ハローページが届いてからというもの、ちょっと緊張する毎日が続いています。
英二が私用に最近の小学生がランドセルにぶら下げている警報ブザーを
買ってきてくれました。
通勤用のバッグの内ポケットに忍ばせていつでも取り出せるようにしました。
以前買った催涙スプレーは周りの人にかかって騒ぎになったというニュースを
やっていたので使用しないほうが良いだろうと判断したからです。
またまた増えてしまった私の防犯グッズです。
そんなある日、ナンバーディスプレイが非通知の電話がかかってきました。
非通知電話はだいたい何かのセールスとか投資のお誘いなどの怪しげな電話
が殆どですから「さて何を売り込んできたのかしら」と気楽に受話器を上げ
ました。
しかし、相手は無言。
「もしもし」と言っても相手は黙ったままこちらの音を聞いているような
かすかなため息のような息づかい。
「あ!やつだ」
一緒に暮らしているとき、ヒモラは頻繁にため息をつきました。
彼の”ため息”を聞いてしまうと私は胃袋のあたりをギュッとわしづかみに
されたように苦しくなって彼の次の動きに怯えたものです。
ため息の後は私か息子が彼の部屋に呼ばれて朝まで説教されるとか、怒鳴られる
とか大きな音でドアを閉めるとか壁を蹴破ることもありました。
いづれにしても彼の機嫌が悪く何かが起こる前ぶれでした。
いつもこのため息が出たら私や息子たちは「蜘蛛の子を散らす」状態で彼の居る
部屋から離れました。
私は全神経を使って彼の心の内を感じ取ろうとしてました。
今日何か彼の気に障るようなことしただろうか・・・今月の売り上げの悪いのは
私のせいだと責められたら何て言えば怒られないんだろう・・・・
しかし怯えた態度をすると余計に怒られるので彼に呼ばれたらいつでも彼の部屋
に普通の顔して行けるよう心の準備をしたものです。
あの頃と同じ息苦しい感覚がよみがえってきました。
これは紛れも無くヒモラのため息でした。
こちらが先に電話を切ったのですが、我ながら情けないほどに手が震えてその場
にうずくまってしまいました。
私の異常に気づいたらしい英二が2階から降りてきたとき、再び電話が鳴りました。
ディスプレイは「ヒツウチ」
何も言わずに受話器を取りあげた英二はすぐにその受話器を忌まわしいものでも
捨てるように置いて言いました。
「あいつだ」
その電話もやはり無言のままだったそうです。
草むらに身を隠してじっと野ネズミの心臓の鼓動に耳をそばだてる蛇を思い浮か
べました。
その蛇は「どこに逃げても隠れ場所なら簡単に見つけられるんだからな、いつでも
おまえたちを食ってやるぞ」と言っているようです。
英二が私用に最近の小学生がランドセルにぶら下げている警報ブザーを
買ってきてくれました。
通勤用のバッグの内ポケットに忍ばせていつでも取り出せるようにしました。
以前買った催涙スプレーは周りの人にかかって騒ぎになったというニュースを
やっていたので使用しないほうが良いだろうと判断したからです。
またまた増えてしまった私の防犯グッズです。
そんなある日、ナンバーディスプレイが非通知の電話がかかってきました。
非通知電話はだいたい何かのセールスとか投資のお誘いなどの怪しげな電話
が殆どですから「さて何を売り込んできたのかしら」と気楽に受話器を上げ
ました。
しかし、相手は無言。
「もしもし」と言っても相手は黙ったままこちらの音を聞いているような
かすかなため息のような息づかい。
「あ!やつだ」
一緒に暮らしているとき、ヒモラは頻繁にため息をつきました。
彼の”ため息”を聞いてしまうと私は胃袋のあたりをギュッとわしづかみに
されたように苦しくなって彼の次の動きに怯えたものです。
ため息の後は私か息子が彼の部屋に呼ばれて朝まで説教されるとか、怒鳴られる
とか大きな音でドアを閉めるとか壁を蹴破ることもありました。
いづれにしても彼の機嫌が悪く何かが起こる前ぶれでした。
いつもこのため息が出たら私や息子たちは「蜘蛛の子を散らす」状態で彼の居る
部屋から離れました。
私は全神経を使って彼の心の内を感じ取ろうとしてました。
今日何か彼の気に障るようなことしただろうか・・・今月の売り上げの悪いのは
私のせいだと責められたら何て言えば怒られないんだろう・・・・
しかし怯えた態度をすると余計に怒られるので彼に呼ばれたらいつでも彼の部屋
に普通の顔して行けるよう心の準備をしたものです。
あの頃と同じ息苦しい感覚がよみがえってきました。
これは紛れも無くヒモラのため息でした。
こちらが先に電話を切ったのですが、我ながら情けないほどに手が震えてその場
にうずくまってしまいました。
私の異常に気づいたらしい英二が2階から降りてきたとき、再び電話が鳴りました。
ディスプレイは「ヒツウチ」
何も言わずに受話器を取りあげた英二はすぐにその受話器を忌まわしいものでも
捨てるように置いて言いました。
「あいつだ」
その電話もやはり無言のままだったそうです。
草むらに身を隠してじっと野ネズミの心臓の鼓動に耳をそばだてる蛇を思い浮か
べました。
その蛇は「どこに逃げても隠れ場所なら簡単に見つけられるんだからな、いつでも
おまえたちを食ってやるぞ」と言っているようです。