突然エンジンが止まった車の原因はJ○Fの人にはわから
なかった。
J○Fが契約している修理工場にレッカー移動することに
なってあらゆるところをチェックしたにも関わらず原因は
わからなかった。
その夜ホテルから夫に電話して事情を話したが夫は特に
私を責めるようなことは言わなかった。
月曜の朝、夫から連絡が行ったらしくその車はいつもの
修理工場MHモーターズに引き取られた。
ところがその工場でもさっぱり原因はわからなかったのだ。
結局、そのドイツ車を販売しているディーラーの専属工場
へ運ばれて約1週間、やっと原因が判明したのだった。
後日MHモーターズの方から私に電話があってエンジン
が突然止まった際の様子など質問を受けた。
そして彼の口から驚くべき事実を聞かされた。
「今まで販売されたこの車にこんなトラブルはドイツでも
聞いたことが無いそうです」
「人為的にでもやらないとあり得ないトラブルです」
人為的にやらないと・・・とそう言われていたのにその時
の私は夫を疑うことはまったく無かったのでした。
「人為的」の意味を「車を作ったドイツの工員がミスし
ちゃったのね」と解釈していたのです。
この事件を疑惑に感じ始めたのは元夫が私に掛けた
生命保険がかなり高額だったことを知った時でした。
私の運転していた車のエンジンの中に荷造りなどに使う
ビニールヒモが絡み付いていたというのです。
その車の床下には全く隙間は無く道路からそのヒモを
拾うことは絶対に無いとのこと。
その夜、帰ってきたモラ夫は食事の支度をしていた私の
後ろから笑いながら声をかけてきました。
「君ねえ、だめよ、道路でヒモなんか拾ってきちゃーさ」
「そうみたいね」とちょっと引きつって答えた私。
怒られなかったことにホッとして肩の力が抜けた気がした。
「ははは・・・はは・・・・」
モラ夫は乾いた笑い声を上げながら2階へ上がって行った。