第1回 /
第2回 /
第3回 /
第4回 /
第5回 /
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第7回 /
第8回
第9回 /
第10回 /
第11回
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3学期
「よろしくね」
「あ、よろしく」
廊下側から三列目の前から三番目の席の男女。
「なんか、この席、やじゃない」
女が自分の机を指差して、男に話しかけてきた。
「そうだよね、真ん中だもんね。前の、あの席のがよかったよ」
男は窓側の後ろから二番目を指差しながらそう言った。
「そう、でも、私は前あそこだったから、今のがましかな」
女は廊下側から二列目の一番前の席を指差しながらそう返した。
「あ、そういや、よく当てられてたよね」
「そうそう。特に数学の柚木先生。なんか毎回ノート見て来て、すっごい困ったんだよね」
「あれ、たしか、それで、一回怒らなかったっけ」
「え、あれは違うよ。ただ、ほんのちょっと文句言っただけ」
「でも、それ、同じことじゃん」
「うん、確かにね」
女は半笑いで答えた。
「いや~、それにしてもあれはウケたね」
「だって、ほんと、やだったんだもん」
「突然“おか~さん、おかわりもういらないよ~”って叫ぶんだもんな」
「そんなこと言ってないよ~」
「あ、“およめさ~ん、このしまにやってきてくださ~い”だったっけ?」
「全然違うよ~」
「そうだ、“おかめなっとう、にほんいち~”だ」
「も~」
「ワンギャグ、ワンギャグ」
「・・・でも、なんか楽しくなりそうだね」
二人ともしばらく笑った後、女がそう切り出した。
「ん、そうだね」
「成績は下がるかもしれないけど」
「ふふふっ、それはあるかもね。・・・じゃ、その辺注意してきましょう」
「うん」
女が右手を差し出す。
男はそっとそれを握った。
〈お、なんかいいね、こういうの〉
5回振り合うと、手は自然に離れた。
「由佳里、なんか随分仲良くしてるね」
廊下側から三列目の前から二番目の席の女が、背もたれを抱いて話し掛けてきた。
「そうでもないよ~。舞子の方こそどうなの?お隣さんは」
「え、い、いや、別に普通だよ」
「ふ~ん、普通ね~」
「も~」
舞子は、そう言い終えると、ドラマの中の少女のように口を尖らせた。
「おい、ハンナマ」
廊下側から三列目の前から二番目の席の男の肩を、三番目の男が軽く叩いた。
「なに?」
ハンナマは、体ごと振り向いて、背もたれを右肘の肘掛けにした。
「俺達がこうやって並ぶのって初めてだよな」
「ああ、そうだな」
「小1からずっと同じクラスなのに、なんかうちらのコンビ、絶対離されてたよな」
「おお。でも、なんでずっと一緒になってんのかな?」
「だよ~、なんでだろうな?」
「う~ん・・・」
「で、3年上がる時はクラス変えしないらしいから、9年間一緒だろ」
「ほんと、なげ~よな~」
「だな~」
「ねえ」
由佳里が、前から三番目の男の左肩を叩いた。
「はい?」
男は妙に高い声で振り向きながら答えた。
「半川君と仲良いの?」
由佳里は、ハンナマを指差しながら尋ねた。
「え、ハンナマと?いや、全然仲わりいよ、な」
「うん、こんな奴全然しらねえもん」
「本当に~?」
今度は少し傾けた笑い顔で尋ねた。
「いや、ほんとほんと、今も喧嘩してたところだよ」
「そう、このバカ、むかつくからさ~」
ハンナマは男を指差して答えた。
「だって、部活同じじゃなかったっけ?」
由佳里は、右の人差し指で男とハンナマを交互に差しながら尋ねた。
「違えよ、俺、バ部だもん。毎朝聞こえるでしょ?“は~い~、ば~ぶ~、ちゃん”っていう発声練習」
「聞こえない、聞こえない」
由佳里は、笑い顔で軽く首を左右に振ってみせた。
「あれ、おかし~な~。こないだ、演劇部が“アメンボ赤いなあいうえお”に変わって使いたいって、土下座してきたぐらい有名だぜ、これ」
「はい、はい」
由佳里は、そう答えながら、全てを見透かした笑顔で軽く首を上下してみせた。
「いや、ほんとだって。な、ハンナマ」
「ううん、全然」
ハンナマはすまし顔で首を左右に振った。
「おまえ、ちょっとはノってくれよ」
「ないものはしょうがないだろ。あ、ちなみに俺、コン部です」
「え?」
