『想見你』)の映画版が12月24日に中国で公開されました。ドラマ本編は2019年11月に台湾で放送され、中華圏全域で大ヒットしました。ドラマ終了後に映画版の制作が決まり、2021年11月には映画の撮影は終了していましたが、長い間劇場公開日決まらず、2022年12月24日になってやっと公開されました。

映画『想見你』(Someday or One Day /『時をかける愛』)時間:107分  制作:三鳳有限公司
中国大陸公開日:2022年12月24日 台湾公開日:2022年12月30日  監督:黄天仁 監修:林孝謙
主演:柯佳嬿(アリス・クー)、許光漢(グレッグ・ハン)、施柏宇(パトリック・シー)、金世佳(中国の俳優、映画版のみ出演。「河神2」「猟罪図鑑」などに出ている俳優です)


ドラマ版の主要キャスト3名が映画版でも続投し、ドラマとは異なる時間軸の物語が描かれています。
映画版では2017年と2014年の二つの時空を、柯佳嬿(アリス・クー)が演じる黄雨萱、陳韻如、許光漢(グレッグ・ハン)が演じる李子維、王詮勝の4人がタイムスリップします。
ドラマと同様にタイムスリップの設定が非常に複雑で、どうやってエンディングの時間軸に行き着いたのか頭を悩まされます。
ドラマでは、1998年の台南の田園地帯を舞台にしたレトロでノスタルジックな映像が魅力でしたが、映画版では2014年、2017年の台北と上海が舞台なので、現代の風景とさほど変わりません。ドラマでは懐かしさを感じさせる淡い色彩の映像が特徴的でしたが、映画版はやや商業的な作りになっています。

台湾ドラマ『想見你』(時をかける愛)はもともと1話90分、全13話のドラマです。
それを中国では26話に分けて放送(配信)しました。しかも、中国放送版は一部の内容がカットされています。
主に削除されたのは王詮勝(本人)の高校時代のエピソードで、高校生として過ごした部分が丸ごとカットされているので、男子生徒同士のキスシーンもないし、自殺の経緯も明確にされていません。
他にもいわゆるきわどいシーンが多数カットされており、高校生の性的な行為、自傷・自殺、動物虐待に関するシーンがカットされています。これらが削除された結果、純粋なタイムスリップ恋愛ミステリードラマに仕上がっており、それはそれで本筋は繫がっているのですが、本来このドラマの核心の一つであった思春期における自分との衝突や葛藤が十分に表現されていません。

正直、この時期に映画『想見你』が中国で公開されるとは思いませんでした。
映画版は中国大陸の映画配給会社「WANDA」(万達)が出資しているため、台湾と中国で同時(若しくは中国が先)に公開する必要があったためでしょうか、新作映画の公開に適しているとはいえない時期に公開されました。
12月7日に「ゼロコロナ政策」の廃止が宣言されてから現在にいたるまで、中国ではものすごい勢いでコロナが流行っています。僅か1~2週間の間に、めぼしい都市では人口の70%近くが一気に感染しました。疫学的に信じがたい事象ですが本当なのです。
映画『想見你』は12月24日に中国全土で公開されました。比較的早期に感染した人はこの時期に陰性になっていますが、多くの人がまだ自宅で休養しています。映画館に足を運べた観客もみんな咳をしています。
厳しいゼロコロナ政策が行き詰まった末に、あっという間の大量感染、わけが分からないうちに何となく陰性、そんな状況の中、いくらクリスマスに公開されても感情移入しにくいと思います。

映画『想見你』(時をかける愛)は2023年1月下旬に韓国でも公開される予定です。また、来年Netflixドラマとして韓国版が制作されるそうです。
韓国では意外に台湾ドラマ、台湾映画が評価されており、台湾映画やドラマにあこがれて台湾を旅行する韓国人も少なくないと言われています。
ジェイ・チョウ(周傑倫)が主演・監督した映画「不能説的秘密」(『言えない秘密』)(2007年公開)は韓国で異常に高く評価されており、よく韓国芸能人が好きな映画として名前を挙げており、韓国版も制作されています。
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中国社会派推理ドラマ『ロング・ナイト 沈黙的真相』日本語吹替版にて放送中

