お気楽王の日記

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バベル

2007年05月16日 | 映画・音楽・美術
バベル、観ました。
菊池凛子がオスカーノミネートされて話題になった映画ですが
WEB上での口コミでは賛否両論、正直期待薄でしたが
私にとってはおもしろい映画でした。
マグノリアを思い起こさせる群像劇。
テンポ良く話が進み、映像に引き込まれる感じです。映像や人物描写が丁寧。
特にモロッコの小さな兄弟のエピソードはドキュメンタリーのようで
破滅にむかって行く様子は見てて本当につらかったです。
モロッコの人々はすごくリアルでした。

モロッコ。老人がジャッカルを追い払う為にヤギ飼いの一家にライフルを売る。
ヤギの放牧は幼い兄弟の仕事、二人はライフルをおもちゃのように試しあう。
たまたま現れた観光バス、遠くだから当たらないだろうと撃った弾は
ケイト・ブランシェットの首元に直撃。
ブラッド・ピットとケイト・ブランシェットの行き詰った夫婦は
関係修復のためにモロッコのツアーに参加していた。
助けを求め、砂漠の小さな村へ移動するが劣悪な環境。
アメリカ大使館に連絡はついたがなかなか助けは来ない。
事件が発覚し、犯人を必死で探すモロッコ警察。
やがて所有者であるヤギ飼い兄弟の父親が容疑者となり、
逃げた父親と兄弟は警察に包囲されてしまう。
ブラッド・ピットの幼い子ども二人はメキシコ人の子守とロスの家で待っている。
ブラピが子守とやっと電話で話せたその日、子守の息子の結婚式だった。
子守は代役を探すが誰も引き受けてくれない。
仕方なく幼い子ども達をメキシコに一緒に連れて行ってしまう。
東京、耳の不自由な女子高生菊池凛子。(高校生に見えない・・・)
母親はなく、父親とうまくいっていない。
父親の所有していたライフルがモロッコ事件で使用されたライフルだった。

聖書のバベルの塔。もともとはひとつの言語を話していた人類に
天より高くと作ったバベルの塔に怒った神が別々の言語を与え、
人類はばらばらになったとされています。
神の許しに甘え、天を越えようと思う人間の愚かさ。

メキシコ人の子守が「私は悪い人ではない。愚かだったたけ。」と語ります。
この言葉がこの映画の全てだったと私は思います。
悪気があったわけではなく、愚かだった。
愚かさに気づいても、修復できず愚行を重ねる人間。
気づいた時には身動きが取れなくなる。そこで初めて彼らは誰かの救いを求める。

しかし、神は人間を見放したりしない、最後に救いはある。
と言わんばかりに最後はほんの少しずつ、それぞれに救いがあります。

映画はキリスト教的な表現ですが、個々の日常に置き換えれば
普遍的なテーマになり得ると私は思います。

全てのエピソードが共通の主題に沿っていて、
久々にハリウッド映画できちんとした映画を観たなと思います。
じゃあ、おすすめする?と聞かれると
万人うけする映画ではないと思うのでおすすめはできないかな。
戦争、因果応報、愚かさ、人間の生きるたくましさ、という感想です。
監督曰く「愛」がテーマみたいですけど、「やっぱり最後は愛だよね~」って
簡単に言っちゃうのはもったいないような気もします。