中国ネット金融

中国のソーシャルレンディング(P2Pネット金融)、キャシューレス、金融イノベーションに関する情報を時々発信します。

ライブコマスの凄まじいパワー

2020-10-22 12:10:09 | Eコマス

ブロブを放ったらかししてハヤ二年、恥ずかしい限りです。これからぼちぼち更新します。

もうすぐ「11.11」という「独身の日」(中国語では「光棍節」)、ネット界隈では一年一度世界的大イベントです。

毎年天文学的な売上という数字がまさに中国パワーの象徴そのものです。今年もきっととんでもない数字が約束されるでしょう。

21日北京時間午前0時に「独身の日」の前夜祭が行われました。ライブコマスではが信じがたい数字を叩き出しました。

トップ三人のインフルエンサーの観客数はそれぞれ1.62億人(李佳琪)、1.42億人(薇娅)と1億人(劉濤)でした。

合計すると約4億人、にわかに信じがたい数字です。それは中国人3人に1人がライブコマスを見ていたという計算で、

視聴率に計算するといくらになるでしょうね。売上もとんでもない数字でした。

トップの李佳琪氏チームは一晩の売上は34.3億元(約550億円)でした。

10%のリベートとすれば一晩50億円稼ぐ計算になります。一生どころか十生も稼げない数字で。

幸か不幸か、我が家は見た人はいません。翌日友達に聞いたらみんな見ていて祭り騒ぎしていたようです。

半ば自分が非国民的に扱われていた(苦笑)。

ライブコマースはEコマスの一つのトレンドになるのが疑う必要もない事実です。

例えば、ジェトロの記事:「中国のライブコマース、2021年に2兆元規模へ」

https://www.jetro.go.jp/biznews/2020/10/a96bbe55659f00d6.html

 

しかし、ライブコマスの流行が中国だけのも面白い事実です。なぜこのようなことが起こりましたか?

長くネット金融を観察した者としてネットインフラ整備とかなり関係していたではないかと思っています。

キャッシュレスとTik tokが中国国内でいち早く流行し始めたのも同じ理由でしょう。

ネット通販の専門家ではないので、これ以上の見識はないが、趣味範囲で見守ります。

今年ももちろん「独身の日」のEコマスに参加する予定はないです。


日本のスマホ決済が普及できなかった本当の理由

2018-08-14 08:21:25 | スマホ決済

 今日たまたまネットで日本のスマホに関する日経新聞の記事を見つかりました。

 スマホQR決済、普及を待たずにサバイバル

  https://www.nikkei.com/article/DGXMZO33531890X20C18A7000000/?df=2

 ラインがスマホの普及するために、手数料を無料化、そして他の企業がしのぎを削って競争しているという内容であった。

 日本のスマホ決済普及しなかった理由について、日本人が現金主義を信仰し、ATMや銀行の普及で現金に慣れてしまったことがマスコミの基本論調であった。それも一つの理由であることが間違いないでしょう。日本の普及できなかった理由を考える前に中国のアリペイが普及した道のりを見てみよう。

 アリペイが誕生する前、アリババの「淘宝」での取引が大きく拡大できなかった。当時、中国のクレジット決済が普及しておらず、決済は基本的に銀行振込であった。ヤフーオクションでも起こったように、詐欺やトラブルが横行でネット取引の足かせになってしまった。アリババは決済問題を解決するために、自社の信用を担保にして決済サービスを提供することにした。これは今では超有名になった「アリペイ」であった。アリババが進んでアリペイを作ったのではなく、必要に追われてアリペイを提供するようになった。その方式も「エスクロー方式」と呼ばれて、決して自分で新しく開発したものではなく、韓国のネットショップで失敗したものをコピーしたものである(Erisman, 2015)。アリペイが誕生してからネット取引の促進に大きく促進したとはいえ、今のように屋台までスマホ決済も利用できるほど普及したのが「余額宝」が誕生するまで待たなければいけない。