2022年12月20日 | エンタメの日記
2020年に中国で配信されたウェブドラマ『沈黙的真相』が日本語吹替版としてNHK BS4Kで放送されています(12月18日(日)スタート)。中国ドラマが字幕版ではなく日本語吹替版で放送されるケースは珍しいのではと思います。
NHK公式サイト:https://www.nhk.jp/p/longnight/ts/WV35VJR211/

中国ウェブドラマ『沈黙的真相』(沈黙の真相) 中国語タイトル『沉默的真相』 英語タイトル『The Long Night』
日本語タイトル『ロング・ナイト 沈黙的真相』日本語吹替版2022年12月18日からNHK BS4Kで放送
中国放送開始日:2020年9月16日 配信プラットフォーム:iQIYI(愛奇芸)「迷霧劇場」独占配信 全12話   
監督:陳奕甫 脚本:劉国慶 原作:紫金陳(小説『長夜難明』) ドラマ撮影地:重慶
主演:廖凡、白宇、譚卓 特別主演:寧理、黄尭、趙陽、田小潔


『沈黙的真相』は2020年に中国三大配信サイトの一つiQIYI(愛奇芸)で配信されたドラマです。iQIYIは推理ドラマに力を入れており、2020年から「迷霧劇場」という一種のドラマレーベルを立ち上げ、良質な短編推理ドラマを多く生み出しています。「迷霧劇場」の代表作は『バッド・キッズ 隠秘之罪』(隠秘的角落、2020年)です。
2020年から2022年12月現在まで「迷霧劇場」では10作品が配信されています。



2020年の作品:十日遊戯、隐秘的角落(バッドキッズ)、非常目撃、在劫難逃(元EXOのルハンが出ている)、沈黙的真相
2021年の作品:八角亭謎霧、致命願望、誰是凶手(趙麗穎、肖央、董子健主演)
2022年の作品:淘金(チェン・カイコー監督の息子でイケメンの陳飛宇が出演して話題に)、回来的女児

『沈黙的真相』の原作小説は『バッド・キッズ』の原作小説と同じ作者・紫金陳の作品です。
ただし、ドラマ化するにあたり、原作小説にかなり改編が加えられています。

『沈黙的真相』は2010年の「現在」を生きる人物たちと、2003年の時代の物語が並行して展開されます。さらに、事件の発端である2000年のホウ・グイピン(侯貴平)死亡事件の真相を追いかけていくので、三つの時間軸・舞台が出てきます。
最初の方は誰がドラマの主人公なのかよく分からないかもしれません
このドラマの「主演」は敏腕刑事イエン・リアン役を演じるベテラン俳優廖凡なのですが、「主人公」は白宇(バイ・ユー)が演じる検察官ジアン・ヤンだと思います。検察官ジアン・ヤンという人物を軸にして、刑事イエン・リアンを含む様々な人々が、何重にも蓋をされた真実に迫っていく物語です。

~『沈黙的真相』2010年(現代)の時間軸~ 舞台:江潭(ジアンタン)市

「江潭市」はドラマのために設定された架空の都市です。かなり大きな都市で、省都レベルの都市であると思われます。
刑事弁護士である男性ジャン・チャオが地下鉄駅で爆発騒動を起こして警察に捕まる場面から始まります。

イエン・リアン=厳良(严良):難事件の解決に定評のある寡黙な男性刑事。地下鉄爆発騒動事件の捜査のために招集される。


レン・ユエティン=任玥婷(任玥婷):イエン・リアンの下でチームを束ねる女性刑事。


ジャン・シアオチェン=張暁倩(张晓倩):地元の大手新聞「江潭晩報」の若い女性記者。


ジャン・チャオ=張超(张超):地下鉄爆発騒ぎを起こして逮捕される刑事弁護士。元大学教授。
ジアン・ヤン=江陽(江阳):スーツケースの中から死体で発見される元検察官。
リー・ジン=李静(李静):ジャン・チャオの妻。美人。書店を経営している。物語の発端を作った一人。


