Scarving 1979 : Always Look on the Bright Side of Life

1979年生な視点でちょっと明るく世の中を見てみようかと思います。

ライブ生感想「Pianist with Mussolini」

2004年10月31日 23時29分35秒 | 音楽
音楽は生きていた!

2004年10月30日、横浜FADで行われた、
Pianist with Mussoliniのライブを観終えた後、
私は無意識に、こう叫びたくなった。

私がPWMのライブを観賞するのは、
おおよそ1年ぶりだっただろうか。

1年前の彼らも、もちろん輝いていた。

しかし楽曲を際立たせ、他のパートに合わせることに気を遣っている印象が、
バンドメンバー間の中に、ホンの微量ではあるが感じられた。

けれどどうだ、今回のライブは。

バンドメンバーそれぞれが楽曲を噛み砕き自分のものとし、
ギター&ボーカルはもちろん、ドラム、べースについても、
微塵の戸惑いも妥協もなく、自分の出せる最高の音を目指し、
他のパートを食わんばかりに激しく、魂を注ぎ込んでいるではないか。

これはおそらくバンド内の信頼、
そして演奏に対する自信がなくては行えない。

何年バンドを続けても難しいはずの到達点であるのだが、
1年の間に、PWMはそれを手に入れていた。

魂と魂がぶつかり合うところで生まれる、
高濃度の化学変化が、楽曲により一層の輝きを持たせている。

そんなPWMの弾き出す音を聴いていると、体は無意識にリズムを刻み、
心を撃ちつけ、熱い衝動を押さえ切れなくなる。

これこそがバンドが奏でる音楽である。

PWMは、楽曲の良さだけには収まりきらず、
素晴らしいライブバンドとしても成長していた。

ぜひ一度その目で見て、
耳で、いや心で聴いて欲しい。

バンドにおけるライブという存在の必要性を、
熱く深く気付かされることだろう。

そしてライブにより、輝きを増した楽曲達は、
私にある確信を持たせた。

80年代の大袈裟なHR/HMで音楽に目覚め、
90年代ではガレージ、その後ブリットポップに傾倒した、
そんな私達年代にとって、現在の音楽市場は、
邦楽も洋楽も、なにか足りないものがあるのではないだろうか。

パンク、ミクスチャー、ヒップホップ、R&Bといった昨今の流れの中に、
6~70年代ロックや、80年代の薄っぺらい電子音楽を復興させたバンド達は、
確かに現在もいる。

しかし、なにか物足りない、満たされない。。。

そう、私たちが傾倒していた年代の音楽が生きていないのだ。
今、もう終わったものかのように、抜け落ちてしまっている。

HR/HMバンドは禿げ上がった頭をバンダナで覆い隠し、
カート・コヴァーンはこの世におらず、オアシスは腑抜けて、ブラーはピコピコ、
レディオヘッドはどこかの世界に行き、トラヴィスは飛び立たないまま。

昔を追いかけてみても、彼らはそこにいない。

その抜けてしまった心を満たすもの、
私達の欲する音楽は、PWMの中で生きていた。

いや、私達の欲する音楽だけではない。

彼らは、過去現在の音楽の要素を全て取り込み、
誰の心にも響くPOPに仕上げてしまっている。

私達より上の年代であっても、なにか響くものがあり、
私達より下の年代であっても、その純粋なPOPさ、そして熱さを、
新鮮な驚異として受け入れられるだろう。

PWMの紡ぎ出す、この奇跡の楽曲群に出会えたことに、
私は音楽の神に感謝したい。

音楽好きな若者達はもちろん、
昨今の音楽についていけなくなった大人達も、
そのまま音楽のことを忘れるのではなく、
一度、PWMに耳を傾けて欲しい。

ライブに行け、CDを買え、とまでは言わない、
ただ一度、視聴をしてみて欲しい。

PWMの音楽を聴いたとき、こう思うだろう。

音楽は生きていた、と。