 「余額宝」が貨幣基金(MMF)と連携して、口座に残ったお金を自動的に運用し、残高から利息が産めるようになった。これが「余額宝」の爆発のきっかけになった。今中国で流行ったスマホ決済はその延長線上過ぎなかった「余額宝」と日本のスマホ決済の間に一つ大きいな違いが存在する。Lineのような日本のスマホ決済のバックにある口座は単純の「決済型口座」であることに対して、「余額宝」の口座は「銀行型決済口座」である。「決済型口座」は単に決済の手段にすぎず、口座には残高が残せない。「銀行型口座」は決済機能のほかに残高が残せる上、運用もできるし、お金は他の人に直接に送ったりもらったりもできる。

 余額宝の運用リターンが最初年率7%に登り、現在でも4%以上ある。便利の上で普通預金の3倍以上リターンを産む口座であるから流行るのがごく自然の流れである。今からもし日本でも「余額宝」のような「銀行型決済口座」ができるならば必ず二つのことが起こる。一つは大量な預金がこの口座に流れる。これは中国でも起こった。第二に、決済に連動する金融サービスが大きな痛手を受ける。とり分け、クレジットカードの分割払いである。クレジットカードの分割払いの場合、利息は回数にもよるが、12%-15%の間である。https://www.smbc-card.com/mem/revo/bunkatsu.jsp(三井住友カード)中国の場合、当時クレジットカードがまだ普及しておらず、日本のように普及していれば今「余額宝」があるかどうか、考えるだけでぞっとする。

 イノベーションの最大の敵は規制である。もっとストレートに言うと既得権益者の邪魔である。日本人が現金大好きとか、中国では偽札が横行しているとか、といった言い訳は所詮言い訳しかすぎず、聞くたびに今回も遅れるだろうと感じる。銀行とクレジットカード会社が自分のドル箱を手放すことは到底期待できない。アメリカや西ヨーロッパ諸国がスマホ決済が主流になれなかった最大の理由はここにある。日本が普及できるか、全く期待してない。正直に言ってここまで中国のスマホ決済が普及できたのが幸運以外なにものではない。




中国の株式市場

2018-08-06 23:39:00 | 雑想

 日曜日、中国の友達と久しぶりにWechatでテレビ電話した。しばらくすると話題が株式市場になった。「今の中国市場もダメだ!」、「政府の金融引き締め政策はとんでもない!」、「米中貿易戦争で中国が必ずやられる」、とにかく悲観の満ちた言葉を彼が5分ほどずっと話していた。「今市場には自信がないだけ、中国経済が安定成長しているから、しばらくすると元に戻るよ、今むしろ買うときではないか」と、彼の愚痴をしばらく聞いた後、返事した。案の定、彼の驚いた表情が画面からたっぷりとこっちに伝わってきた。内心きっと経済学者の言葉なんて信用できないと思っていただろう。僕も大人の対応ですぐに話題を変えた。

 「This time is different」という世の中もっとも高価な言葉がある。今の状況は2013年の時も起こっていた。当時、金融引き締め政策で市場の資金が枯渇し、それに地方債の問題で株式市場が大幅に下落し続いていた。中国版サブプライムローン危機が来るじゃないかと多くの市場関係者が予測していた。唯一違うのが為替市場で、今と正反対元高ドル安であった。結果が分かる通り、2013年の夏がまさに大底であった。PERが米市場の約半分、経済が堅調に成長し、イノベーションが盛んに行われた今の中国市場は2013年の時と比べれば、隔世までいえないとも、かなり強くなっていたとはいえるだろう。これから下値がどれほどあるかは分からないけど、今買っとけば長期的にはきっとよいリターンが得られるじゃないかと確信している。

 歴史は繰り返される。一度目は悲劇として、二度目は喜劇として。


P2Pネット金融の冬が続く

2018-08-05 23:12:59 | ソーシャルレンディング(P2Pネット金融)

 