~『沈黙的真相』2003年の時間軸~ 舞台:平康(ピンカン)県

撮影は重慶で行われていますが、平康(ピンカン)県も架空の町です。ドラマの主人公である若き検察官ジアン・ヤンは、大学を卒業後すぐに平康(ピンカン)県に赴任します。
中国の行政区分では、直轄市を除外すると「省」の下に「市」があり、「市」の下に「県」が置かれています。つまり、中国では都市である「市」に対して、「県」は相対的に小さい田舎の地域となります。近年は「県」が統合されて「市」に編入されることも多いです。

ジアン・ヤン=江陽(江阳):白宇(バイユー)が演じる若き検察官。優秀な若手として嘱望されていた。


ウー・アイクー=呉愛可(吴爱可):ジアン・ヤンの恋人。ジアン・ヤンは彼女を追って平康県にやってくる。父親は検察院の副検察長。
ジャン・チャオ=張超(张超)。ジアン・ヤン、リー・ジン、ホウ・グイピンが卒業した江華大学政治法律学部の教授。彼らの恩師。
チェン・ミンジャン=陳明章(陈明章):平康県の法医学者。平康県はそれほど大きな町ではないこともあり、ほとんどの事件の検死を担っている。


ジュー・ウェイ=朱偉(朱伟):正義感が強く行動力のある刑事。「平康県の良心」として市民からの信望も厚い。


リー・ジン=李静(李静):ジアン・ヤンの法学部時代の同級生として登場する。

~『沈黙的真相』2000年の時間軸~ 舞台:苗高(ミャオガオ)郷

法学部の学生であるホウ・グイピン(侯貴平)は支援教師に志願し、苗高郷(ミャオガオシャン)という田舎の山村に赴きます。これも架空の地名です。「郷」とされる地域は、田舎の農村または山岳地帯が多いです。貧しさのため進学を諦め工場に就職する生徒が多い中、ホウ・グイピンは学校に住み込んで献身的に勉強を教えます。

ホウ・グイピン=侯貴平(侯贵平):ジアン・ヤン、リー・ジンの大学の同級生。自身は貧村の出身。支援教師として僻地「苗高郷」に赴き事件に巻き込まれる。


リー・ジェングオ=李建国(李建国):平康県の警官。
ユエ・ジュン=岳軍(岳军):平康県、苗高郷を縄張りにする地元のチンピラ。

2000年、2003年、2010年の時間軸が交互に描かれるので、分かりにくいところがあるかもしれません。
時間的には僅か10年の期間なのですが、中国の地方都市が飛躍的に発展した時期であるため’、それぞれの時代を比べると別世界のようにみえます。
また、都会である「江潭(ジアンタン)市」、地方の町「平康(ピンカン)県」、農村地帯「苗高(ミャオガオ)郷」という三つの舞台を描くことで、物質的な条件の優劣だけではなく、精神面やモラルの地域格差も浮き彫りにされています。
白宇(バイユー)が演じる若き検察官は、最初はあまりインパクトのある人物ではありません。後半になるにつれて、バラバラに見えた登場人物たちを一つに繋ぐ力となり、ドラマが進むにつれて彼が「主人公」であることが分かってきます。
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安全化された”危険遊戯” 中国二つのミュージカル「スリル・ミー」

2022年12月06日 | エンタメの日記
オフブロードウェイから始まり、韓国、日本でもロングラン公演を続けてきた人気ミュージカル「スリル・ミー」。現在上海では同じ敷地内にある二つの劇場で中国語版「スリル・ミー」が上演されています。

中国“大劇場版”「スリル・ミー」。上海共舞台(2022年11月17日~12月11日)「彼」王培傑、趙偉鋼、鍾嘉誠。「私」冒海飛、鍾舜傲、張澤。


「スリル・ミー」は1924年にアメリカで実際に起きた事件をモチーフにした作品で、登場人物は「私」(ネイサン)と「彼」(リチャード)の二人のみ、それにピアノ生演奏という独特の形式で演じられる緊迫感のある舞台です。

