スペインサラマンカ・あるばの日々

スペイン語留学の街、サラマンカより、地元情報とスペイン文化、歴史に関する笑えてためになるコラムをお届けしています。

スペインの節分(?)~年始から忙しい聖人聖女たち

2019-02-04 00:55:41 | スペインがお題のコラム

毎年のことながらですが。
お正月明けの、あのぬるーい雰囲気は何なんだろう。

眠い、けだるい、やる気ない

…皆一応オトナなので上記3つがないフリをして、
平たい顔でさっさと通勤、仕事にいそしむ、またそのふりを
してたりしますが。


ここスペインにいたっては、クリスマスイブ前から大晦日元旦
を過ぎ、1月6日あたりまでがいわゆるクリスマス時期となり、
正直、長ったらしいこと、この上ない。

休暇後、残ったのは、暴飲暴食で数キロ浮腫んだ体と寂しい財布。
そして寒い。朝起きても夜。ちょっと活動したらすぐ日が暮れる
季節要因のウツがうごめき出し、イライラが募る…

日本においては、このウツウツの気を払おうというのか、
2月3日節分の日、立春の邪気払いとして豆を撒いたり、
イワシの頭で魔よけなど作ったりなど、忙しくする習慣あり。

そしてこちらスペインでは、正月終了後、聖人聖女の日がずらずらと
続き、各地において伝統行事が行われ、(意外と盛大に)祭が行われる。
春の入り口に行われる聖週間(セマナサンタ)の大祭までの
ツナギか?とも思われる。

それらのいくつかを以下↓ご紹介

●動物たちの守護聖人、サン・アントン

1月17日、サン・アントン(聖アントニウス)の日。
動物らの守護聖人とされる。

祝福を求めて教会につめかけるワンニャンのオーナーら。

この日だけは動物らの堂内入室が許され、なんともほのぼのな
ミサが行われる。海外ニュースとして流されることが多いので、
ネットなどでみかけた方も多いかも

まあ昔は動物といえばウマ、ウシ、ブタなどの家畜。
交通手段であり、食料でもあり、命の絆。
これらの繁栄健康を祈り、感謝をした日でもあったのか。

例えば“馬と共に焚火の上を飛ぶ”儀式。
カスティージャ・イ・レオン地方、アビラあたりのもので、
動物保護団体に叩かれつつ、まだ残っている古い伝統。



サラマンカ南部、アルベルカにおいては、聖人の名をつけた
“サン・アントン豚”が村内に夏から放たれ、村民らの施しを
受けて育つ。
観光客ガン無視でくつろぐサン・アントン君w

この豚はサン・アントンの日に“昇天され”、恵まれない
家族の下にその肉が届けられるという風習があった。(今はくじ引きとのこと)


聖人足元にはしもべのぶーちゃんが常に。

そして張本人のサン・アントンこと聖アントニウス。

アレクサンドリア(エジプト)出身。
身分を捨てて砂漠に独り向かい、厳しい勤行にて精進し、
その生涯をひたすら悪魔とのガチ対決に捧げた聖人

この「聖アントニウスの誘惑」のお題は西洋絵画で随分好まれ、
数々の作品あり。

ヤン・マンダインとサルバドール・ダリ

…などと文化的なことを喋ってますがw
各地村々においては「祭」といえば焚火、音楽、そしてタベモノ

動物の守護聖人話は、「サンアントンを襲った盲目の豚が逆に癒され、
後に僕として仕えた」話、その他からきてるらしいものの…

例えば南部グラナダあたりの、この時期の名物は「Olla de San Anton(サン・アントン鍋)」
感謝しつつも…やっぱ食べるんやw
この豚の期らしい、豚モツ煮込み鍋であります。


お菓子やなどでは真ん中に十字の、車輪に見立てた素朴なクッキー、
ウマにはかせる馬蹄に似せたケーキなど、期間限定で並ぶ。



そしてこの“期間限定”に弱いのは日本人だけじゃないと思うw

●喉の病気の救護聖人、サン・ブラス

2月3日はサン・ブラス(聖ブラシウス)の日。
喉の痛みや呼吸器の病を癒す救護聖人とされる。

この日の前あたりになると、街中ではカラーリボンを
売る人を見かけるようになる。
聖人の伝統色、赤が一番売れるとのこと。

また他の地方では編んだ紐だったりする。

これを聖週間の始まるまで、首に結んでおくと
喉の病よけになるとの言い伝え。

サン・ブラスはアルメリアの司教。もともと医師で
あった聖人は、洞窟に住みながら、人間のみならず
動物をもいやしたとのこと。(この人も動物の守護聖人)

2本ロウソクの儀式で喉をいやすの図。

特に魚の骨を喉に詰まらせた幼子を治療したとの逸話から
喉の神様、みたいな位置に。

この日も各地にて結構盛んに祭が行われ、
一般にやはり“焚火、音楽、タベモノ”なんですが、
あれこれ目を引く伝統を残す祭もあって、なかなか面白い。

上記2つそれぞれエストレマドゥーラ地方の村祭り。

●節分、そして助け合い、励まし合い…

サン・ブラスは奇しくも日本の節分と同じ日…
と思うが、陰暦を用いていた時代には、やはりここら
辺を“節分”=季節の変わり目と考えていたらしい。

Por San Blas, una hora más
(サン・ブラスあたりから日が1時間増える)
などといった、いわゆる立春を感じさせる言い伝えが多い。

大きな焚き火(Hoguera)が必須アイテム的に
行われるのは、そりゃ寒いからというのもあるだろうが、
“清め(Purificación)”の意味も古い時代からある。

また各地で多いのはゲームやくじ引きで食料を分けたり、
金を出し合って大鍋料理を作ったりというのが多く、
これは昔は“持たぬ者”への救済もあったのか。

1年で最も寒さが厳しいこの時期。

まだまだ遠く感じる春の訪れを夢見ながら
お互い励ましあい、暖めあい、助け合いの祭りだったんだろうな。

このサン・ブラスの後、
「スペインの女正月」ことサンタ・アゲダ(聖アガタ)の祭、
そしてご存知サン・バレンティン(聖バレンタイン)と続き、
なかなか聖人聖女が引っ張りだこなわけで。






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