7月のP2Pネット金融のデータが揃いました。零壱智庫のデータによれば問題プラットフォームの数が少なくとも123に上り、ローン証券の返済遅延や発売停止のプラットフォームの数が33になり、その中に準大手プラットフォームもあった。7月ローン証券の総取引高が1236億元、前月より19.48%下落し、ローン証券残高が約9080億元、前月より5.5%下落した。業界全体の取引高と残高の下落はすでに10ヶ月連続になっていて、今はP2Pネット金融の真冬と言っても過言ではない。

http://finance.ifeng.com/a/20180801/16423625_0.shtml

 このような状況になったのがいくつの理由が重なった結果である。まず、2016年8月に公布した「暫定条例」がすでに猶予期間がすぎ、行政がすぐに全面的に条例を実施する可能性がなさそうであるが、これから厳しくなることが間違いない。もっと重要な理由が政府の金融引き締め政策の影響である。2017年8月まで、問題プラットフォームの数が高水準に続いていたが、業界全体の取引高がずっと増加していた(図参照)。去年年初から金融引き締め政策、それに金融機関のデスレバレッジ(去杠杆)が実施され、その影響が今年に入ってじわじわとP2Pネット金融に効くようになった。金融機関のデスレバレッジが多岐に渡り、一番効いたのが簿外にあった取引がすべてバランスシートに戻すという政策指導であった。結果として銀行の貸し剥がしが起こり、多くの企業が資金難に落ちいた。もともとP2Pネット金融の相手にしていた企業は銀行に相手されず信用力の劣った企業で、銀行の貸し剥がしと資金難により一層影響を受けてしまった。

 米中貿易摩擦のせいで貿易の影響が来月当たりで出始め、下半期の成長率も下ブレの可能性が大である。7月になって金融機関のデスレバレッジが一段落になり、金融政策も引き締めから中性かやや緩めになっている。金融政策が転換したとはいえ、P2Pの春がくるまでまだまだ時間がかかりそう。

 

 


「投之家」倒産の衝撃

2018-08-02 16:27:01 | ソーシャルレンディング(P2Pネット金融)

 7月13日,「投之家」のホームページに多くの債権が不良化になり、プラットフォーム自体が自主精算に入り、精算をうまく進めるために、幹部たちがすでに警察に自首したと発表した。  「投之家」URL://www.touzhijia.com/  

 「投之家」は2014年9月にオンラインし、本社取材地は深センで、親会社は盈灿グループで、会長も盈灿グループの創業者であった。盈灿グループの中に「網貸之家」はネット金融情報ポートサイドの雄で、業界内では非常に有名である。僕も「網貸之家」に大変おせわになっていた。「網貸之家」の七光りのせいか、「投之家」は投資家の間では「網貸之家」の兄弟会社といわれていた。  

 今回の倒産で被害総額が最大に29億元に達すると言われているが、衝撃はこの金額の大きさではない。「投之家」の取引金額からみれば中国P2Pネット金融のプラットフォームの中に中の上に位置し、決して大きいプラットフォームではなかった。親会社のバックグラウンドだけではなく、2015年と2016年に2回のVCの投資を受け、さらに最近上場企業珈偉股份(300317)から4億元の投資を受けた。

 投資家が一番衝撃を受けたのが実は「投之家」のビジネスモデルである。「投之家」のビジネスモデルはプラットフォーム自身からローン証券は発行せず、「網貸之家」の情報力を利用して他のプラットフォームから売り出されたローン証券を購入し、自身のプラットフォーム上に販売するのである。このビジネスモデルは「網貸超市」と言われ、一種の分散投資で、P2Pネット金融のイノベーションと持て囃され、投資家の間では「絶対潰れないプラットフォーム」と讃えられていた。

 「網貸超市」というビジネスモデルを続ければ個別の債権のデフォルトがあってもプラットフォームの倒産はないであろう。「投之家」は2017年12月に身売りが今回の倒産劇の始まりである。投資家が知らないうちに、盈灿グループが全ての株を珈偉股份(300317)の子会社に売り、会長も別人になった。珈偉股份は上場企業とはいえ、業績が非常に悪い。「投之家」を使った金をかき集めるマッシーンにしたじゃないか、裏にもっと根深い詐欺集団があるじゃないか、いろいろな噂話が流れているが、現時点ではまだ確認できない。

  https://bbs.wdzj.com/thread-1187673-1-1.html  

  http://www.sohu.com/a/243614907_250147


 「投之家」の件はすでに警察に立案され、真相は警察の発表を待つしかない。現時点では投資家の損失が最小限になるように期待するしかない。今回の事件で、29億元以上に投資家がP2Pネット金融に信頼性を失ったのが一番の損失ではないかと思う。