ここ数年、上海ではミュージカルが非常に流行っています。正規の劇場は数に限りがあるので、ビルや商業施設の中のスペースを改造し、客席数150席前後の舞台と客席が一体になった「常駐劇場」を作り、一つの演目を長期的に上演しています。この種の劇場は人民広場にある「亜洲ビル」と「大世界」という商業施設に集中しています。

「大世界」は上海租界時代からある歴史のある建物です。2003年に閉鎖されるまでは室内遊園地でした。歴史的建造物として保存されることが決まってから大修繕を経て2017年に営業再開したものの、「大世界」という巨大な施設をどう活用すればよいものか迷走していました。現在「大世界」には「イマーシブ式ミュージカル」の常設劇場が7つ設置されており、毎日一定の集客ができています。近年の上海ミュージカルブームが「大世界」を救ったといえます。
1階はオープン形式のステージと飲食スペースになっており、歌、漫才、手品、雑技などのステージパフォーマンスがありますが、チケット制ではないので集客力のある演目を常に揃えるのは難しく、割といつも閑散としています。



「大世界」4階にある「イマーシブ式スリル・ミー」の劇場。4階に劇場が集中しています。




この「イマーシブ式スリル・ミー」の常設劇場は座席数約140席、2021年9月から現在まで常時公演を続けています。ロックダウンの時期を除くと、1年中、ほぼ毎日「スリル・ミー」を上演しています。巨大な柱が二つあるため「全席死角」と言われています。(参考過去記事


「イマーシブ式」とは別に、普通の劇場で上演する本来の「スリル・ミー」もあり、2022年11月17日から12月11日の日程で上演されています。会場は「大世界」の一角にある「共舞台」です。
共舞台 1927年開業の歴史のある劇場。何度も改築されていますがクラシックな雰囲気を留めています。1階席と2階席合わせて800席くらいでサイズ的には大きな映画館というかんじです。






中国版「スリル・ミー」の初演は2016年です。その後、2020年~2021年に再演され、2021年9月からは「イマーシブ式スリル・ミー」も始まりました。

私が最初に「スリル・ミー」を観たのは「韓国版初演キャスト」と言われるチェ・ジェウン×キム・ムヨルペアの公演で、韓国語・日本語字幕付で2012年に天王洲銀河劇場で観ました。
この公演にすごく衝撃を受け、「スリル・ミー」の原型として刷り込まれています。
韓国キャストによる当初の公演には、俳優同士がむやみに接触するような演出はありませんでした。
登場人物である「私」と「彼」は同性愛の関係性よりも、支配欲やエゴイズムにより繋がっている同類のような存在で、反社会性に傾倒する人物の構成要素の一つとして同性愛があり、それほど強調されていませんでした。

その後、2016年に中国初上陸「スリル・ミー」を観たのですが、そのときの中国版「スリル・ミー」は「耽美ミュージカル」になっていました。
どういうわけだか観客が「耽美的な演出」に対してものすごく期待を寄せていて、その期待が芝居の最中でも「キャー」という歓声になって溢れ出していました。びっくりしました。ショックでした。
それから4年の歳月を経て、2020年に「スリル・ミー」が再演されたときには、中国ミュージカルの舞台演出力も向上し、観客のマナーも大幅に良くなっていたのではと思います。
中国版「スリル・ミー」は2016年の初演から現在まで、演出が何度も変わっています。
直近にも大きな変更があり、イマーシブ版、大劇場版ともに台詞、歌詞、演出にかなり大きな変更が加えられました。

