蹴球概論3  ~ サッカー三昧 な毎日 ~
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ドイツでの一ヶ月に及ぶ夢の祭典が、このW杯を最後に現役引退をする選手の退場によって締めくくられた。

延長後半5分のジダンの予期せぬ退場は、この試合だけでなくドイツW杯そのものを台無しにする大いなる過ちだった。なぜなら、開催国ドイツの躍進やブラジルの悲しき敗退、そしてイタリアの素晴らしい団結力以上に、偉大な世界最高のフットボーラーが相手DFに頭突きを食らわせて退場した場面がいつまでも人々の記憶に残るからだ。

輝かしいキャリアを築き上げてきたジダンだったが、現役最後の試合で自分自身の手によってその経歴に泥をぬってしまった。


攻撃力不足のフランス

試合は後半10分までは動きのある好ゲームだった。

しかし約1ヶ月に及ぶ大会を通じて蓄積された疲労が選手たちを襲い、両チームの運動量がガクッと落ちてしまった。特にイタリア選手の疲労は顕著で、中盤でまったくプレスをかけられなくなっていた。中5日のイタリアは中4日のフランスよりも日程的に有利だったが、準決勝で開催国ドイツを相手に120分戦うことがそれだけ大きな負担となっていたのだろう。

その後フランスは圧倒的にボールを支配して攻撃を仕掛けていたが、一向にゴールが生まれる気配がない。それは、何度も指摘し続けてきたように、フランスの重心の低さに起因する。

フランスはすべてのボールがジダンを経由するといっても過言ではないが、ジダンがボールを受ける位置は大抵ハーフウェーライン前後の低い位置だ。さらにアンリがそれに釣られるように中盤まで下がってくるので、最前線に誰もいないことが多い。そのためセンタリングやラストパスが出たときにペナルティエリアに入っている人数が絶望的に少ないのだ。

リベリーやマルダがその分前線で我慢していたが、そこに3列目からの押し上げや両サイドバックのオーバーラップがほとんどないため、効果的な攻撃を繰り出すことが出来ない。結局チャンスになりそうなのはリベリーやアンリの独力突破だけだった。

立ち上がりのアンリの脳しんとうとグループリーグでゴールを決めていたヴィエラの負傷交代もフランスの攻撃力低下に拍車をかけていたように思う。サニョルのアーリークロスをジダンが合わせたシーンが唯一のチャンスだったが、それもブッフォンの驚異的なファインセーブによって防がれてしまい、フランスは完全に攻め手を失ってしまった。


24年ぶりの歓喜

一方のイタリアは蓄積された疲労の影響でチームとしてのダイナミズムを完全に失っていた。準決勝までのニュー・アズーリの姿はなく、カンナバーロとブッフォンを中心としたカテナチオサッカーに徹していたように思う。

この日に限った話をすればフランスの攻撃力不足に助けられた面は否めないが、チーム全体のファイティングスピリッツとPK戦での集中力は素晴らしかった。

決勝という大舞台でニュー・アズーリの素晴らしさをアピールできなかったのは非常に残念だが、今大会のイタリアは最も素晴らしいサッカーを見せてくれたチームだった。彼らを勝利に値しないチームだと決め付ける人はぜひ準決勝までの試合をもう一度見返してほしいと思う。

ここ数年は暗い話題が多く、大きな大会では苦渋を味わい続けてきたイタリアに伝統の力で24年ぶりに栄冠がもたらされた。苦しみが大きかった分喜びもひとしおなのだろう。

暗い夜にも必ず朝が来る。心から今回のイタリアチームに祝福の意を贈りたいと思う。

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