「そうそう、こいつ、都昆布は1枚ずつちゃんとはがして食おうとかやってんだよ」
「違うよ。金ていう部長がいた写真部の略だよ」
「バカ、んなのだれも知らねえだろ」
「も~、しょうがないな~」
由佳里は、顔を窓の方に向けた。
「ん、なにが?」
「仲良かったら、頼みごとしようと思って」
由佳里は、男の方に振り向きながらそう言った。
「え、なになに?」
「由佳里、いいよ~」
舞子が由佳里の左腕を掴んで揺さぶった。
「でもさ・・・」
「ほんといいって、お願い、ね」
舞子は手を離すと、祈りのように指を絡ませ、そう言った。
「・・・うん、わかった」
由佳里は何遍も軽くうなずきながら、そう言った。
「で、なんなの?」
男は、頬杖のまま横を向いて尋ねた。
「あ、別に何でもない。・・・ともかく、これからよろしくね」
「お、よろしく。・・・でも、ほんと気になるな~」
「ま~、堅いこと言うなよってことで」
「ふふふっ、そうですね。そういきましょうか」
「ですよ~」
ガタガタガタ
隣の教室では、椅子を逆さに乗せた机達が移動している。
「やあ」
「あ、どうも」
(か~、本当に来たよ)
佐藤とかおりんは、廊下側の後ろから二列目の男女として並びあうことになった。
「ついに隣同士になったね」
「そうだね」
(“ついに”ってなんだよ)
「授業中、なんかわからないこと会ったら教えてね」
「うん」
(あんまりやだけどね)
「ねえ、かおりん」
後ろの席の女が肩を叩いて呼んだ。
「なに?」
(は~、よかった)
かおりんは左回りに振り向いて、そう言った。
「ちょっとさ、席変わってくれない」
女が蟋蟀の囁きで話しかけてきた。
「え、なんで?」
(・・・・・・あ、そうか)
「佐藤とさ、ね」
「わかった、わかった」
(そういや、そうだった)
「ん?どうしたの」
佐藤が振り向いて話しかけてきた。
「山元が席変わって欲しいんだって」
(僕も後ろのがいいしね)
「え~、なんで~」
「なんでってなによ、なんでって。目が悪くて黒板見えないの」
「じゃ、もっと前いけばいいじゃん」
佐藤は、黒板を指差しながらそう言った。
「あんたね~」
「ま、いいじゃん。移動しちゃおうよ」
(もう、めんどくさいからさ)
「そうだね」
ガタガタガタ
かおりんと山元は、立ち上がって椅子を机の中に入れ、床を引きずるようにして机を移動し始めた。
「え~、本当に隣、山元かよ~」
「いいでしょ」
「おい、お前ら何やってんだ」
男子教諭の声が教室内に響く。
「いや、席変えようと思って」
(なんだろう?)
「駄目だ。席は、もう決まっただろ」
「でも、山元さんが見えないって」
(なんだよ~、そんくらいいいじゃん)
「目の悪いやつのことも考えて、この席順になったんだろ」
「いや、でも、ほんとに・・・」
(確かにそうだけどさ)
「それに、本当に目が悪いなら一番前こいよ。そんな一つ前行ったからって、変わるわけないだろ」
「ねえ、かおりん、もういいよ」
山元が蟻の呟きでそう言った。
「え、・・・そうだね」
(これ以上怒られるのもしゃくだしね)
ガタガタガタ
二人は元の席に戻し、椅子を出して、座った。
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『出会い』
別 れ よ り も
忘 れ や す い け ど
別 れ よ り も
大 切 な も の
僕 ら は き っ と
出 会 い の 中 に
生 き て い る
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第13回
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第12回あとがき
[当時]
ついに新しい星が近づいてきました。
このキャラはずっと書きたかったものなので、
なんだか無駄に長文になってしまいましたが、
これは成功だと思っています。
ただ、描写が某作品の影響を受けて変になっているので、
ちょと読みづらくなってしまいました。
[現在]
確認のために言いますが、7年前の作品です。
やはり日常会話中の冗談というのは賞味期限がありますね。。。
ここでいう某作品は、きっと自分の作品のお話でしょう。
当時の私は、他人の作品を読んだり影響受けてるわけないです。はい。