中国は言論・表現に対する規制が厳しいです。「社会道徳的にこうあるべき」とされる姿に反する人間を描くことは、推奨されないというか、実質的に禁止することが可能です。今回変更を余儀なくされたのは、「スリル・ミー」の中で描かれる反社会的な要素です。
一つは、同性愛的表現で、俳優同士の体の接触は最小限に減らされました。特に性的な関係性を連想させる動作はきれいにカットされました。
もう一つは犯罪行為にまつわる表現です。耽美要素がカットされたことよりも、犯罪行為に関する改変の方が作品全体に与える影響が遥かに大きいです。
具体的にいうと、事件の中心である「子どもを誘拐して殺す」という表現に規制がかかりました。犯罪行為の対象が「子ども」であることがほとんど分からないようにぼかされ、犯行シーンの手順を表す演出も変わり、歌詞は不自然に変更されました。同時に、「彼」が弟に対して殺意を抱いているという表現もぼかされたため、「彼」は一体何をやりたいのかよく分からなくなってしまい、「彼」という役の難易度がすごく上がってしまったと思います。さらに、「私」も「彼」も犯罪行為に対してそれなりに反省を示しており、「二人はサイコパスではなく、若かったせいで道を踏み外しただけ」という、道徳的に許容されうる解釈に書き換えられていました。

この解釈変更にはショックを受けました。「スリル・ミー」の根本が崩れ、作品として辻褄が合わなくなります。
この演出変更が入った後、11月下旬に「イマーシブ式」の方の「スリル・ミー」を観ました。

「イマーシブ式」は休演日はあるものの、基本的に毎日公演があります。週末は1日2公演です。そのため、舞台経験が比較的浅い俳優もキャスティングされています。「イマーシブ式」の場合、舞台装置の制限があるので、歌詞を変えてしまうと、演技で犯行のいきさつを表現することは至難の業です。私が11月下旬に観たときのキャストは経験不足のためか、演出改変に対応しきれておらず、はっきりいって破綻していました。 
すごい美形で歌唱力も悪くないのですが、一つの作品として辻褄が合っていないのです。俳優の責任ではありませんが・・・・。

中国版「スリル・ミー」の中国語タイトルは「危険遊戯」ですが、今回の台詞・演出改変で反社会的な要素がことごとく削除されたので、「危険遊戯」ではなく「安全遊戯」になってしまったと言われています。
11月下旬に「イマーシブ版」を観たときは「これはもうダメかも」と思いました。中国版「スリル・ミー」をこれ以上続けることは無理だと思いました。
もうこれで最後かもしれない、と思ったので、その数日後に大劇場版「スリル・ミー」を観に行きました。

2022年の大劇場版「スリル・ミー」は、「彼」に3名、「私」に3名の俳優がキャスティングされており、基本的には3つの固定ペアで24公演を回します。その中には、相手役を入替える「限定ペア公演」が5公演(4パータン)あります。
「私」と「彼」を演じる6名の俳優は、いずれも人気と経験とルックスを兼ね揃えた実力のあるキャストです。

「彼」趙偉鋼×「私」鍾嘉誠という限定ペア公演を観ました。鍾嘉誠は「彼」より「私」の方が合っていると思いました。


この限定ペアの中国大劇場版「スリル・ミー」はすごくよかったです。
脚本・演出は「イマーシブ版」とほぼ同じく、反社会性をカットする改変が加えられています。ですが、「大劇場版」は役者の経験値が高く、演技力・歌唱力でカバーできる部分が大きいこと、また、ライティングを上手く使うことでぼかされた演出を上手く繋ぎ合わせていました。
表現規制によりここまで大きなダメージを受けながら、なんとか作品をまとめてきた俳優と演出陣はすごいとしか言いようがありません。初演から「私」を演じている冒海飛は監督も担っています。演出陣の執念でここまでまとめたのではと思います。

共舞台の1階には2021年版の中国版「スリル・ミー」のサイン入りポスターが飾られています。
劉令飛、冒海飛、王培傑、鍾舜傲、趙偉鋼、張澤、叶麒聖、鍾嘉誠。


2021年は大劇場、イマーシブともに中国版「スリル・ミー」が一番面白かった時期なのではと思います。この頃にもっと観ておけばよかったです。
「安全遊戯」になってしまった中国版「スリル・ミー」が今後も続くのかは分かりません。私は2016年の公演にちょっと失望したので、2020年の再演を観ませんでした。そのことを後悔しています。エンタメは、一度失望したくらいで観るのをやめてはいけないのだと反省しています。
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