細田暁の日々の思い

土木工学の研究者・大学教員のブログです。

妨げるもの

2014-02-14 17:53:42 | フランスのこと

どのような環境であれ、何も妨げるもの、障害の無い理想的な環境など無いわけです。あるのかもしれないけれど、何も妨げるものが無い環境に数日身を置いたら飽きてしまいそうです。

思い通りにいかない環境だからこそ、知恵を絞るのであり、工夫するのであり、課題を克服してやろうと全力を尽くすのだと思います。

日本で大学教員を務めた10年間も、課題、障害の連続でした。文句を言っても仕方なく、どうすれば自分たちの活動のレベルが向上するのか、そればかりを考えて日夜努力してきたつもりです。

フランスでの生活も、課題だらけです。ウォシュレットが使えない、とか。それは冗談にしても、家庭のマネジメントと、研究者・教育者としての留学生活とを、自分の納得の行くように両立させることは必ずしも容易ではありません。

課題が無ければ、自分自身の成長もあり得ないと、今は心の底から思えます。

数か月に一回、日本出張を重ねることは、実は事務手続き上、必要なことでもあるのですが、どうせ日本出張をするのであれば最適な時期に行い、濃密な内容になるようにベストを尽くすのは当たり前です。

せっかく1年の留学に行くのに、日本に出張で来るなんてもったいない、日本のことなどほったらかしにして、欧州での生活に専念すればよいのに、というようなアドバイス?を年上の方々から何度かいただいたことがあります。私自身のことは私が一番知っているのであり、私の行動を最適化するための戦略は私が立てるのが一番良いに決まっています。

結果的には、すでに2回目を終えた日本出張はどちらも非常に濃密なもので、行くたびに研究プロジェクトが大いに進むことを肌で感じます。また、ずっとフランスにいると、フランスでの時間の価値を忘れがちになるかと思いますが、日本出張を挟むことでフランスでの時間を大切にしよう、と何度も再確認できます。すべての時間は貴重であり、とても充実した時間を日本でもフランスでも過ごすことにつながっているように感じます。当初は、フランスでの1年間は充実したものになるのだろうか、と私でもやや不安でしたが、4ヶ月が経過した今、その心配はもはや不要です。

私が研究室を長期間不在にすることで、結果的に研究室のメンバーの責任感も強くなり、多くのメンバーが成長するきっかけにつながっているようにも思います。私とのコミュニケーションがぱったりと途絶え、フランス渡航後、ほとんどコミュニケーションを取っていない学生もいますが、それはご本人たちの課題として、改善のための努力をしてもらいましょう。私は手取り足取りの教育者ではありません。

私がいずれ海外で1年程度過ごすこと、研究室のスタッフが抜けたり入れ替わったりすることがいずれ来ること(必ず来る)、を想定して、かなり以前から研究室の運営のマネジメントを行ってきました。PC係、実験室係をそれぞれ2名ずつ配置し、スタッフですので謝金をきちんと支払い、研究室の運営に携わってもらうシステムは相当に前から構築しています。また、私の赴任直後は秘書さんもいませんでしたが、今は週に3回、我々の研究室の活動をがっちりとバックアップしていただいています。これらのシステムを構築するためにはもちろんお金が必要ですが、基礎的な研究も行いつつ、お金も稼げるように、また毎年の研究資金に大幅な変動が生じにくいように、さらに仮に資金不足のときにも何とかしてお金をかき集めるように、地道でしたたかな努力も重ねてきたつもりです。

このブログは、学生たちだけでなく、私の後輩の研究者・教育者たちもたくさん読んでいますので、上記のような多少生々しい話も記載しておきました。

我々は、Civil Engineerですので、環境に文句を言う、責任転嫁をする、ことだけはあってはならないと思います。いろいろと言い訳をする方もおられますが、愚痴を言う時間があるなら少しでも状況を改善できるための知恵を絞り、実行に移すべきと思います。ポジティブな人たちはポジティブな人たちだけで集まり、徹底的に真摯に議論し、実践していきますので、そのような人たちがいることを認識し、まずは自分自身を置く環境を改善することに注力すべきと思います。

さて、今日もオフィスでの時間は4時間ちょっとですが、最大限に集中力を高めて仕事に取組みます。